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2006年9月18日 (月)

読書日記 『「関係の空気」「場の空気」』 冷泉彰彦 著

読書日記 『「関係の空気」「場の空気」』 冷泉彰彦 著
 講談社現代新書
  2006年6月10日 初版発行
 2006年9月17日 読了

村上龍のメールマガジンの投稿者で有名な方です。

■「空気 読めよ!」
「空気 読めよ!」という非難というか,人を揶揄する言葉があります。

まあ,私も「空気の読めない奴」(=「世渡りの下手な奴」)がいることは認めます。(実は,私が一番そういう奴ですが・・・。昔から苦労してきました)

「関係の空気」というのは1対1の関係で醸し出される空気。
「場の空気」とは,3人以上の関係で作り出される空気。

『「空気」が猛威をふるう日本社会』という指摘は,「ナルjホド。」と思います。この「空気」には理屈も理論も,信条も通用しないのです。

■山本七平氏の「空気の研究」-空気で決まった沖縄への大和特攻作戦
この本が詳細に紹介されています。(私はお恥ずかしながら,この本を知りませんでした。アマゾンで注文しました)。

戦艦大和の沖縄特攻作戦。合理的に考えれば全く「愚かな軍事作戦」であり,多くの士官は皆その不合理性を知っている。でも,誰も「その場の空気」(その場が「参謀本部」であることが情けないが…)に抗することができなかった。それが「場の空気」と分かれば,すべて呑み込み,「無言実行」する男こそ「男らしい」と評価されるというエピソードが語られています。(正直に言うと,私もそのような「男」が好きです)。

日本人の集団が,このような「場の空気」が支配されるのは,右,左,中道の政治イデオロギーに関わりなく,また,組織の大小や,上流・下流問わず,特徴的ですよね。

■空気の読めない奴は,日本の組織ではつらい
高校で,部活,特に体育会系の奴って,この点では安心できる奴が多い。企業が,体育会系を評価するのは(もっとも,大学で体育会ってのは良く理解できないけど…),私も(今は)良く理解できます。「空気」の読めない奴は使いにくいよね。確かに…

「空気」の読めない奴は,「浮いた奴」とか,「水を差す奴」とかと言われる。(そういう人は,それはそれで,貴重な人材です。そういう人は「なーんちゃって」と言って(死語?),それを中和する「オマジナイ」をすることです。)

■日本的集団の特徴
日本の集団の特徴は,同調指向が強く,情緒的な一体感(心情的信念)を大切にします。「一生懸命」に「誠心誠意」に物事に取り組んでいることこそ,評価の基準なのです。結果をあまり問わない,優しい日本人なのです。(稲作水田を中心にした灌漑農耕社会だったからですかね?でも,中国大陸の人々は,そうじゃないですよね。もっとも他の国のことは留学もしたことがなく,知りませんが…。)

それが「場の空気」を大切にするということなんでしょうね。弁護士が依頼者を説得するときにも「空気」に気を配ります。弁証法は先ず「否」なのですが,日本的交渉は,先ず「おっしゃるとおりです」「なるほど。鋭いですね」から始めて,「でも…」から本論です。

この本では,この「空気」と「日本語」との関係を考察しています。業界用語の多用と「場の空気の関係」とか,面白そうな論点ではあります。でも,この点はまだ良く理解できません。

並行して,「論争 格差社会」(文春新書)を読みました(「行きの電車」と「帰りの電車」で違う新書を読むのが癖です)。この格差社会について論じるマス・メディアなんかにも,空気があるんだなあと思いました。この「論争 格差社会」の感想はまた別途,書きたいと思います。

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» 冷泉彰彦 / 「関係の空気」「場の空気」 [FunnyTunny]
「関係の空気」 「場の空気」 冷泉 彰彦 おすすめ度★★★★★  新書で溢れている日本語論ってウザいなあと常日頃思っていて、でもタイトルと村上龍推薦のオビでどうだろうと読んでみたら大ヒット。美しい日本語の使い方では全くなくて、興味深々の「コミュニケーション」論だった。一対一の「関係の空気」の大事さから始まり、「日本語の窒息」と対等性の喪失、一対多の「場の空気」の暴力論への展開は、スリリングですらある。「です・ます」の対等性や距離感を利用した公共性の獲得の提案に納得がいく。事例の整理で感心し... [続きを読む]

受信: 2006年10月15日 (日) 09時34分

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