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2007年5月10日 (木)

サルコジ氏の勝因 仏大統領選挙

■サルコジ氏の勝因の一つ
フランス大統領選挙の結果を報じる記事に気になる記載がありました。

雇用・治安の改善託す 若者と高齢層,支持
     朝日新聞 2007年5月8日朝刊

ウエーター(ギャルソン?)のジョナタンさん(21)。「より働けば,より稼げる社会」を掲げ,週35時間労働制の緩和を説いたサルコジ氏の公約を手放しで歓迎する。…サルコジ氏は低賃金で働く者に語りかけた」

出口調査では働き盛りで安定した職に就いた人が多い35~59歳ではロワイヤル氏がやや優勢か互角。だが,不安定な雇用にさらされ,現状脱出を望む26~34歳と,治安の悪化に不安を抱く60歳以上の高齢層がどっとサルコジ氏に流れた。

この報道によると,フランス大統領選挙は,正社員や公務員の「安定雇用労働者」を,非正規雇用の「不安定雇用労働者」の「敵」のように描き出し対立させる政治手法が成功した例ということになります。

以前ブログで紹介したフランスの経済学者の主張【http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/05/eumay_day_ccf9.html】は,政治的には負けたということになってしまいました。

■八代尚宏氏の「労働市場改革」との共通性
これと同じことを主張しているのが,八代尚宏氏ですね(「健全な市場社会」への戦略)。

日本的雇用慣行は「平等な働き方」と言われるが,それは正確には,すに雇用された正社員の間だけのことであり,その背後には不況期に正社員の雇用を守るためには非正社員の雇用契約を打ち切ることが不可欠という格差が存在している。

転職の自由度を高め,労働市場をできるだけ競争的なものに近づけ,「事業者間の競争を通じて労働者を守る」ことに労働政策の役割の重点を置く必要がある。

競争市場における労働契約の自由度を妨げる公的介入は,すでに雇用されている労働者の既得権を守ることはできても,社会全体の雇用調整を減らすことで雇用されなかった人々に犠牲を強いるものとなる。

日本でも,参議院選挙を前にして,労働者の「格差是正」のためには,「より一層の規制改革を」,「労働市場の自由化を」というキャンペーンが行われるのでしょうね。不安定雇用の若者が,新自由主義をかかげたコイズミを応援したことが繰り返されるのでしょうか。

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