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2007年7月31日 (火)

参議院選挙結果と労働契約法

■参議院選挙での民主党勝利と労働契約法案の動向

自民党の歴史的大敗。
では、継続審議になっている労働契約法案や労基法改正案はどうなるでしょうかね。

民主党としては両法案については対案を持っていました。ですから、多数を制した参議院で、衆議院の法案を、そのまま通すつもりはないでしょう。

でも、民主党も連合も労働契約法自体の必要性は認めていますから、廃案にするのではなく、参議院で労働契約法と労基法一部改正案を労働者側に有利に修正するのでしょう。しかも、「生活の安定」や「格差是正」が旗印でしょうから、「解雇規制」や「有期雇用の規制」などが取り上げられるでしょう。民主党の次の一手に注目です。

■衆議院の優越性といっても

それでも、衆議院が3分の2以上で再可決すれば成立します。でも、自民公明両党としても、近い将来には解散せざるをえないでしょうから、そんな国民に不人気なことはしたくないでしょう。ですから、修正に応じることになるのでしょう。

普通に考えれば、与野党が妥協案を探ることになるのでしょう。そして、選挙への影響を考えれば、自民・公明両党としても、労働者に有利な修正に応じざるを得ないように思われます。場合によっては、参議院送付前に衆議院で修正することもあるのかもしれません。

■臨時国会で修正期待-解散総選挙含み

労働契約法などでは、労働者側に有利な展開が期待できそうです。
とはいえ、9月中旬の臨時国会の最大の攻防ポイントは解散総選挙でしょうから、労働契約法や労基法一部改正なんか、吹っ飛んじゃうかもしれませんが。

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2007年7月29日 (日)

アジア・カップ日韓戦-「国民性」宿命論…吐息

久しぶりにつけた家庭テレビで、アジア・カップを堪能しましたが。

やはり「日本人はなぜシュートを打たないのか?」って本の題名どおりの展開でした。

韓国だって農耕民族ですけど、日本とはずいぶん違います。
鋭い縦パスの展開とシュートへの執念。最後までマークに付いてくる粘着ディフェンスでした。「日帝」に対する恨みモードの強みがあるとはいえ、その闘争心はすごいです。(それだけで勝っている訳でないけど。ポーランドのドイツに対する恨みが強いからといって、ポーランド代表がドイツ代表に勝ってるわけじゃないですからね。)

オシムが監督になっても、横パスの連続。「ボール支配率」が高いと言っても相手チームが脅威と感じないボール回し、ってジーコ監督のときも、トルシエ監督のときも一緒でした。

どうやら監督の問題ではないようです。これが国民性なんでしょうかね。

チャレンジ精神(個性)を押しつぶす日本社会の「重苦しい空気」がサッカーの日本代表を通じて、くっきり浮かび上がったということなのでしょうね。

ワールドカップ地区予選までサッカー話題は休止

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2007年7月26日 (木)

アジア・カップ 日本・サウジアラビア戦

前半25分までは、完全に日本のペースでした。この時間帯に点を入れられなかったのは痛い。その後は、サウジは日本の組織プレイに慣れてしまったようです。

日本選手の身体の切れの悪さというか、高揚感の無さというか。これは、豪州戦の後の「燃え尽き」症候群のような感じがしました。

やはり、雪辱戦ということで、勝利したことから無意識の達成感と疲労感があったのでは?

