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2008年3月26日 (水)

労働法の復権と「隔差社会」

■格差社会とワーキング・プア

 2007年は、この労働契約法が制定されただけでなく、最低賃金法の改正や、ホワイトカラー・エグゼンプションの労基法改正が社会的に注目された1年であった。その社会的背景には、言うまでもなく、最近の格差社会とワーキング・プア問題がある。
 労働法制の変容は、現実の<企業社会>、<雇用社会>の変動の結果でしかない。労働法の「弾力化」「雇用流動化」が、この10年間にわたり進められてきた。その結果が明らかになることで、「振り子」が元に戻るように、「格差」「貧困」がマスコミで大きく報道されて、政治的な課題として議論がされるようになった。
 今から2年前、このようなマスコミ状況が生まれるとは、多くの人々は予測していなかったと思う。私のように労働者側に立つ弁護士たちや労働組合は、同じ問題を十数年前から、ずっと訴えてきたつもりであったが、なかなか受け容れられてこなかった。ところが、今や堰(せき)を切ったように報道されている。中には、ワーキング・プア時代を生きる処世術などのハウツー本まで登場している。

■格差社会と隔差社会

 「格差」のない社会はない(小泉前首相の言うとおり。マルクスも近代以降は全て階級闘争だと言いました。)。日本では、高度経済成長時代にも「格差」はあった。しかし、ずっと今までも大企業と中小企業の間に横たわる労働条件の「二重構造」が是正されたこともなかった。
 しかし、今の「格差社会」化は、日本を「隔差社会」化するものだとの指摘されている(橋本治『日本の行く道』集英社新書)。単なる格差でなく、「負け組」が「勝ち組」から隔絶されてしまうというのである。まさに、階層化にほかならない。
 話しは飛ぶが、小・中学生の勉強時間を調査した文科省の調査結果を見て驚いたことがある。学校以外にまったく勉強時間をとらない小中学生が半数近くいるのである。深夜まで塾に通う「お受験組」は少数派なのである。つまり、勉強時間も二極化している。今の日本の子どもたちの問題は、学ばなくなったということなのだという(佐藤学『「学び」から逃走する子どもたち』岩波ブックレット)。
 これは「ゆとり教育」の影響なのかもしれないが、しかし本当の理由は「努力してもしょうがない」という意識が社会全体に浸透しはじめている結果のような気がする。まさに、隔差社会の無力感を子どもたちが先取りしているかのように思える。もし、そうであれば社会にとって重大な事態であろう。

■労働法の復権

 労働法は、対等の当事者が競争することを前提とした「自己責任の論理」の修正を目指すものだ。この原点を喪失するのであれば、労働法が労働法でなくなる。経済も社会も変動する。しかし、安定した雇用と公正な労働条件を決定する「労使の均衡点」を労働法という枠組みで探求することこそ必要である。市場原理主義への反省が語られる今、「労働法の復権」が望まれる。

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2008年3月23日 (日)

さくら咲く

桜が開花しました。 今週末は満開でしょう。

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2008年3月20日 (木)

橋下徹大阪府知事 あんさん正気かいな?

この橋下知事は何というか・・・。この人が弁護士ってほんまやろか?

■サービス残業と始業前朝礼

「朝礼を始業時間前にすれば、残業代を支払わなければならない」のは当たり前です。労基法の常識(地方公務員には労基法は適用されます)だし、民間企業でも「当たり前」です。

ところが、大阪では「民間ではそんなことはない。」んやて。つまり、労基法違反をしている企業が大阪にはいっぱいあるんや。要するに、路上駐車(違反)と同じやんか。

今度は、橋本知事、「始業時刻前に朝礼を実施するが、自由参加とするから残業代を払わない」んやて。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803190051.html

でも、もし朝礼で仕事の話が出て、作業指示やミーティングを開催するとなると自由参加は絵に描いた餅。朝礼に出勤せざるを得なくなる。この場合には、残業代支払義務が発生することになりますね。もし、そんなことになったら大阪府の職員の皆さん。是非、訴訟で訴えてください。(そしたら大阪府民からバッシングされるんやろか。大阪では、お客様は神様なんやけんね!【これって広島弁きゃっ?】)

「俺は残業の指示を出してへん。労働者が勝手に残って仕事をしているだけじゃ。そやから俺は残業代は払わんで。」ていう使用者が、大阪だけでなく、全国にぎょうさんおります。

