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2007年5月 1日 (火)

EUのワーキング・プア  May Day 

フランスでもワーキングプアが社会問題化しているそうです。ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子メール版に次のような記事が掲載されていました。

■ヨーロッパをむしばむ賃金格差
     ミシェル・ユソン(Michel Husson)
     経済学者、フランス国立統計経済研究所(INSEE)研究官

今日、パリ都市圏のホームレスの3人に1人は職に就いているという。このショッキングな統計結果は「ワーキング・プア」という新たな社会層の存在を明らかにした。

(フランスでは)低所得者の割合は1983年に11.4%だったのが、2001年には16.6%にまで広がった。他のヨーロッパ諸国の状況も同様であり、… ヨーロッパの低所得者はポルトガルの6%から英国の21%と、平均で15%にのぼる。

「全給与所得者を人数の等しい2つのグループに分けた時、境界線上にある値を中央値と言い、この中央値の60%未満の賃金を「低賃金」と呼ぶ。」そうです。

日本の場合,雇用者のうち,在学生を除く年間所得100万円未満の者は13.2%,同200万円未満の者は29.5%だそうです。日本の給与所得の中央値がいくらか判りませんが,400万円くらいじゃないでしょうか。そうすると,その60%は240万円となります。

上記のヨーロッパの数値は総所得者の中での比率ですから,給与所得者の比率である上の日本の数値とは異なるようです。しかし,日本も,ヨーロッパ並みのワーキングプアがいることは間違いないようです。(日本の若者はパラサイトシングルだから余り目立たない?又はネットカフェの避難所があるからホームレスにはならなくてすんでいる?)

■新自由主義者との論争も日本と同じです

自由主義の論理からすれば、… 給与の序列を是正しようとする社会経済政策は、仮に善意によるものであっても、失業を生むだけであるという。

しかし、このような仮説を裏付けるような研究はひとつもない。… 経済協力開発機構(OECD)ですら、「各国での最低賃金水準からしてどの程度の雇用が犠牲になっているかを数字で表すのは困難であり、賃金水準が顕著な影響を与えるとする研究と影響は皆無であるとする研究が混在する」と認めている。

フランス労働省の雇用・所得・社会的結束評議会(CERC)は次のように指摘しているそうです。

「安定雇用の状態から不安定で柔軟な雇用の状態に近づけば、失業と雇用、無職を循環する状態になるにつれ貧困のリスクは増える。」
「質の高い雇用こそが貧困に対する最大の防壁である。」

日本の厚労省の労働政策審議会も,このCERCくらいのことは言ってほしいものですね。

■メーデー・スローガン
メーデー・スローガンは,やっぱり「貧困と格差を解消するために労働者は連帯してたたかおう」が良いですね。

今時,こんなスローガンは,マスコミには冷笑されるでしょうが,労働組合が,このスローガンをおろしたら,社会的存在価値がなくなります。

フランスでは「労働の価値」の擁護が,大統領選挙の争点となっているようです。日本でも,7月の参議院選挙で,「企業栄えて民滅ぶ」を地でいく「構造改革路線」への賛否が争点に浮上することを願います。

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