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2007年12月15日 (土)

映画「日本の青空」盛会

■日本の青空

新宿地域の弁護士や労働組合が実行委員会をつくって映画「日本の青空」を上映しました。11月29日に一日3回の上映会を実施して,約1700人が上映会に参加しました(有料)。大盛会でした。

http://www.cinema-indies.co.jp/aozora/

日本国憲法の制定までを描く映画を初めて観ました。おそらく,映画では,初めてではないでしょうか。

■憲法研究会

メンバーは,高野岩三郎,室伏高信,森戸辰男,鈴木安蔵らが1945年12月27日「憲法改正案要綱」を発表した。この憲法研究会案は,GHQの民政局から注目されて,GHQ憲法草案起草メンバーのラウエルは,1946年1月11日の覚書にて高く評価した。特に,天皇の権限を国家的儀礼のみに制限した構想は,象徴天皇制につながったようです。

松本蒸治大臣を委員長とする保守的な改正案が準備されますが,GHQはこれを承認せず,GHQ草案(マッカーサー草案)が起草されます。

■あらすじ

映画の「あらすじ」は,民間グループ(憲法研究会)が作成した憲法案が,占領軍(GHQ)憲法案(マッカーサー草案)の基礎になったという事実を若い記者が追っていくというものです。つまり,押しつけ憲法ではないことを発見する,というストーリーです。

GHQ草案が1946年2月13日に日本政府に手交され,3月4日から5日かけて,徹夜で日本側の佐藤達夫らとGHQ民政局とが共同作業を行い,「憲法改正草案」が完成します。松本蒸治国務大臣,佐藤達夫内閣法制局第1部長,白州次郎終戦連絡事務局次長らと,GHQのホイットニー民政局長,ケーディス部長,ラウエル法規課長,ベアテ・シロタ民政局員らとの徹夜の作業を描いています。(ムチャと言えば,無茶苦茶ですね。これじゃあ,押しつけと言われても仕方がないよなあ。)。

映画のハイライトは,この30時間に及ぶ,逐条ごとの日米担当者間の交渉の場面です。憲法24条がベアテ・シロタ氏の熱意で削除されなかったことなどが描かれます(日本女性は,ベアテ氏に足を向けて眠れないですよ。ホント)。

■ラウエルの台詞

その交渉途中に,松本大臣が「押しつけだ」と抗議するのに対して,ラウエル法規課長が,「GHQ案は日本の憲法研究会案をもとにしており,日本の民主主義の伝統の復活だ」という趣旨を説明する場面があります。このシーンは,たまたま松本大臣とラウエルが二人っきりになった休憩時間のやりとりとして描かれています。

まあ,この場面は史実ではないでしょうね。脚本家が,ラウエルが憲法研究会案を高く評価した覚書を作成したことから思いついた場面でしょう。ただ,憲法研究会案が,GHQに大きな影響を与えたことは間違いない。

■護憲のメッセージ映画

なかなか面白い映画です。高校生と大学生の子どもたちに見せたいと思いましたが,「忙しい」といって拒否されました。

この映画が政治宣伝だとして,公民館を貸与しないなんて,自治体もあるようです。公務員には憲法尊重擁護義務があるのに!

私は,鈴木安蔵氏が,治安維持法第1号事件(京大学連事件)の被告人だったことを初めて知りました。

なお,主人公の女性記者のボーイフレンドが司法試験を目指すようになるラスト,司法試験予備校の伊藤塾のテキストが出てきます(笑)。協力してくれた伊藤塾へのサービスでしょうか。

■日本国憲法制定史の文庫本

日本国憲法制定の歴史に関しては,文庫本でも,いろいろでています。簡単に手に入り,どれも電車の中で読めます。大変に面白いです。

①「新憲法の誕生」 古関彰一著 中公文庫

②「日本国憲法誕生記」 佐藤達夫著 中公文庫

③「日本国憲法・検証 第1巻 憲法制定史」 竹前栄治・岡部史信著 小学館文庫

「新憲法は天皇制維持のための避雷針だ」とか,「9条2項の『前項の目的に達するために』が挿入されたことを聞いて,極東委員会のフィリピン代表が『日本は必ず再武装する』と考えて文民条項を入れさせた」とか,「憲法9条の非武装条項は,天皇戦犯訴追回避のための方策だった」とか,史料に基づいて分析されています。

映画では描かれませんでしたが,鈴木安蔵の憲法研究会案には憲法改正見直し条項がついていたそうです。

此ノ憲法公布後遅クモ十年以内ニ国民投票ニヨル新憲法ノ制定ヲナスベシ

これは占領下という不安定な中で制定された憲法は,あらためて国民投票にて確認されるべきとの考えだったそうです(竹前栄治・岡部史信「憲法制定史」小学館文庫)。

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