「始業時刻前に朝礼やるで。誰も朝礼に出てこいとは言うてへん。自由やさかい。そやから残業代は払わへんで。」ていう知事も彼らと同じレベルでおます。

東西にトンデモ・オモシロ知事がいて、日本人わ仕合わせですなあ。

■全庁舎内禁煙と「卑怯な大人」

全庁舎煙は大賛成です。でも、これも議員フロアも全面禁煙すべきです。

なんで議員用だけ残すんやねん。議員には文句を言われたくないから、やろな。「弱い者には強く、強い者には媚びる」んやねえ。いやあ。そういうのが「卑怯な大人」とちゃうんかい(怒!)。

(いくら橋本知事が、圧倒的に大阪府民に支持されたとしても、大阪府民がみんながみんなこんな奴だとは思っていませんから。急いで修正します。だって、石原知事は、あんな奴だけど、東京都民が石原大元帥閣下と一緒だとは思われたくないもん)。

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新・労働三法

■新・労働三法
 労働三法というと、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法でした。しかし、労働争議が激減するなかで、労働関係調整法はポピュラーな法律ではなくなりました。
 そのような中、2007年の臨時国会で、労働契約法が成立しました。その結果、代表的な労働法というと、労働契約法、労働基準法、労組法となり、今後はこれらが「新・労働三法」ということになるのでしょう。

 ちなみに、「六法」では、労働法編の最初に労働基準法を置くもの(例えば、有斐閣の『小六法』)と、労働組合法を最初に置くもの(例えば、三省堂の『模範六法』)の2種類ある。今後は、おそらく、労働契約法が最初に置かれることになるんでしょうね。

■民法と労働契約法

 ご承知のとおり、「雇用」については、民法623条以下の条文が適用される。民法627条1項では、期間の定めのない雇用について、「いつでも解約の申入れ」ができると定められている(解雇自由の原則)。労働法は、この民法の規定をいかに修正するかを課題にしてきた法分野であった。
 解雇については、裁判所は解雇権濫用法理で修正してきた。また、2003年には、労働基準法に「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は無効である制定された(労基法18条の2)。そして今回、この規定は労働契約法16条に移されることになった。

■労働契約法は「簡易版」

 労働契約に関する民事ルールを明確化することを目指して、2年間にわたり労働政策審議会の下で、研究会や分科会にて労働契約法が討議されてきた。2007年にできあがった労働契約法は、労使の妥協、政治的妥協の末、わずか19条の「小型」の法律になった(本年3月1日施行)。労働契約法としては、とても「フル・ヴァージョン」とは言い難い。機能限定の「簡易版」と言うべきものであろう。これが今後数年を掛けて、バージョンアップされることを期待したい。

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2008年3月18日 (火)

司法試験と労働法の今昔

【労政時報371号に掲載した私の随想です。以下、4回に分けてアップします。標題は、「労働法の復権」です。】

■司法試験と労働法
 労働法は、一時、旧司法試験の法律選択科目から外されたことがあった。現在の新司法試験の選択科目では労働法が復活した。人気の「倒産法」や「知的財産法」を引き離して、断トツの一番人気だそうである。過去の司法試験受験生には、労働法は労働三法を勉強しなければならず、分量が多く敬遠されていた。また、労働法は労働運動のための「プロ・レイバー」法学と目されて敬遠されていた。

そんな時代を知っている私の世代から見れば、受験生心理も大きく変わったものである。時代はかわります。(次回に続く)

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2008年3月16日 (日)

東京では暖かい日が2.3日続いて、梅が咲いています。

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歌わせたい男たち

■紀伊国屋ホールで、「永井愛」脚本の「歌わせたい男たち」を観劇してきました。

http://www.nitosha.net/stage/index.htm

初演はチケットが入手できず見逃しました。今年、再演中です。うちの事務所の連中と、「日の君」弁護団の仲間。そして、妻と子供らと観に行きました。

○生徒が卒業式・入学式の「国歌斉唱!」時に起立しないと、担任教師や校長らが自ら起立していても都教委から「厳重注意」を受ける。

○生徒会で国旗国歌問題を議論すると校長や生徒会担当教職員から不適切指導ではないかと都教委の取調(事情聴取)を受けて厳重注意を受ける。

○卒業式の前に、生徒に憲法19条にふれて「内心の自由」を説明することを禁止する都教委の通達。

○クリスチャン一家や、在日コリアンの生徒や保護者が「国歌=君が代」斉唱は歌えないと式への参加を辞退する。

○青年教師のころは、「日の丸・君が代」の強制を反対していた教師が、校長になってからは、あれは間違いだったとして手のひらを返したように都教委の指示に唯々諾々と従う姿。

