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2006年9月10日 (日)

読書日記 「美しい国へ」安倍晋三著 文春新書

読書日記 「美しい国へ」安倍晋三著 文春新書
    2006年7月20日発行 文藝春秋
    2006年8月16日読了

次期自民党総裁,内閣総理大臣の安倍さんの本です。
帯には,格好いい渋い男ぶりのカラー写真です。ルックスにも自信満々。
話題になった本は,(どんなつまらなそうな本でも)すぐ衝動買いするのが私の癖です。

■改憲総裁,改憲内閣,「おぼっちゃま」
安倍氏の総裁選公約を見ると,「改憲」です。安倍内閣は改憲を宣言しています。
この本を読んで驚いたのは,第1章の「私の原点」で,70年安保の頃,安倍氏の通学している高校の教師は「安保廃棄」を訴え,クラスの友人もそんな雰囲気。自分が批判されているようで,安保擁護を主張したが,相手にしれもらえなかったことが強調されていることです。こんな「恨み節」から始まる。これが原点なんだそうです(ひょっとして,教育改革の原点もここ? サヨク教師を追い出したいのかな?)。

「お坊ちゃま」っぽいところが,どこかと言うと(下に続く)

■高校時代の安倍晋三氏
高校生の安倍クンが教師に「安保条約には日米間の経済協力を推進する条項がある」と指摘したところ,教師が反論できなかったということが書かれています。要するに,高校生の安倍クンは,金(経済)が大事と言っているということですね。(今は,「金がほしいからと言って,中国に媚びを売るな」とかっこよく毅然としたことを言っていますね…)

どこの高校に通学していたか知りませんが,岸信介を祖父に持ち,安倍晋太郎を父に持つ安倍クンは,間違いなく「華麗な一族」のお坊ちゃまです(その後の経歴がそれを証明しています)。
その彼が,未だに高校のときのクラスの中での孤立感や自分を非難した教師にこだわり,それが政治家の原点になっているということを公言しています。そんな幼稚なところに注目します。子どもっぽいお坊ちゃまの精神構造のまま,政治家になってしまったのではないかとの危惧を覚えます。

安倍氏は,この本で,「今までは『革新が善。保守が悪』という風潮が支配的で,また『「自虐史観』にとりつかれて自信と誇りを失った日本であった。」と書いています。もし,本当にそうなら,戦後日本は社会党政権が続いてきたはずですね,安倍総裁候補。でも,なぜ戦後日本は保守政党が政権をとり続け,なぜ労働運動がこんなにふがいないのでしょうか? 説明してくださいますか。

そんなことも思い至らない安倍氏って,いわゆるネット右翼の「被害妄想」と同じ程度の発想なのかもしれませんね。

■幻想の中での「美しい日本」
日本が戦争で負けた敵国はUSAです。戦闘員だけでなく,多数の女子ども,非戦闘員の日本人がUSAに殺されました。戦前日本の誇りを打ち砕いたのはUSAです。

安倍氏は,そのUSAには,自尊自衛の正義の戦争だったと主張できません(靖国神社の「遊就館」は主張していますが・・。でも,そのうちをUSAと自民党の圧力で展示を変えることでしょう)。
「経済が大事」というリアリズムからすれば当然ですが,それって全然「美しく」はないよね。中国・韓国など相対的に弱い国には強く出て,圧倒的に強いUSAには尻尾をふるしかない。生きるためには仕方がないけど「美しく」ないよね。

その自己矛盾に耐えられないから,誇り高く毅然とした国家「美しい日本」を幻想の中に作り上げるしかないのでしょう。

■敗戦国「日本」の誇り
旧日本軍生き残りの優秀な士官たちの中には,「死んだ戦友に申しわけがない」と言って,生活苦にあえぎながらも,警察予備隊(自衛隊)への入隊の誘いを断ったと人間もいるとのことです。カザフスタンやイラクでは,聖戦を唱えるイスラム戦士はUSAの軍隊と戦いつづけています。日本のウヨクは,それができなかったのです。
他方,圧倒的に強いUSAに,「反戦」と「平和」を唱えて対米軍事協力の要求に抵抗することが,敗者「日本」の庶民の最後の誇りだったのではないでしょうか。

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