ホワイトカラー・エグゼンプションの「年収要件」って歯止めになる?
ホワイトカラー・イグゼンプションについて,年収要件は900万円と省令で定めると報道されています。
ところで,平成11年6月に,新・職業安定法が成立しました。公共職業安定所と並んで,民間職業事業所を法認するという抜本的改正を行った改正でした(平成12年4月施行。「労働ビッグバン」の走り。宮内義彦さんや奥谷禮子さんはビジネスチャンスをものにしたでしょうな。)。当初,休職者から手数料を徴収できるのは,「芸能家」及び「モデル」の職業に紹介した求職者に限られていました。
平成14年2月16日から,この対象範囲が「経営管理者」(一般的に、部長相当職以上の職にある者、例えば、役員、部長のほか、企画室長、社長室長、エグゼクティブ・バイスプレジデント、ゼネラルマネージャー等部長以上の職に相当するものがこれに該当する。)又は科学技術者(学校教育法の規定による大学(短大を除く)の課程を修了し、又はこれと同等以上の自然科学、社会科学、人文科学等についての専門的知識を持ち、その後5年以上の経験を有することを必要とする。)の職業に紹介した求職者にも拡大されたのです。その年収要件は1200万円でした。
ところが,わずか2年後の平成16年3月1日に,「厳しい雇用失業情勢等に対応するため、職業紹介事業が労働力需給の迅速、円滑かつ的確な結合を図ることができるよう」職業安定法・関係政省令等が改正されて、有料職業紹介事業者が手数料を徴収できる科学技術者・経営管理者の求職者に係る年収要件が、年収700万円超に引き下げられました。
「求職の機会を拡大するためにの年収要件の切り下げだからWEとは違う」という言い訳もあるでしょうが,省令だと簡単に年収は下げられるという「前例」であることには変わりないでしょう。
ホワイトカラー・イグゼンプションについても当初,900万円とされても,安心ができません。2年も経てば,熱しやすく冷めやすいマスコミも騒がないでしょうから。
この厚労省の「前科」(約4割切り下げ)を当てはめれば,年収900万円は,年収500万円程度に切り下げられることになるかもしれませんね。日本経団連が要求している400万円に近づきますな。
くわばらくわばら。
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