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2006年12月28日 (木)

12月27日労政審「今後の労働契約法制及び労働時間法制について(報告)」

12月27日に労働政策審議会は「今後の労働契約法制及び労働時間法制について(報告)」を厚労大臣に答申しました。
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/12/dl/h1227-4a.pdf

■労働契約法-就業規則の変更
労働契約法について,「就業規則の変更による労働条件の変更」は次のようになりました。

イ 就業規則の変更による労働条件の変更については,その変更が合理的なものであるかどうかの判断要素を含め,判例法理に沿って明らかにすること。
ロ 労働基準法第9章に定める就業規則に関する手続が上記イの変更ルールとの関係で従業であることを明らかにすること。

これ以前の12月21日の報告案は次のように定めていました。

イ 使用者が就業規則を変更し,その就業規則を労働者に周知させていた場合において,終業規則の変更が合理的なものであるときは,労働契約の内容は,変更後の終業規則の定めにところによるものとすること。
ロ 上記イの「合理的なもの」であるかどうかの判断要素は,次に掲げる事項その他の終業規則の変更に係る事情とすること。
ⅰ 労働組合とその合意のその他の労働者との調整の状況(労使の協議の状況)
ⅱ 労働条件の変更の必要性
ⅲ 終業規則の変更の内容

12月21日の案では,従来の判例の就業記規則の変更による労働条件の不利益変更についての合理性の基準を大幅に緩和する内容になっていました。ところが,12月27日の報告では判例法理に沿って明らかにすると,判例法理をそのまま法律とするという原則が宣言されています。

結果的には堂々巡りをして,実務の現状を承認するというところに落ち着きそうです。もっとも,判例法理に沿って,合理性の判断要素を明らかにすると言っても,その文言がどのようなものになるのか,何ら具体的な文言の記載もありません。不思議です。

法案化の段階で,具体的なものが出てくるのでしょうが。秋北バス,第四銀行,みちのく銀行の最高裁の判決文をそのまま法文とするわけにもいかないでしょうね。

■大山鳴動して?
この程度の「労働契約法なら,あってもなくても良い」という意見もあります。ただ,現状の労使の力関係では,判例で積み重ねられてきた水準を労働契約法とするくらいしか,労働運動には力がないということなのでしょう。

他方で,弱体化した労働運動側が,違法解雇の金銭解決制度などの改悪部分をよく撤回させたと言えるのではないでしょうか。
(もっとも,法制面で無理がありすぎたものを,規制改革会議がごり押ししての自滅という面もありそうです。勝負は「労働ビッグバン」の次ラウンドに持ちこされたということですかね)。

■WE導入等への労働者委員の反対
労働時間法制はまったく以前の報告と変わりありません。ホワイトカラー・イグゼンプション(WE)と企画業務型裁量労働制の緩和について,労働者代表委員の「認められない」との意見が報告書内に明記されています。

■2007年 「労働国会」
労基法改正案と労働契約法の2つの法案になるのでしょう。
07年の通常国会は「労働国会」となるそうです。自民党内に「雇用・生活調査会」が設置され,公明党も「格差社会」の是正を掲げており,WE導入に批判的な姿勢を強めています。与党内にも,WE導入反対の意見が強まりつつあるようです。

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