仏の新採用契約(CNE)はILO158号条約違反
■ILO 仏 試用期間2年は条約違反
2007年11月22日の赤旗の記事です。
ILOは,十四日,二年間の試用期間中は自由に解雇ができることを認めたフランスの国内法が,ILO条約に違反するとの判断を示しました。…仏労組「労働者の力」(FO)の申立を受けてのものです。
仏政府が雇用対策として,従業員20人未満の企業を対象に2005年8月に導入した「新採用契約」(CNE)法は,契約から2年間は労使双方からの労働契約の破棄を自由に認めています。
ILO条約一五八号は「有効な理由がなければ労働者は解雇されてはならない」「試用期間は合理的な長さで,事前に定められていなければならない」と規定してます。
パリ控訴院(高裁)は今年七月,二年の試用期間中,雇用主が自由に解雇できるとするCNEは,労働者の重要な権利を奪うもので,ILO条約に違反するとの判断を示していました。
■ILO駐日事務所のHP
↓
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/st_c158.htm
1982年の雇用終了条約(第158号)
正 式 名 : 使用者の発意による雇用の終了に関する条約
(第68回総会で1982年6月22日採択。条約発効日:1985年11月23日。分類について結論が出ていない条約)
日本の批准状況:未批准 ◆批准国一覧(英語)
条約の主題別分類:雇用の終了-解雇 条約のテーマ:雇用保障
[ 概 要 ] 労働者を正当理由のない雇用の終了から保護することを目的とする。条約に掲げられた例外を除くすべての業務が保護の対象となっている。 使用者は、労働者の能力や行為に関する妥当な理由、企業運営上の妥当な理由がなければ、労働者を解雇することができない。条約は特に、次のものは妥当な理由とならないことを定めている。組合員たること、組合活動への参加、人種、皮膚の色、性、婚姻関係、家族的責任、妊娠、宗教、政治的見解、国民的出身、社会的出身、出産休暇中の休業。 解雇を不当と考える労働者は、公平な第三者機関に提訴することができる。不当解雇の挙証責任は労働者だけに負わされるのではなく、使用者または当事者の提出した証拠につき結論を出すよう権限を与えられた機関のいずれか、もしくは両者にも負わされることになる。 また、雇用終了が合法的に行われる場合の手続きとして、予告期間、雇用証明書、退職手当その他の所得保障が規定されている。 経済、技術、構造的またはそれに類する理由による雇用の終了に関して、使用者が労働者代表と協議することや、権限ある機関にできる限り早く通告することなどについてのさらに詳しい規定がおかれている。 当条約は、1963年の雇用終了勧告(第119号)採択以降の各国での問題の発展、この問題の重要性に鑑み、当条約を補足する同名の勧告(第166号)とともに119号勧告に代わるものとして採択された。 |
■批准国一覧を見ると
批准国は,いわゆる先進国に属する国がフランス,スウェーデン,フィンランド,スペインなど少数ですね。もちろん,日本は批准していません。
CPE(初期雇用契約)反対運動が盛り上がったけど,CNEは反対運動は盛り上がらなかったそうでした。その後も,FOはILOに条約違反を申し立てて頑張っていたのですな。
■1年半前の議論
CPEのことは,2006年にブログにさかんに書きました。
↓
http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/04/post_b66f.html
CPEは,あの頃の「労働契約法」ネタでした・・・。
労働契約法の動向は,当時は、ほとんど注目されていませんでした。当時、私たちが議論していたのは「毒入りまんじゅうだけど、毒をいかに抜くのか。」ということでした。紆余曲折を経て,それなりに解毒されたと思いますけど・・・。
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