○「内心と切り離して起立して歌うこともできる。嫌だと思っても、そういう選択をするのが一般的だ。」述べる裁判所の判決。

などなど本当にある現実を描いて笑いと涙のコメディにしています。サヨクの押しつけがましい「君が代」反対論のウザッタさも描いています。何よりも告発調でなく、悲壮感がないのが良い。

■戸田恵子のオーラと配役の妙味

何よりも、戸田惠子が素晴らしい。私は、前から4列目の席でしたが、生身の女優の「オーラ」を感じました。こういう臨場感は映画では得られません。演劇の醍醐味なんでしょうね。やみつきになりそうです。

東京都「君が代」騒動の人間のドタバタのすべてが描かれているように思います。

・ゴチゴチの左翼の「正義の人」にふりまわされるノンポリの音楽教師。

・日本人の誇りこそ大切だと心底信じて都教委の方針を実践する「熱血」青年教師。それに共鳴する生徒たちや女性教師。

・優柔不断で自己保身の固まりの校長。-でも、それが私やあなたの日本人の姿。

そして、ラストが素晴らしいのです(ネタバレになるので書けません)。

■教師が理想を語らなければ誰が理想を語るのか

最高裁のピアノ伴奏拒否事件判決(思想・良心の理由から国歌「君が代」を伴奏できないとする音楽教師に対する校長のピアノ伴奏命令は適法とした)が出た後、原告の皆さんに裁判官の思考ってどういうものかと質問されたので、次のように解説しました。

「世の中、思うようにならないことは多々ある。嫌なことをこなしていくのが大人だ。40秒我慢すればすむことだ。生徒にそういうルールを教えるのが教師の仕事であり学校なんだ」と裁判官は考えているのです。裁判官なんてその程度のものなんです。日本の最高裁は「人権の最後の砦」ではなく、「秩序維持の最後の砦」なんです。その手の連中しか裁判官にはならないのが日本なんです。

これを聞いて、再雇用合格を取り消された原告である先生は次のように反論されました。

親も裁判所も、社会はみんなそう言うのでしょう。それは判っています。でも、教師が「内心の自由」や「理想」を語らなくて、誰が生徒たちに「理想」を語るのでしょうか。
だから、教師である僕は起立しなかったのです。

こんな教師を「反日教師」、「青臭いサヨク教師」として学校から排除する社会。それが日本なんですな。

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2008年3月 8日 (土)

二年目も順調 労働審判手続

■労働審判施行二年

 労働審判の一年目の順調な滑り出しは、二年目も続いています。
 2006(平成18)年4月に労働審判手続が実施されて二年を経過しようとしています。今年2月26日、最高裁事務総局行政局と日弁連との労働審判制度に関する協議会がありました。また、同月28日には東京地裁労働部と東京三弁護士会との労働審判協議会が開催されました。東京地裁労働部と東京三弁護士会労働審判協議会との協議結果の詳細は、後日、判例タイムズに掲載される予定です。

■申立事件の顕著な増加傾向

 最高裁が発表した労働審判手続の速報値から特徴を検討します。

 2006年4月~2007年3月(平成18年度の1年間)申立件数
  東京地裁  345件 (平均月申立件数28.8件)
    全    国   1163件 (平均月申立件数96.9件)

 2007年4月~同年12月(平成19年度の9か月)申立件数
  東京地裁  398件 (平均月申立件数44.2件)
  全   国  1208件 (平均月申立件数134.2件)

 二年目に入ってから東京地裁は一年目と比較して1.5倍、全国でも1.4倍のペースで増加しています。このペースで行くと、二年目の申立件数は、東京地裁で500件を超え、全国では1600件を超えることになります。

■労働審判解決率 約8割。平均審理期間 約70日。

 労働審判の解決の傾向は、二年目になっても一年目と変わりません。調停成立が約7割、労働審判になる約2割のうち、異議申立がなく確定するものが4割あります。つまり、労働審判手続内で約8割が解決しています。しかも、申立から終局までの平均審理期間は東京地裁は約70日、全国平均は約75日です。

 ○調停成立  
      東京地裁 72.5%
   全   国   69.3%
 ○労働審判             異議申立
      東京地裁 18.2%→62.3%
   全   国   20.1%→61.0%
  ○24条終了
   東京地裁 3.2%
   全    国  3.2%
 ○取下げ等
      東京地裁 6.2%
    全   国   7.5%
  ○申立から終局までの平均審理期間
   東京地裁 69.8日
   全    国 74.9日

■裁判官ネットワークでの裁判官の感想

 日本裁判官ネットワークのオピニオンのコーナーの「Judgeの目18」で、浅見宣義判事(大分地裁)が感想を述べられています。ごく一部を引用させていただきます。詳細は是非、同ネットワークのHPでご覧下さい。 http://www.j-j-n.com/
 

