ラポール・サービス事件 派遣労働者の解雇
大阪の村田浩治先生から,派遣労働者の解雇事件(ラポール・サービス事件)の判決(名古屋地裁平成19年6月6日判決,名古屋高裁平成19年11月16日判決)を送ってもらいました。画期的な判決です。同事件の弁護団は村田先生のほか,名古屋の中谷雄二先生,田巻紘子先生です。大変に興味深い判決です。
■事案の概要
名古屋地裁判決が認定した事案の概要は次のとおりです。
原告Xは,平成19年9月20日頃,派遣会社である被告㈱ラポール・サービス(Y社)に期間の定めのない労働契約を締結して,平成16年9月20日頃から平成17年8月31日まで,Y社からM社に,派遣されて製造業に従事していた。Y社からM社にはXのほか約4,50名の社員が派遣されていた。
Y社は,平成15年12月設立以降,M社にしか労働者を派遣しておらず,M社も仕事に慣れた労働者を使用したいとの希望があった。Y社とM社は,同一の労働者を同一の職場で長期間稼働させながら労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律に違反しないようにすべく,1年間の派遣期間の制限を超える前に,M社が同法に基づく指針による派遣中断期間である3ヶ月間直接雇用し,その後,さらにY社から派遣するという方法をとった。
Xは,平成17年9月1日から同年11月30日までは,他の派遣社員らとともに,M社に雇用されてそれまでと同一の業務に従事した。
X以外の派遣社員らは,同年12月1日以降,Y社と雇用契約を締結して業務に従事したが,Xについては雇用が継続されなかった。その理由は,M社がXの派遣受入れを拒否したため,Y社は他社での就労を勧めたが,Xがこれを拒否したため,解雇したと主張している。
■名古屋地裁判決
名古屋地裁判決(多見谷寿郎裁判官)は,次のように判断しました。
争点(1)【平成17年9月,XとM社との間で雇傭契約が締結される際に,本件雇傭契約が合意解約されたか。】
本件雇用契約(XとY社の雇傭契約)を解約する旨の明示的合意はなく,そのような黙示の合意があったとも認められない。…(中略)…このような実態にかんがみると,M社との雇用契約期間中は被告に在籍したまま出向しているに過ぎないというのが当事者の合理的な意思であると解することができる。
争点(2)【被告が平成17年12月にXの雇用継続を拒否したこと(解雇)が,解雇権の濫用にあたるか】
派遣先であるM社がXの受け入れを拒否したというだけでは,客観的に合理的な解雇の理由があるとはいえない。…(中略)… M社から原告の受け入れを拒否された際に,原告が自転車で転倒して負傷し仕事を休んだこと,残業の指示に従わなかったことを国利されたと指摘するが,…,これらおwもって客観的に合理的な解雇の理由に当たるとはいえない。また,Y社はXに対してA社での就労を勧めた旨主張するが,…就労場所や職務内容等を具体敵に特定して就労を指示したとまで認めることはできず,その他解雇を相当とする事情は認められない。
要するに,名古屋地裁は,XとM社との3ヶ月の雇用契約期間を,Y社からの在籍出向であったと認定して,Y社がXの雇用を継続しなかったことを解雇と評価して,XのY社に対する請求を認めた。
■名古屋高裁判決
名古屋高裁判決も,地裁判決を支持し,「M社との雇用契約が成立した実態を出向と評価した原判決に事実誤認はない」と判決しています。
■脱法行為
Y社は,労働者派遣法の規制を脱法するために,M社に3ヶ月だけ直接雇用として,その経過後,また派遣労働者として派遣するというやり方をしていたのです。期間の定めのない労働契約として,中断期間は,在籍出向だとして事案の解決をはかった判決です。アクロバティックな構成です。なるほど。という画期的な判決です。
もしY社がXとの間で有期雇用契約書(平成16年9月20日から同17年8月31日)を締結していた場合にはどうなるのでしょうか。
この場合には,Y社の有期雇用契約とM社の3ヶ月の雇用契約は脱法行為として無効として,Y社の1年有期雇用契約であり,M社への3ヶ月は出向扱いとして,恣意的な雇用継続拒否は解雇あるいは雇い止めと解するのでしょうね。
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コメント
ご無沙汰しています。
熊高時代の島田 誠です。
新井肇先生が一昨年、兵庫教育大学の教授に転出されました。
ついては、熊谷で先生の記念講演を有志で実施できればということになりまし
た。
そこで水口君にも幹事としてご協力をいただければと思うのですが
いかがでしょうか。(時期は今年9月、先生には内諾をいただいています。)
よろしくお願いします。
投稿: shimada makoto | 2008年2月19日 (火) 10時31分