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2007年12月31日 (月)

品川正治氏・講演「戦争・人間・そして憲法9条」 自由と正義12月号

■「自由と正義」(日弁連会報)12月号 

品川正治氏は,1924年(大正13年)生まれ。日本興亜損保社長,経済同友会専務理事を努め,現在も経済同友会終身幹事です。旧制三高のときに徴兵され,中国にて従軍した戦中派です。

■「戦争・人間・そして憲法9条」講演

その品川氏は次のように語ります。

戦争を起こすのも人間です。それを許さず,止めることができるのも人間。おまえはどっちなんだ,それが私の基本的な戦争観としてはっきりと,あとの60年間は私の座標軸として,一度も揺らいでおりません。

個人に何ができるのかという無力感が支配する今の時代に,「あなたはどっちの側に立ちたいのか」という問いかけは貴重だと思います。特に,品川氏のような戦争体験をもった日本人からの問いは重いものがあります。(「戦争が希望だ」という若者・赤木智弘氏は,この問いにどう応答するのでしょうか? きっと,「そんなことより,経済人なら,おれに仕事をくれ。カネをくれ」というんでしょうね。)

品川氏は,中国の河南省で終戦を迎えたが,8月15日以降も国共内戦にまきこまれて,重慶政府から武器弾薬を供給され,戦闘態勢を継続していたそうです。そして,11月になり,ようやく武装解除され捕虜収容所に入れられ,ようやく翌年5月に帰国した。その帰国船の中で,日本国憲法草案が発表されている新聞を読んで全員が泣いたと言います。

「憲法9条が陸海空軍を持たない。国の交戦権を認めない」,そこまではっきり書かれている。それを知って,「これなら生きていける」「こらなら亡くなった戦友の魂も癒される」「よくぞここまで思い切ってくれた。これならアジアに対する贖罪もできる」,そいう気持ちを本当にはじめて現憲法と出会ったその日の感動というのを,到底忘れることができません。

■日本とアメリカは価値観を共有していない。

日本とアメリカが価値観を共有しているというのが政財界の主流だが,それに異を唱えます。

なぜ,「日本とアメリカは価値観が違う」と言えないのか。戦争を今を今やっている国と戦争はしないという国の価値観が一緒なんですか? 世界で原爆を落とした唯一の国はアメリカです。落とされたたった一つの国は日本です。その価値観が一緒だと言ってしまったら,歴史をどう解釈したらいいのですか。

私は外交官が集まった席でお話しをしたことがあります。「あなたちの力で日本とアメリカとは違うということを言い切れますか?納得させることができますか?」

「それは品川さん,無理なんです。できないのです。しかし,できる方法は一つあります。日本国民が言うことです」と言われました。

ある外交官は,次のように言ったそうです。

「あなたが問題にされるような事態を変えられるのは,国民の力だけなんだ。国民投票で,憲法9条を改正することに国民が「ノー」と言ってしまえば,アメリカと日本とは価値観が違うということを世界に宣言したことになる。それは単に日本のこれからのあり方だけの問題ではなくて,世界史も変えるだけの大きなことなんだ。それができるのは国民だけなんですよ。」そうおっしゃったんです。現役(外交官)の方から拍手がでました。

■戦中派・経済人の護憲派

日本の国民の出番が来ました。アメリカの世界戦略を変えることができるのも,日本国民の肩にかかっています。世界第二位の経済大国の国民が資本主義のあり方もこれで行きますよ」と言って堂々としていればそれでいいんです。日本の資本主義のやり方が間違っていたら,こんな世界二位になんてなるはずはないんです。

品川氏は,経済人でありながら憲法9条を擁護する方として有名です。日弁連の憲法60周年のシンポジウムで品川講演を聴いて涙する聴衆が多く,講演が終わった時には拍手が鳴りやまなかったと言います。

素晴らしい講演録です。全文を読みたい方は,各地の弁護士会か,霞ヶ関の弁護士会館の地下の書店に行けば手に入ると思います。高校生や大学生に読んで貰いたい内容です。

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