日韓ワールドカップの1次リーグ突破した後、トルコ戦と似た雰囲気を感じました。

フレッシュな力のある選手をもっと早く交代した方が良いのでしょうが、それだけの層の厚さを、今の日本代表は持っていなかったということでしょう。

日韓戦は楽しみです。

韓国選手は対日戦ですから、モチベーションは高いでしょう。これに対して、日本選手がどれだけモチベーションを高めて試合ができるかですね。

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2007年7月21日 (土)

アジア・カップ 日豪戦と「日本人はなぜシュート打たないのか?」(湯浅健二著)

いやあ 激闘でした。

1点先制されても、日本のボール支配、運動量、攻撃のパターンは悪くなかったので、同点にはできると思いました。中村俊輔→巻→高原→ゴール 高原はさすがです(PK外したのはご愛敬)。中澤、中村憲剛も良かったです。

豪州の巨漢キーパー・シュワルツァーは日本の得点の2点は確実に防ぎました。そのうち1点でも決めればPKという博打をしなくてすんだのに。

ただ、後半の終盤、また延長戦でも、日本選手を観ていて、「何故、シュートを打たないの?」って思ったシーンが何回かありました。

湯浅健二著の「日本人はなぜシュートを打たないのか?」(アスキー新書)を読みました。著者のドイツにサッカー留学した経験に基づいて、ドイツと日本の文化の違いを指摘しています。

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2007年7月20日 (金)

日の丸・君が代 再発防止研修判決-注目判決

■再発防止研修7.19判決(中西判決)

卒業式、入学式で国歌斉唱時に起立せず、斉唱しなかった教師らが、再発防止研修を受けるように命令されました。その再発防止研修命令が思想良心の自由、信教の自由を侵害するとして訴えた事件で、東京地裁民事第19部(中西茂裁判長)は、原告らの請求を棄却する判決を言い渡しました。

朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0719/TKY200707190515.html

弁護団声明
「seimei.doc」をダウンロード

判決要旨
「saihatuboushinakanisihanketu.pdf」をダウンロード

しかし、この事件では、10.23通達及びこれに基づく職務命令の違憲違法性の主張をせずに、再発防止研修命令についての違憲違法性のみを争点とした事件ですので、請求棄却という結論は重要ではありません(再発防止研修の歯止めを狙った訴訟ですから)。

この中西判決の内容は、極めて注目すべき判断をしています。

【1】中西判決は 不起立・不斉唱の信念を思想良心の自由、信教の自由の保障の範囲内に含めたこと。 

「原告らがどのような考えから学校行事等における国歌斉唱時に起立せず、国歌を斉唱しなかったのかをみることにする」(判決文31頁)
 [①宗教上の理由、②民族的な理由、③平和主義思想、④一律に強制することに反対する理由]といった「思想、信条から」
     又は
 [①軍国主義教育の過去の歴史を繰り返す危険、②人権尊重等の教育実践と矛盾する、③教師全員が起立することは生徒に対する強制となるという理由]といった「教師としての思い、良心から」
   ↓
   「国旗に向かって起立し、国歌斉唱できないという信念(*1)を有するものであると認められる。このような考えは、国歌や国旗が過去の我が国の歴史上や宗教上果たしてきた役割に関わる原告らの歴史観ないし世界観及びこれに由来する社会生活上の信念(*2)又は信教そのもの、あるいは国歌の教育に対する関与のあり方に係わる原告の教育観及びこれに由来する職業上の信念であると解され、このような考え(*3)をもつこと自体は、思想及び良心の自由あるいは信教の自由として保障されることは明らかである。」(判決文31~32頁)

*1)「不起立、不斉唱の信念」を意味する。

*2)ピアノ最高裁判決と同じ文言。

*3) 「このような考え」とは*1の「不起立、不斉唱の信念」を思想及び良心の自由あ るいは信教の自由としての保障範囲に含めている。これに対して、君が代強制解雇事件の佐村判決は、不起立の動機としての精神活動を思想良心の自由の保障範囲に含めたが、「不起立」の考えを思想良心の自由に含ませてはいない。なお、ピアノ最高裁多数意見は、不伴奏の考えを、思想良心の自由の範囲に含めたと言うべきである。

【2】中西判決は、不起立行為について、原告らの信条(上記【1】の信念)と「密接に関連する行為」であると認めたこと。

 裁量権逸脱の争点について、争議行為を行い懲戒処分を受けた教職員に対して本件実施要綱が適用されず、再発防止研修が行われなかったこととの比較で平等原則違反であるかどうかにつき次のように判示している。
      