… 労働事件といえば、激しい対立を予想しますから、果たして3回の審理期日で終結できるものか私自身心配でした。…制度そのものに悲観論も根強かったように思いますし、利用する側の弁護士さんからも、悲観論を直接聞かされることも私自身経験しました。しかし、実際に制度が始まり、自分も数件関与してみると、確かに3回の審理期日で全ての事件が終結に至ったのです。しかも、話し合いで解決する調停成立に至った事件がほとんどです。…

■労働審判手続の妙味

 労働審判手続は、単なる調停ではありません。労働審判委員会が双方の言い分を聞いた上で、一応の判断に基づいて手続きが進められるものです。法律家である労働審判官、労使から推薦された労働審判員の「判定」を踏まえての話し合い手続きだからこそ、調停成立率が高いのです。当事者に対する説得力と納得性が高いからこそ、調停成立率が高まるのだと思います。このバランスが崩れると、労働審判委員会の調停案の「押しつけ」になってしまいます。このような愚に陥ることなく、労働審判手続がより一層、活用されることが期待されます。

◆過去の労働審判関連ブログ

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/03/post_5976.html

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/05/post_f215.html

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/06/post_8650.html

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2008年3月 5日 (水)

またまた「法曹増員」論

■法曹増員「見直し」の流れは決まったか?

宮崎次期日弁連会長の法曹増員の見直し表明したこと、鳩山法務大臣の増員見直しのための法務省内にチームが発足をしたのを見て、「法曹増員の見直しの流れが決まった」かのように分析をする人がいます。しかし、まだ、その結論を出すのは時期尚早でしょう。

読売新聞が3月3日の社説で、「司法試験合格者 増員のスピードを緩めるな」と論じています。日経、朝日、毎日、東京各紙が、法曹増員「見直し」に対して反対を表明しています。

<規制改革派>の日経、読売は「競争によって弁護士の質が向上する」と言い、<市民派>の朝日、毎日、東京新聞各紙は、弁護士が市民から相変わらず縁遠い存在であり、自らの既得権を維持するために市民のニーズを無視していると言うのです。

このマスコミの一斉非難は、大きな影響力を持ちます。そう簡単に増員路線の変更とはならないでしょう。鳩山法相の意見が市民の支持を得ることができ、閣議決定を覆すことができるか、そう楽観できないように思います。

■「人権派」弁護士たちの法曹増員絶対反対論

これに対して、多くの人権派弁護士と、地方中堅都市の弁護士会が強く反発しています。

彼らは、「大マスコミは<規制改革派>の走狗」、「国家権力と対峙する弁護士に対する攻撃にほかならない」というのです。「弁護士増員となり弁護士が経済的苦境にたつと、もはや人権擁護活動ができなくなるから」というわけです。確かにそういう側面は否定しません。でも、これに市民が賛同してくれるかということが問題なのです

■弁護士が一丸になって声高に「法曹増員反対」と叫んでも

新人弁護士の就職難は大変な状況です。何とかしたいと思います。しかし、だからといって、弁護士会が一丸になって「増員反対」と叫んでも、私は市民らの賛成を得られるとは思えないのです。市民の賛同を得られなければ増員路線も変えられない。(政治家は市民の声がなければ動かない。)「市民って誰か」と言えば、依頼者ということです。

市民にとっては、身近に弁護士がたくさんいて、安く相談できたほうが良いのですから。マスコミや市民に対して、「規制改革派だ」とか、「弁護士自治に対する攻撃だ」とかいっても市民の理解を得られるとは思えません。司法書士さんや、社労士さんや、税理士さん、行政書士さんたちは、国家資格をとったとしても全員が一年目から年間600万円の収入を得られるわけではないのだと思います。

弁護士である私としては、難関の司法試験を合格した以上、そのくらいは当然じゃないかと思う気持ちはあります。でも、それは市民の皆さんの賛同を得られるのでしょうか。「合格しやすくなったのだから、仕方がないじゃないの。合格してから努力したら良いのに。」と言われないでしょうかね・・・。というか、多くの市民はこんな話は無関係と思って、興味がないのかもしれませんが。(弁護士や裁判がどうなろうと一般の人には関係ないもんね-自分が裁判の当事者にならない限り)

反対派が「市民」を説得するとしたら、司法試験合格者が500~1000人であっても、あるはその程度の方が、<市民派>の要望やニーズに応えられる具体策を提示することでしょうね。

