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2007年11月11日 (日)

日本労働弁護団50周年総会

■旧総評弁護団

日本労働弁護団(旧総評弁護団)の創立50周年のシンポ,レセプション,総会が11月9日,10日開催に東京の虎ノ門パストラルで開催されました。一日目は,東京,大阪,福岡の若手弁護士を加えたシンポジウムがありました。

びっくりしたのは,10年選手の弁護士のほとんどが,集団的労働紛争の経験がなく,もっぱら個別労働紛争中心の労働弁護士活動をしていることです。集団的労使紛争の「資本と労働の対決」構図(古いか?)の労働事件を,ほとんど経験していないことに驚きました。

■昔話し

私が,弁護士になったときは1986年です。この年は,国鉄分割民営化反対闘争の時期ですから,弁護士になったときには,毎週,人材活用センターに出かけて,労組の抗議行動の警備担当弁護士業務。事務所にもどってきては,毎晩,仮処分申立の準備や陳述書つくりや労働委員会申立書起案(ワープロがないから手書き)。ほんでもって,毎週1回,一日中,労働委員会の審問をやっていました。

また,倒産争議では,組合事務所に泊まり込んで仮差や地位保全仮処分の申立書を起案していました。整理解雇事件で敗訴して落ちこんだり,争議事件で横浜の本牧にいって貨物船接岸反対ピケ行動に参加したり。「バブル」前の時代で,「円高不況」「減量経営」の時代でした。

私は,司法修習でいうと38期ですが,こういう労働事件があった最後の世代くらいだと思います。それでも,その前の世代から見れば,おとなしい時代だったのだと思います。

■ホットライン活動

その後,労働弁護団は1993年にホットラインの活動を開始しました。

殺到する未組織労働者の労働相談に直面しました。突然の解雇,退職強要などの深刻な相談に弁護士として何とか対応しなければなりません。労働組合に相談しろといっても労組が頼れないから相談してきているのです。労働組合に結集できない圧倒的多数の労働者に,「階級意識が低い」といって突き放すわけにはいきません。

個別労働紛争に労働弁護士としてどう対応するかを議論しました。古い世代の労働弁護士たちからは,「個別労働紛争は階級的意義がない」,「賽の河原の石積みでしかない」などとの意見も多かったと思います。

■市民的労働裁判

労働弁護団は,旧来型の労組から依頼を受ける労働裁判だけでなく,未組織の労働者の相談も積極的に提訴しようと打ち出しました。【市民的労働裁判】とネーミング。その取り組みと熱意が,労働裁判改革につながっていきました。

また,1995年には,ドイツ労働裁判所の調査に出かけてカルチャーショックを受け,このような司法制度が日本でも必要と痛感しました。

このような取り組みが,労働審判手続法へつながったと思います。労弁のホットライン活動と個別労働紛争解決のための労働審判手続法の制定は確実に共鳴しています。

■若手弁護士のシンポジウム

労弁のシンポジウムでは,若手(といっても10年経験)の弁護士らが,非正規労働者の労働相談をうけて積極的に事件を提起して取り組んでいる活動が語られました。

大阪の派遣労働問題研究会の活動,福岡の連合ユニオンと協力しての労働相談の取り組み,東京の日雇派遣のデータ費用返還訴訟やマクドナルド店長の残業代請求の取り組みが報告されました。

正規労働組合が取り組んでこなかった非正規労働者の問題を,弁護士がネットワーク型の地域合同労組や地域ユニオンと一緒に取り組んでいる姿は,新しい労働弁護士の在り方だと思いました。

■夜のレセプション

労働法学者の菅野和夫教授もおいでになっていました。「労働法復権の時代」になっているとスピーチされていましたが,そうなって欲しいものです。

ということで,楽しい会合でした・・・が。参加人数は多いとはいえませんでしたね。往年の大人数の総会を知る古手の弁護士が「人数が少なくなったね」と言われていました。・・・きっと,これからは増えることでしょう。

■幹事長交代

労働弁護団の幹事長が旬報法律事務所の鴨田哲郎弁護士から,横浜法律事務所の小島周一弁護士に交代しました。鴨田先生5年間 お疲れ様でした。

【追記】

トンネルじん肺根絶訴訟弁護団は,この50回総会にて栄えある(?)日本労働弁護団賞を受賞しました。最初の日本労働弁護団賞は「丸子警報機事件」でした。私は,二度目ということで,うれしいです。

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コメント

 はじめまして。ハンドルネームにて失礼致します。竜の子と申します。
 
 私は、法科大学院に在学し、労働弁護士を目指し、学業に励んでいる者です。

 労働弁護士について知りたいと思い、インターネットを検索していたところ、先生のブログにたどり着きました。
 先生のブログは、労働弁護士の視点から記述されているため、大変参考になります。今後も、拝見させて頂きます。宜しくお願い致します。

投稿: 竜の子 | 2007年11月14日 (水) 12時44分

う~ん,私は典型的な労働弁護士というわけではないと思いますが。

今,労働弁護士になろうというロースクール生ってどういうことを考えているのでしょうね?

弁護士になったら,是非,労働弁護団に入ってくださいね。

近い将来にお会いできることを楽しみにしています。

投稿: 水口 | 2007年11月15日 (木) 12時44分

 コメント頂きありがとうございます。

 私は、大学在学中に社労士資格を取得し、勤務社労士として、約9年間会社員として働いてきました。そして、現在、母校のロースクールに在籍しております。

 この9年間で、企業における労務管理の問題(長時間労働、未払い残業代等)について認識を深めると共に、このような問題を解決していくためには、弁護士として、労働者と共に、企業に改善を求めていく活動が不可欠という結論に達しました。
 私は、この考え方に基づき、ロースクールで法律を学び、弁護士になるために学習を続けております。

 弁護士になったら、ぜひ、労働弁護団に入れて頂きたいと思います。そのためにも、日々の学習に励んでいきたいと思います。

 今後も引き続き、ブログを拝見させて頂きます。今回は、本当にありがとうございました。

投稿: 竜の子 | 2007年11月18日 (日) 09時31分

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