  「本件で非行とされた行為(*4)が、原告らの信条(*5)と密接に関連がある行為(*6)(*7)であることからすれば、同様に、原告らに対しても本件実施要綱を適用することが差し控えられるべきであったとの原告らの主張にも理解し得る点はある」(判決文43頁)

*4) 「非行とされた行為」は、不起立行為にほかならない

*5) 「原告らの信条」とは上記【1】のとおり、「不起立、不斉唱の信念」である

*6) ピアノ最高裁判決の多数意見は、「ピアノ伴奏を拒否することは、上告人にとっては、上記の歴史観ないし世界観に基づく一つの選択肢であろうが、一般的には、これと不可分に結び付くものということはできない」とした。この多数意見を評して、藤田反対意見は、「その中核に、君が代に対する否定的評価という歴史観ないし世界観自体を据えるとともに、入学式における君が代のピアノ伴奏の拒否は、その派生的ないし付随的行為であるものとしてとらえ、しかも、両者の間には(例えば、キリスト教の信仰と踏み絵とのように)後者を強いることが直ちに前者を否定することとなるような密接な関係は認められないという考え方にたつ」としている。

*7) 「エホバの証人」最高裁判決は、「被上告人が剣道実技への参加を拒否する理由は、被上告人の信仰の核心部分と密接に関連する真摯なものであった」(平成8年3月8日最(二小)判・判例時報1564号3頁)と判示している。このエホバの証人最高裁判決は、「本件各処分は、その内容それ自体において被上告人の信教の自由を直接的に侵害するものとはいえないがしかし、被上告人がそれらによる重大な不利益を避けるために剣道実技の履修という自己の信仰上の狭義に反する行動を採ることを余儀なくされるという性質を有するものであったことは明白である。…上告人は、前記裁量権の行使に当たり、当然、そのことに相応の考慮を払う必要があったというべきである。」として、裁量権の範囲を超える違法としている。

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2007年7月18日 (水)

サッカー・アジア・カップ 日本代表 豪州戦での雪辱を期す!

・・・イカン。ちょっと右翼チックになっちゃいました。

自宅でテレビを見なくなって1年になります。
テレビの報道・ニュースがいかに意味がないものか、テレビの報道・ニュース番組を観ないといかに精神衛生上、良いものかを実感しています。(で、ブログを書く時間ができるというわけです。)

しかし、しかし・・・。サッカーのアジア・カップは別です。
これだけはテレビ観戦しています。

カタール、UAE、ベトナム相手の一次リーグ。
結局、勝ち点7の順当勝ちです。

いよいよ今週7月21日土曜日には、あの豪州との試合です。
思えば、2006年6月17日、ドイツ・ワールドカップの一次リーグの初戦が豪州との試合でした。ショッキングな敗戦でした。
 ↓
http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/06/post_3f3f.html

2006年6月23日のブラジル戦後のブログで、中田英寿選手の引退を心配して都々逸を披露し、オシム監督待望論を書きました。(前者は、まさか引退するとは…無念。後者は、まさか監督に就任してくれるとは…驚喜。)
 ↓
1-4 ドイツWC「ブラジル戦」【逝くWCや、中田英寿の目に涙】
http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/06/post_aa32.html

今回のオーストラリア戦は楽しみです。やはり、【雪辱】への期待です。
オシム監督の日本チームであれば、コンディションさえ良ければ、負ける相手ではないと思いますが。もっとも、余り気負うと相手の思う壺でしょうね。

7月21日(土)の試合が楽しみです。

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2007年7月17日 (火)

読書日記 「リバタリアン宣言」 蔵研也 著(朝日新書)

読書日記 「リバタリアン宣言」 蔵研也 著(朝日新書)
2007年2月28日発行
2007年6月25日読了

■リバタリアンとは
リバタリアンとは、「自由至上主義者」だそうです。
リバタリアニズムとは、「国家権力によって、富者の財産権を侵害しながら貧困者を救済することは道徳的に許されない。唯一肯定できるのは治安を維持するという最低限度の機能をもった最小国家だけである」という思想です(ロバート・ノージック)。当然、社会権を否定します(「隷従の道」だもんね))

