トンネルじん肺 仙台地裁で3勝目!
■トンネルじん肺根絶訴訟、 仙台地裁は10月12日、三たび、国の責任断罪。
仙台地裁は、国の規制権限監督の不行使は国賠法上の違法と判示しました。規制すべき内容は、昭和61年11月以降、粉じん測定の義務付けと評価の義務付け、湿式さく岩機と防じんマスクの重畳的義務づけを省令で義務付けることが必要としました。
判決要旨
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東京地裁、熊本地裁、仙台地裁の3連勝です。3地裁の判決の対比は次のとおりです。
原告団と弁護団は、厚労省で記者会見し、国(厚労省)が原告らに陳謝し、トンネル工事での粉じん測定の義務付けと評価の義務付けをするなどの抜本的対策をたてれば、国への訴えの取り下げ、請求権放棄をする用意があることを表明しました。
■現職国会議員過半数390名の賛同署名
原告団は真剣な討議を経て、じん肺根絶のために大きく踏み出しました。国会議員は与野党含めて過半数の国会議員(390議員)が原告に賛同署名を寄せてくれています。自民党議員も37%も賛同署名してもらっています。安倍内閣の閣僚のうち7名の大臣も署名しています。
後は、厚労省が抵抗しているだけです。早期の解決に向けて、今日から国会議員や内閣への要請行動に取り組んでいます。
原告団・弁護団声明
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原告団・弁護団声明
声 明
本日、仙台地裁民事3部は、全国トンネルじん肺根絶訴訟について、三度、国の責任を厳しく断罪し、原告138名中86名を救済する勝訴判決を言い渡した。
判決は、規制権限の不行使の責任に関し、①建設災害防止協会が「地下工事における粉じん測定の指針」を出した昭和61年11月以降に、粉じん測定とその評価を義務づけるべきであったのにそれをしなかったこと、②遅くとも湿式さく岩機と防じんマスクの重畳的適用を義務づけた昭和61年11月に、これを義務づけるべきであったのにそれをしなかったことについて、規制権限(省令制定権限)不行使の違法があると認定した。
そのうえで、原告らが元請企業と和解によって受領した一定の賠償金をもって損害の全部が充足しているとの国の主張(満足論)、及び最終の管理区分の時から消滅時効が進行するとの国の主張をいずれも排斥したうえ、請求額全額の330万円の賠償額を認め(管理区分2非合併症患者については110万円)、52名を除く原告86名に対する損害賠償を命じた。
本判決は、7月7日の東京地裁判決、同月13日の熊本地裁判決に続き、三度、トンネル工事に関し、規制権限不行使の責任を厳しく断罪するもので、じん肺根絶の闘いにとって極めて大きな意義があり、高く評価することができる。本日の勝訴判決は、じん肺患者と遺族たちが、じん肺を根絶したいとの切実な思いで提訴に立ち上がり、団結して闘った成果である。また、衆参議員の「トンネルじん肺根絶の賛同署名」(国会議員の過半数を超える53%の385名の現職議員が署名)、「じん肺根絶を求める100万署名」(101万4,195筆達成)、じん肺根絶を求める自治体決議(約40%達成)と首長署名(約35%達成)をはじめとする大きな世論の力によるものであり、心から感謝を申し上げる。
国策として推進されてきたトンネル工事に従事してきた労働者の中から、療養を要する重症のじん肺患者が多数発生しており、改正じん肺法が施行された昭和53年から平成16年までをみても、トンネルじん肺患者が全産業の24%(9,049人)を占めるという驚くべき状況にある。しかも、トンネル工事は過去のものではなく、現在も多数の工事が行なわれており、将来においても一定有益な公共工事として推進されていくことは間違いない。トンネルじん肺は過去の問題だけではなく、現在、さらには将来の問題である。私たちは、公共工事であるトンネル工事から、悲惨な被害をもたらすじん肺を根絶したいと切に願っている。そのために、トンネル工事の発注者であり、じん肺防止の行政責任を負っている国は、東京地裁判決及び熊本地裁判決の控訴を取り下げ、本判決を含む3つの判決に従って、私たちとの協議の場を設け、これまでのじん肺防止の施策を抜本的に見直し、粉じん則等の改正整備に着手すべきである。
私たちは、これらの判決を大きな武器として、公共工事であるトンネル工事からじん肺を根絶するため、多くの労働者、市民と団結して、奮闘する決意であることを表明するものである。
2006年10月12日
全国トンネルじん肺根絶原告団
全国トンネルじん肺根絶弁護団
全日本建設交運一般労働組合
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