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2006年12月23日 (土)

中華人民共和国 労働契約法(草案)

■社会主義市場経済と労働契約法

中華人民共和国でも,労働契約法の制定が検討されているそうです。

中国に進出した外国企業(日本企業)も,その影響を受けるので立法動向を注視しているとのことです。JETROのWEBで労働契約法(草案)の仮訳がアップされています。
  ↓
http://www.jetro.go.jp/china/shanghai/jp/supportcenter/data_example/labor/0329.htm

■中国 労働契約法の労働契約変更の法理

これによれば,中国の労働契約法草案では,労働契約について,次のように定めています。

第9条 
労働契約は書面形式で締結しなければならない。

第29条 
雇用組織と労働者は話し合いで一致し,労働契約の規定内容を変更することができる。書面形式で変更する内容を記載する必要があり,雇用組織と労働者双方の署名或いは捺印することによって効力を生じる。

つまり,労働契約の変更は労使の合意(書面合意)によるという原則を定めています。

他方で,次のような解除(解雇)制度を定めています。

第32条 
下記の状態…がある場合,雇用組織は30日前に書面で労働者本人に通知する或いは低額以上の労働者の賃金1ヶ月分を支払った後,非固定期限で労働契約を解除することができる。
(1)(2)略
(3)労働契約の締結時根拠となる客観状況に重大な変化が発生し,労働契約を履行で きないため,雇用組織と労働者が話し合いを経ても労働契約内容の変更或いは労働契約の達成協議を中止できない場合

つまり,労使で話し合いをしても労働契約を変更ができない場合には,客観的状況に重大な変更が発生し,労働契約が履行できない場合には,解雇できるという制度をとっています。

労働契約の変更は合意によるのが原則です。
しかし,変更の合意ができないが,変更することが社会的にみて妥当という場合にどのように処理するのか?

一つは,合意がなくても例外的に就業規則等により変更できる制度を容認する。
二つは,合意ができない場合には例外的に解雇することを容認する。
三つは,合意ができない場合には例外的に契約変更請求権を認める。

中国は2番目の制度を選択しようとしているということでしょうか?

■中国の就業規則制度?

ちなみに,中国では,日本の就業規則制度に類似した「雇用組織の規則制度」を認めているようです。

第5条
雇用組織の規則制度は直接労働者の身近な権利に及ぶものであり,労働組合,職員組合或いは職員代表組合での討論を経て,或いは平等な話し合いによって規定を作成しなければならない。雇用組織の規則制度は組織内で公告しなければならない。

この規則は,直接,労働者の権利を定めるもののようですが,この規則と労働契約によって定められた労働条件との関係がどうなるかについては,法文には明記されていません。きっと,労働契約が優先するということになるように思えます。

どこの国でも労働契約の合意原則と,労働契約(労働条件)の変更制度をどう折り合いをつけるのか,いろいろな考え方があるようです。

■開発独裁だから,日本の労働法に類似のはずだけど?

中国政府は日本の労働法や欧州の労働法を研究していると思います。中国が参考にするとなると日本の労働法のような気がしていました。なにしろ,日本は,社会主義類似(あるいは「開発独裁」 by後藤道夫)的な企業-労働組織をもっているからです。

でも,この労働契約が変更できな場合には労働者を解雇するという制度は欧州的な制度のように思います。

以上,全くの無知を顧みず,コメントしてしまいました。
中国法の専門家から見れば的外れなんだろうと思います。ご容赦を!

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