現在の新自由主義者の学者たちもリバタリアンなんでしょう。八代尚宏センセとか、福井秀夫センセとかもそうなんでしょう。そう考えたら、彼らの発言も、よ~く理解できます。

■クニガキチント主義
この本の著者は、自らを、「無政府資本主義者」として宣言する「真っ当なリバタリアン」です。「国がキチンとすべき」(クニガキチント主義)との考えは「自由社会の敵」なのです。

■「国家医師免許」廃止論
例えば、国家の機能として医師資格を国が認定する必要はないと言います。国がきちんと医師を認定する現行制度は、基本的に競合関係にたつ組織がないために、そもそも緊張関係がないために、現在の日本のように低レベルの医師が量産されるのだそうです。

民間の医師資格の認定機関が担えばよいのだそうです。もし、その民間認定機関の認定医師が医療過誤を起こせば、その認定機関の評価が下がる。複数の認定機関と格付け機関が、相互に競争すればいい加減な認定していては、倒産するしかないので、医師認定のレベルは維持される、という訳です。

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2007年7月14日 (土)

パッチギ! Love &Peace

パッチギ!の続編です。前作の感想は → http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/05/2005_8e1d.html

随分前に観てきました。でも、がっかりしたので、ブログには感想を書かなかったのですが、ブログネタが無くなったので書いちゃいます。(・・・仕事が忙しくて、飽和状態なので、難しい話しは書いている時間がない。)

本当は、川人博先生の「金正日と日本の知識人」(講談社現代新書)も読んだので(今は無き「文京総合法律事務所」の超個性的な猛者弁護士たちをかいま見たことがあります)、映画の感想と重ね合わせて、本の感想も、いろいろ書きたことがあるのだけれども、時間ありません。

この映画は,何だか「在日」であることの必然性が見えない映画となってしまっています。【以下ネタバレあり注意】

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2007年7月 7日 (土)

改正パート労働者法8条の影響

「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律」(パート労働者法)が一部改正され、平成20年4月1日から施行されます。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1.html

通常の労働者と同視すべき短時間労働者について差別禁止規定が盛り込まれました(改正法8条1項)

■通常の労働者と同視すべき短時間労働者

改正法8条は、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」について、「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取り扱いをしてはならない」と定めました。

この「通常の労働者と同視すべき労働者」とは、正社員が想定されています。この通常の労働者との比較でパート労働者のうち次の点で通常の労働者と同一の場合には差別取り扱いが禁止されます。

①「職務(仕事の内容及び責任)が同一
②人材活用の仕組み(人事異動の有無及び範囲)が全雇用期間を通じて同一
③契約期間が、無期又は反復更新されて無期と同視される

もっとも、こんなパート労働者は存在しないとして、立法にあたって激しく批判されたところです。

成立した法律を不十分な立法だと批判するのは野党政治家や労働運動活動家の仕事です。是非、参議院選挙で自公政権を過半数割れさせ、衆議院解散して政権を奪取して、もっと労働者側に有利な法律をつくって下さい。

実務法律家は、成立した法律を、どう有効に活用できるかを考えるのが仕事です。先日、日弁連労働法制委員会で、この改正パート労働者法8条について、次のような点が議論になりました。

■短時間労働者ではない非正規労働者で通常の労働者と同視すべき労働者は?

