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2007年9月 2日 (日)

読書日記「格差社会ニッポンで働くということ」熊沢誠著・・・・と、雨宮処凛の「叫び」

                               岩波書店      2007年6月   発行
                               2007年9月1日 読了

熊沢誠教授が甲南大学を退職されてから、大阪の市民講座「格差社会ニッポンの労働」(全10回連続講座)の講演をもとにして書かれた著作です。現在の格差社会ニッポンの労働の有り様の全体を見渡したものになっています。

著者らしく、あくまで一人一人の下積みの労働者の目線から、働く現場から、格差と不平等を分析しています。「格差」を示す統計数値も整理されており、判りやすいです。

■非正規雇用と女性労働者
さすがに現在は「男は仕事・、女は家庭」という古典的な性別役割分担はなくなったが、しかし、「女は仕事を持つのは良いが、家事・育児はきちんとすべきだ」とする意見が男89%、女85%を占めるそうです(同書121頁。総理府1997年「男女共同参画社会に関する世論調査」)。

男性総合職の労働者らの長時間・過密労働(働きすぎ)を「標準」とし、上記の女は家事・育児もきちんとすべきという社会的意識の中で、女性総合職、一般職、主婦パートへと(既婚女性)は「非正規雇用」へと選択していくとしています。

ワークライフバランスは結構だが、それが企業の側の「選別」でなく、労働者側の「権利としての選択」でなければならないと指摘されています。

もっともなことです。(「上質な市場社会に向けて~公正、安定、多様性~」研究会報告書は、この「権利としての選択」という観点はないよね。)

■若者たち
若者たちは非正規雇用はもちろん、正規雇用であってさえ、大きな困難に直面していることを指摘してます。「勝ち組」とされる正規雇用の若者であっても、働きすぎ、燃え尽きや職場の人間関係上の困難から早期退職に追い込まれていると言います。しかし、「袋小路」に入って出口がないのは、非正規雇用の若者たちです。著者は、ここに新しい労働運動の息吹を感じているようです。

そしていま2007年春、私たちはようやく、これまで組合というものにほとんど感心もたなかった非正規雇用の若者たちの間に、さまざまな組合運動の芽生えを確認することができます。従来のコミュニティユニオンに加えて、「全国ユニオン」が「派遣ネットワーク」が「ガテン系連帯」が、「首都圏青年ユニオン」が、派遣労働者やフリーターたちに、見失った「隣」・なかまを発見させ、ひどすぎる使い捨ての状況にユニオニズムを対置し始めました。

■若者たちの反撃
雨宮処凛氏は、「生きさせろ!-難民化する若者たち」(太田出版)で次のように叫んでいます。http://www3.tokai.or.jp/amamiya/

我々は反撃を開始する。
若者を低賃金で使い捨て、それによって利益を上げながら若者をバッシングするすべての者に対して。

これらの若者たちが、企業横断的な労働組合を結成し大きく成長することで、労働組合運動が、「正社員の既得権擁護」だけでなく、「公正」と「安定」を実現する運動であることを証明して欲しいと思います。そこから労働組合運動が、再生していくしかないと思います。

■既成労組はカネくらい出せ

既存の大手労働組合こそ、若者の組織拡大のために専従オルグを抱えるために財政援助をすべきでしょう。(20万組織の労組の組合員が1人年500円カンパすれば1億円になる!。)それくらいができない労働運動は「右派」とか「左派」とかを問わず、未来はないでしょう。

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はじめまして、修習生の者です。ブログはいろいろと参考にさせていただいております。「司法試験合格者増の問題」「労働規制緩和と格差社会の問題」等等については、私も自分なりに考えているところですので、一度お越しいただければ幸いです。

投稿: 修習生 | 2007年9月 3日 (月) 15時17分

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