「今度こそ本当!?-WE導入断念」労働契約法,労基法改正の法律案要綱について②
■今度こそ本当?-WEの導入断念
毎日新聞は,安倍首相が,ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)の導入見送り,残業代割増増額の労基法導入との指示したと報道しました。
安倍首相:WE見送り、時間外賃金の割増率引き上げ指示安倍首相は6日、柳沢伯夫厚生労働大臣に政府が今国会に提出予定の労働基準法改正案のうち、残業という概念をなくす日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)などの提出を見送り、時間外労働賃金の割増率の引き上げだけを盛り込むことを指示した。
自民、公明両党の雇用生活協議会で、両党が合意したことを受けたもので、それによると、割増率は月80時間を超える残業について50%(現行25%)に引き上げるとした。ただし、中小企業については適用を猶予し、施行後3年を経過した後に検討し、適用する場合は法改正するとした。見送ったWEに関しては、今後、同協議会などでさらに検討するとしている。
柳沢大臣はWE見送りについて「本当に必要と思っていたので残念だ。最初に誤解されそれが克服できなかった」と話した。今後の取り扱いについては「論議し直さなければならない。(参院選後などに)すぐに提出することはないと思う」と話している。【東海林智】毎日新聞 2007年2月6日 21時26分
朝日新聞には,自民党・公明党の与党協議会(生活・雇用協議会)が上記の申し入れをしたとの報道されています。
このような報道は年明けからずっと報道されています。
北九州市長選の与党側の敗北,そして,愛知知事選も野党側の候補の得票数を合計をすれば与党側が敗北した現実を見て,安倍首相も決断したということでしょうか。
■後門の狼-中小企業の企画型裁量労働みなし制度の緩和
とはいえ,労基法はWEが注目されていますが,労基法改正の中には,中小企業を対象とした企画型裁量労働みなし制度の緩和が提案されています。企画,立案,調査及び分析の業務(当該業務の遂行手段及び時間配分の決定等に使用者が具体的な指示をしないこととする業務)に主として担当する労働者について適用されます。
つまり,経理などの業務を担当しながら,企画,立案,調査及び分析の業務も担当していれば(51%),裁量労働みなし制を適用されて,残業代の支払いはなくなります。残業代に替えて,裁量労働手当になるということです。こちらのほうはどうなるのでしょうかね?
WEよりも,年収の制限がないですから,中小企業のサラリーマンの残業代のゼロにするのに大きな役割を果たすでしょう。
■午前9時から午後6時までの労働時間で勝負!
グローバル競争も,朝9時から夕方6時まで働くなかで,「労働力の質」での勝負というわけにはいかんのですかね。
一部の労働者(管理監督者)以外には,その働き方で勝負すれば十分でしょう。
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