短時間労働者ではなく、正社員と同一の労働時間であり、正社員と全く同一の職務に従事しており、反復更新されて5年、10年以上、継続して働いている労働者(例えば、契約社員)はどうなるのでしょうか。このような契約社員、あるいは不真性パート、疑似パートは結構、多数存在しています。

はっきりしているのは、「短時間労働者」ではないので、フルタイムの契約社員等に対しては改正法8条は適用されないということです。

それでは、通常の労働者ではないフルタイムの労働者には何ら法規制はないのでしょうか。

短時間労働者でさえ、8条により差別取り扱いが禁止されるのに、フルタイムの契約社員は差別取り扱いが放置されるという結果は不合理です。

というわけで、改正法8条の差別禁止規定の趣旨が、民法90条の公序良俗を適用を通じて、妥当することになるのではないでしょうか。

丸子警報器パート差別事件(丸子警報器パートは疑似パート労働者でした)の長野地裁上田支部判決は、同一労働同一賃金の原則に反し公序良俗違反としました。実定法上の根拠がないと批判されてきました。

しかし、改正パート労働者法8条が成立することで、短時間労働者ではない非正規労働者についても、差別取り扱い禁止が民法90条の解釈を通じて強化されると言うべきでしょう。

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2007年7月 6日 (金)

労働法律旬報 毛塚教授の「労働タスクフォース(和田一郎氏)」批判について

■労働タスクフォースの中心は誰か

最新号の労働法律旬報(1650号)にて、毛塚勝利教授が、「労働市場改革の核心」の論考の中で、「規制改革会議の労働タスクフォース(和田一郎氏)はとんでもない意見書を提出した。」と書かれています。

規制改革会議の労働タスクフォースがとんでもない意見書を提出したことはそのとおりです。私も、前にブログで、「とても、まともに相手にするような水準でない」と思い、「オウンゴール」だ、と揶揄しました(結果は、規制改革会議の方針に盛り込まれず、ボツになりました)。http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/05/post_4a78.html

ところで、毛塚先生は、労働タスクフォースは、著名な経営法曹会議の和田一郎弁護士だと認識されているようですが、主査は福井秀夫氏(政策研究大学院大学教授)です。和田一郎弁護士は専門委員の一人として参画されています。

■経営法曹と労働弁護士と福井センセイとの「対話」

この労働タスクフォースではヒアリングを実施しており、経営法曹からは和田一郎弁護士労働弁護団からは鴨田哲郎弁護士が出席しています。お二人の福井秀夫主査との「対話」はなかなか面白いです。

和田一郎弁護士編 http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0308/summary0308.pdf

鴨田哲郎弁護士編 http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0509/summary0509.pdf

わが日本労働弁護団の幹事長の鴨田先生(旬報法律事務所)は、敵の牙城に乗り込んで獅子奮迅です(議論になったのか、すれ違いになったのか・・・)。

和田一郎弁護士は、もちろん経営法曹会議の中心メンバーで「労働タスクフォース」の専門委員ですから、経営側弁護士のエリートです。

ところが、ちょっと不思議なことに、福井秀夫センセイとはニュアンスが違う部分があります。

■労働市場が流動化したら「ファイア(クビだ)」って言われても平気の平左?

福井主査たちがどんな考えかというと、同類の松井副主査(松井証券社長)なんかは、「アメリカの労働市場は極めて流動化していますから、解雇されたとしても、それで首吊らないといけないといった深刻なことにならなくて、『あっそう、じゃあ・・・他を探すよ』とこれだけの話しですよね。」って発言する人です。(昔、自民党政治家が、「アメリカでは破産してもアッパラパーっだ」て言った人がいましたっけ。それと同じレベルですな。)

■和田一郎弁護士 諫める

和田弁護士は、不思議なことに、ちょっと(だけど)、彼らを諫めるような発言をしています。

福井主査に対して、「ただ、やはり使用者と労働者は対等でないですよ。」と言ったり。

経営者に「ホワイトカラー・エグゼンプションの対象労働者の賃金総原資を減らさないと言えるのですか、と聞くと、はい、という返事も反ってこないし、賃金総原資を減らす合理的な説明もない。これでは、労働側から、あれは残業代ゼロ法案だと批判されても仕方がない。」と言ったり。