ところが、残念ながら反対派は、その具体策を提起できていません。反対派の多くは、法テラスには反対するし、公設事務所にも批判的な人が多いのが不思議です。他方、裁判員制度については、市民の多くが反対だからと言って反対している人が多いのです。裁判員制度反対派と、増員断固反対派の中心部分の人たちは重なっていますし。こんなことを言うと、私は、「司法改悪主義者」のレッテルを貼られるのが落ちでしょうが・・・・。

弁護士や弁護士会が、多重債務者や生活保護者の権利救済などに力を入れてきたこと、当番弁護士制度の導入して実践してきたこと、司法過疎地に「ひまわり基金公設事務所」を展開して司法過疎克服に努力していることなどを、市民にもっと知ってもらえたら良いのですが。

<市民派>が満足できるような弁護士が身近に増えるためには、法律扶助や国選弁護士報酬の増額につなげるしかありません。また、法テラスや公設事務所の給与水準を向上させ、任期後のキャリア展開を容易にする就業条件を整えることが現実的な方策なのでしょう。

■もし法曹増員を阻止したら、その次にくるものは・・・

もし弁護士が一丸になって増員反対論にまとまって、仮に増員を阻止することができた場合、その次に来るのは、弁護士法72条の撤廃、司法書士などの訴訟代理権の拡大、社会保険労務士の労働訴訟・労働審判への代理権付与です。結局、法曹人口増加を阻止しても、やはり新人弁護士の就職難は解消されないのでしょう。

まさに「前門の虎 後門の狼」の状況です。そうである以上、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」なのではないでしょうか。

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2008年3月 2日 (日)

首都圏建設アスベスト訴訟

■首都圏建設アスベスト訴訟

3月2日、東京の星陵会館で、首都圏建設アスベスト訴訟統一弁護団結成総会を開催しました。東京、埼玉、千葉、神奈川の原告205名 が原告となっています。東京地裁は5月16日提訴で準備を進めています。

弁護団で検討しはじめてから、1年です。弁護団と東京土建をはじめとした建設労働者の労働組合と準備をすすめてきました。いよいよ満を持して提訴の日取りを決め、首都圏の統一弁護団が結成されました。東京、千葉、埼玉、そして神奈川の原告団は既に結成総会を開催していましたが、首都圏の統一弁護団が今日、結成されたのです。

原告団結成総会に先立ち、シンポジウムが行われ、宮本憲一教授(大阪市立大学名誉教授)、海老原勇医師、泉南石綿国賠訴訟弁護団副団長村松弁護士、首都圏建設アスベスト訴訟弁護団幹事長山下弁護士が参加しました。コーディネーターは永山利和教授(日大教授、建設政策研究所長)が参加して、国の責任について論じました。日本の石綿対策の遅れが明らかになります。

■建築物解体のピークはこれから

原告団と弁護団、建設関係の労働組合は、国と企業に対するたたかいの火ぶたを斬りました。じん肺訴訟、公害訴訟、薬害訴訟のたたかいを踏まえてのたたかいです。

建設アスベストは、建設労働者だけの問題ではありません。1000万トン輸入されたアスベストの9割は建材に使用されています。建築物の寿命は30年として、2020年に解体作業のピークを迎えます。解体作業に従事する労働者だけでなく、解体による石綿曝露が付近住民、そして廃棄地域住民に広く拡大します。

現在でも、解体作業で石綿対策をすると多額の費用がかかるとして、アスベスト対策は無視して、解体が行われています。自治体も政府も監督を放置しています。

建設作業労働者の被害ではなく、全ての住民に危険をばらまくことがこれから始まります。宮本憲一教授は、複合型ストック公害と指摘されました。水俣病公害対策の失敗をまた繰り返すことになると警鐘を鳴らしています。

■被害にはじまり被害に終わる

公害事件、薬害事件、労災事件。すべては被害の深刻さが出発点であり、同時に訴訟、そして政治による解決は、被害を見据えてのこそ全面解決がはかることができる。これが原点です。統一訴訟弁護団団長の小野寺利孝弁護士は、たたかいの原則は「被害に始まり、被害に終わる」という格言であり、この被害を裁判所、政治家、そして、国民にいかに訴えるかが重要であり、そのためには、原告と家族こそが戦いの主人公であると挨拶されました。

今日、遺族原告の奥さんが、建設労働者の旦那さんの闘病を切々と訴えられました。夫の苦しみは無駄にしたくないとの訴えは胸にせまるものがありました。

■明日からの大きなたたかい

明日は、企業への要請と厚労省をはじめとした行政に対する要請行動の予定です。弁護士として、大きな新しいたたかいに参加する記念すべき一日です。 下記は今日のシンポジウムの写真です。

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