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2007年12月 5日 (水)

労使双方が反対の労働契約法・・・だったよね,やっぱ。

■労使双方が反対していた労働契約法・・・?

hamachan先生が丸尾弁護士の「労使双方が反対していた労働契約法」というコラムについて次のようにコメントしています。

日経BIZPLUSで、経営法曹の丸尾拓養氏が、「労使双方が反対していた労働契約法の成立と今後の労使関係」を書かれています。いささかミスリーディングな標題ではないでしょうか。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm?p=1

詳細は次をご覧下さい(hamachan先生と違って,私は「判例立法でいいじゃんか」派ですが。)
     ↓
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_151b.html

■しかし,やはり労使双方とも反対していたと思います

労政審労働条件分科会での労使委員の意見を傍聴して聞く限り,労働者側は就業規則法理の導入は絶対反対の原則論で突っ張っていました。他方で,使用者側は黙して語らず(一人,「裸の女王様」がウケ狙いで発言していましたが。)で,公益委員と労働者側委員の対決が目立っていました。途中から,労基法の割増の話が出てから,使用者側は俄然,労働契約法も新しい規制だと反発を強めたという感じでしたね。

就業規則論では,「入り口論」での労働側の反発が強かったです。そもそも労働契約法に就業規則法理を入れることは反対という労働法教科書的な原則的な対応が,連合の立場でした。

日弁連労働法制委員会で,就業規則不利益変更の法理(合理性の要件)を労働契約法に明文化することに「積極的な意義がある」と言ったら,労働側から大反発でしたからね。

民主党,共産党や社民党の皆さんに要請したとき,各政党の皆さん「40年間の判例をもとにした実務の重さ」は認識しているとおっしゃっていました。

でも,就業規則法理の導入自体に反対という対応をすることで,政府側の譲歩を引き出せるという政治的な感覚があったんだと思います。このヘンはやはり,政治的センスなのでは,と思っています(リーガル・マインドとは全く違いますし,官僚マインドとも違うんでしょうな。)。

この労働契約法の修正成立したという結果は,それが成功したのでしょうか・・・。
う~んどうかいな。

もっと正面から議論したほうが良かったのでは。

そして,就業規則の判例法理の立法化に反対の人たちは,ちゃんとこういう労働契約法をつくれという法案を提出したら,面白かったのに,と思います。(これってリーガルマインドじゃ。)

でも,連合試案以外には,成立する見込みのない法案まで作ろうというエネルギーをもった人たちがいなかったということでしょうね。

■素直でウブな法律家にはついていけません

素直でウブな法律家は,判例の就業規則変更法理を如何に,条文化するかをもっと議論した方が建設的だと思っていました。そんな意見は全く無視され,あくまで,労働契約法に就業規則法理を導入するのは理論的に誤っているとか,労基法を解体するための労働契約法であるとか,使用者やりたい放題法案なのだとか,「なんだかな~」というような イデオロギー論争的な「空中戦」になっちゃいました。(「ホンマに条文読んでいるのかいな?」って思うような突飛な意見も飛び出していましたなあ。)

この「労働契約法反対闘争」で,系統を超えた共同行動が進んだとして評価する人たちも結構います。

他方で,こういう原則論でぶちかましておいて,あるところで急転直下,話をつけるというのも政治的な腕力なのでしょう。

また,それを見越して,自己の立ち位置をはかって存在意義をアピールするという他の野党の政治的波乗りセンスは,「なるほどね。」って思います。(うがちすぎ?)

やはり,素直な法律家にはついていけません。経営法曹の丸尾先生と,私は全く立場は違いますけど,やはり途中までは労使双方,労働契約法に対する反対意見(消極姿勢)が強かったというのが,素直な現場感覚です。

もちろん,経営側が本気で反対したら,成立しなかったことは争いはない(労働側が本気で反対しても,成立しますけどねえ。)

このネタはもう止めようと思っていましたが・・・・・,hamachan先生のブログに刺激されてしまいました。

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