解雇の金銭解決制度についても、「たしかに、経営側の私から見ても、立法の際に工夫しないと、(カネさえ出せば解雇できる制度になるんじゃないか)懸念が無い訳でもないと思います。・・・・・(この制度が導入されたら)労働側から(解雇無効の)訴えが提起されると、使用者側は、訴訟のための時間と費用を避けるため、直ちに労働側の請求を認諾すると思います。すなわち、解雇が無効であることを認めてしまう。しかし、同時に、金銭解決を申し立てる。裁判所としては労働者に支払うべき金額だけを決めることになります。・・・こうなると解雇をカネで買う制度と言われると、その懸念は必ずしも外れていないように思われます。」って言ったり。

もちろん、労働タスクフォースの専門委員ですから、基本指向は一緒なんでしょうが・・・。

労働タスクフォースの中心は和田一郎氏でなく、主査である福井秀夫氏なんでしょうね。毛塚先生、そこは、ちょっと主査は「福井秀夫氏」だと訂正したほうがいいかも。(・・・労働側弁護士の私が言うのも変ですが)。

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2007年7月 5日 (木)

労働者性に関する紛争(3)-マッスルミュージカル事件

■マッスル・ミュージカルって、知っていますか?

http://www.musclemusical.com/

マッスル・ミュージカルという劇団に所属している劇団員は、会社と年間出演契約を書面で締結しています。毎年1月から2月に、年俸を決定して、その後、年俸を12で割るか、10で割るかして、毎月報酬が支払われます。そして、1月半ばから会社の指示に従って稽古と練習に参加し、指定されるスケジュールに従い本番の公演(ミュージカル)に出演しています。出演契約書は4月頃に書面で締結されます(日付は2月まで遡及)。

出演契約書には、「出演者は、会社の指示に応じてスケジュールを調整してリハーサルや本番に出演する義務がある」ことが明記されています。出演すべき公演と報酬額と支払時期も明記されています。

■労災と報酬の減額措置

激しい動き(アクロバット・パフォーマンス)ですから、事故もおきます。ところが、会社は労災保険に加入していません。十分な療養と補償を受けられていません。

会社はラスベガスへの1年間公演への参加を労働者に指示しました。公演中の負傷で行けないと断った劇団員には契約の更新を拒絶してきました。

また、家庭等の都合で1年もの長期のラスベガス公演への参加は無理だと言った劇団員らについては報酬を20%から50%まで減額しました。(ラスベガスの1年契約は契約書に明記されておりません)。社長さんはこういう業界のやり手ですから、盛り上げ系のワンマンでしょうな。

■労組結成

このような一方的な減額や労災補償を認めない取り扱いを改善しようと、労働組合を結成した劇団員らが15名いました。

団体交渉を申し入れた後、社長は深夜から早朝にかけて劇団員を集めて労組脱退を説得して労組を切り崩しました(脱退強要)。会社の事務所から連名の脱退届がファクシミリにて送付されてきました。

最後まで労組に残った3名に対しては公演への出演を拒絶するばかりか、劇場・事務所への立ち入りまで拒否しています。

団体交渉では、劇団員と映演労連は、社長に対して、劇団員みんなが安心して楽しくエンターテイメントを作るために、円満解決をするように申し入れています。ところが、社長は対決路線を変更せずに、3名の組合員の出演を拒否し続けています。

日刊スポーツコム[2007年5月28日22時43分]
http://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20070528-205585.html

マッスルミュージカル労組が救済申し立て

 元体操選手らが舞台でパフォーマンスを披露する人気のショー「マッスルミュージカル」の出演者らでつくる労組が、制作会社側の一方的な賃下げに抗議して交渉を求めたメンバーを職場に入らせず、舞台の降板も強いたのは不当労働行為だとして28日、東京都労働委員会に救済を申し立てた。

また、労組は引き下げられた賃金を元に戻すよう求める仮処分も同日、東京地裁に申し立てた。労組は「映画演劇労連フリーユニオン・マッスルミュージカル支部」で、制作会社は「デジタルナイン」(東京)。

