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2006年10月20日 (金)

トンネルじん肺根絶訴訟の仙台地裁判決後の行動

■国の控訴
10月20日,国は仙台地裁判決に対して控訴。
国は既に,東京地裁,熊本地裁を控訴していますから控訴は想定内。
厚労省は相変わらず,原告団の協議の申し入れを拒否。
(原爆認定訴訟もC型肝炎訴訟もすべて係争中を理由に面会さえ拒否しています)。

10月20日には日比谷野音での集会は1250人参加で大成功。Nec_0007 原爆訴訟,C型肝炎訴訟,水俣訴訟の原告の皆さんからも連帯の挨拶をもらいました。

お昼休みには大規模な国会請願デモを行いました。原告の皆さんにとってはハードなスケジュールでした。

■国会議員416名の賛同署名
10月12日の仙台地裁の勝訴判決を受けて,原告団と家族会,弁護団は,国会議員への要請を繰り返しました。

国会議員に賛同を求めたのは,①トンネルでの粉じん測定の義務化,②粉じん作業時間の短縮,③ゼネコン拠出のトンネルじん肺補償基金とADRの創設の3点です。

国の謝罪と粉じん濃度測定と評価の義務づけ,作業時間の規制など抜本的規制の見直しが確立すれば,原告らは損害賠償請求権を放棄することも公式に議員宛に表明しています。

賛同議員には,野党だけでなく,与党,自民党,公明党の議員も含まれます。自民党は,森元首相も,坂口元厚労相も賛同署名をしてくれています。署名議員のうち,安倍内閣の閣僚になった方が7名もいます(尾見財務大臣,冬芝国公大臣,塩崎官房長官ら)。

■粉じん測定義務化検討の報道

ところで,国が控訴した日に厚労省が粉じん測定義務化を検討しているとの報道がありました。

読売新聞は,2006年10月20日に次のような報道をしました。

・・・・・・・・・引用開始・・・・・・・
厚労省が粉じん測定の義務化検討…「トンネルじん肺訴訟」敗訴受け
 「トンネルじん肺訴訟」で、東京、熊本、仙台の3地裁判決が必要性を指摘したトンネル工事現場での粉じん濃度測定について、厚生労働省は義務化を検討することを決めた。これまで厚労省は「じん肺予防策は十分行っている」としていたが、国側が相次いで敗訴したことから方針転換したもので、年内にも専門家による研究会を設置する
 金属鉱山と炭鉱については、旧通産省が省令で工事現場での測定を義務づけている。これに対しトンネル工事では、厚労省が2000年、換気効果確認を目的に、工事現場から約50メートル離れた場所での測定を「指針」で定めただけだった。
 この点について厚労省は、トンネル工事の場合、
〈1〉削岩機のそばでの測定作業は危険
〈2〉粉じん濃度の評価方法が確立されていない
――などとして、義務化の必要性を否定してきた。
 しかし国が敗訴した3地裁の判決では、トンネル工事現場での粉じん濃度の定期的測定を義務づける省令を制定しなかった点などが違法とされたため方針を転換。新たに設ける研究会で、測定の義務化を中心にじん肺防止策の見直しを進める
・・・・・・・・引用終了・・・・・・・・・

■予断を許さない
厚労省は,この記事は書きすぎだと述べているとの情報もありますが,見直しに着手したことは事実のようです。

しかし,これが国会議員からの風圧をそらすための単なる「風よけ」の弥縫策なのか,本当に実効性あるトンネルじん肺防止対策の確立(粉じん測定の義務づけとその評価基準の確立)を意味するのか,まだまだ予断を許しません。手をゆるめることなく,行動を積み重ねる必要があります。

■訴訟の動向
福岡高裁の第1回が来年1月29日に指定されました。東京高裁は期日は未定で,控訴理由書を国も,我々も提出。

他の地裁のうち,結審の準備を進めているのは,金沢地裁,徳島地裁,新潟地裁,札幌地裁です。結審すれば来年夏頃には判決が出ることになるでしょう。

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