申立書などによると、5月下旬から予定されていた米国公演への参加を希望しなかった出演者に対して、会社側は3分から20~50%の賃金を引き下げた。出演者らが抗議して交渉を求めたが会社側が応じないため、4月下旬に労組を結成。

しかし、会社側はほかの出演者を通じて組合を脱退するよう組合員に求め、当初15人いたメンバーが5人に減少。その上、会社側は残った組合員を職場に入れない措置を取った。

50%減額されて月収が13万円台になったという労組委員長の磯前方章さん(31)は「マッスルミュージカルが好きで、その舞台をよりよくしたいという思いで動いている。きちんと会社と交渉したい」と話している。

デジタルナインは「不当労働行為はないと認識している。(裁判などの)公的機関の場で会社の正当性を主張していきたい」としている。

■裁判(仮処分)、不当労働行為の申立て、労災申請

やむなく、東京地裁に賃金仮払の仮処分(民事第19部担当:中西茂裁判官)、東京都労働委員会(担当:荒木尚志公益委員)に不当労働行為救済命令申立をしているところです。久しぶりに実行確保も申し立てをしました。左膝靱帯断裂の重症を負った劇団員については、労基署に労災申請したところです。

ここでも会社は、「出演契約は労働契約ではない」と強調しています。

若い体育会系の礼儀正しい若者たちです。彼・彼女らが「労組を結成して、たたかって良かった。」という解決をしたいものです。

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2007年7月 1日 (日)

労働者性に関する紛争(2)-手間請け大工労災事件、新国立劇場合唱団員地位確認事件

以前のブログで紹介した労働者性に関する事件のその後です。
http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/09/post_e1fb.html

■手間請大工(佐藤)労災事件【敗訴】
6月28日、最高裁第一小法廷は上告棄却しました。

「satuurousaisaikousai07628.pdf」をダウンロード

原審が適法に確定した事実関係の下では、上告人は指揮監督下に労務を提供したものとはいえないとして、労働基準法上の労働者に該当せず、労働者災害補償保険法上の労働者にも該当しないとされました。 納得いかない判決です。 あくまで個別事案の事例判決なのですが、最高裁判決があると、「手間請け大工一般」」の労働者性が否定されたように下級審裁判が右へならえすることが心配です。

上告人は全建総連の労組員です。労組が組織上げての取り組みをしてきた事件です。最高裁に上告してから2年7ヶ月経過してからの上告棄却。上告棄却するなら、長すぎないか? 

■新国立劇場地位確認請求事件【敗訴】

○新国立劇場のオペラ合唱団の合唱団員の地位確認請求事件について、労働契約関係にはあたらないと、東京高裁は、5月17日、第1審原告の控訴を棄却しました。これも納得がいきません。上告・上告受理申立をしました。

○東京高裁は、東京地裁判決と同じく、基本出演契約と個別出演契約の二段契約になっており、基本出演契約があっても、個別出演契約を締結するか否か、合唱団員に諾否の自由があったと判断して、労働契約関係がないとして、労働基準法も労働組合法の適用もないとして、労働者性を否定しました。あまりに形式的な法令解釈であり、まったくの事実誤認です。

○地裁判決時に労働法律旬報(1632号-2006年9月25日)に掲載した論稿は次のとおりです。
「shinkokurituroujun06910.jtd」をダウンロード

○不当労働行為事件(団交拒否)では、都労委、中労委は、「労使関係」を認めています。都労委はオーソドックスな使用従属関係の有無を判断して、労組法上の労働者性を肯定。中労委は、変わった理論枠組みです。合唱団員は労組法上の労働者であることは簡単に認定して、問題は新国立劇場との間で団交をさせるべき労使関係に該当するかどうかを問題とした上で、各要素を検討して結論的に肯定しています(担当は山口浩一郎教授)。現在、東京地裁民事第19部(中西茂裁判長)にて、行政訴訟が係属中です。

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