偽装請負-直接雇用義務を
■高まった社会的関心
非正規労働者の比率が2000年以降、急速に高まりました。女性は50%を超えています。製造業でも労働者派遣が2004年から解禁されました。その後も、業務請負が増加しています。朝日新聞等の一連の報道で大企業での偽装請負が社会的に注目されるようになりました。記者は、相当な期間、追っかけていたのでしょうね。
■必要なときに安く使って、不要になればすぐ辞めさせられる
企業が派遣労働者と請負労働者を活用する理由は、言うまでもなく、労務コストの削減と雇用調整が容易であるという2点にほかなりません。
■製造業の請負労働と派遣労働者の人数?
その実数はどのくらいでなのしょうか。
平成18年労働経済白書http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/06/dl/02-03.pdfから、乱暴に推計すると次のような規模になるようです(2004年)。
製造業の請負労働者数 約86万人
製造業の派遣労働者数 約27万人
■なぜ、製造業は請負労働者のほうが多いのでしょう?
職安法44条の規制によって、受入企業は請負労働者を指揮監督できません。しかし、それでは、製造ラインの業務・技術管理ができないでしょう。そうであれば派遣労働者を活用すれば良いと思うのですが。
請負の方が、派遣労働者より労務コストが安いということ、と労働者派遣の手続きが面倒だということなんでしょうね。よく分かりませんが。
どちらにしても、非正規労働者たちの労働条件と労働環境の実態が問題です。
■現代の絶望工場?
業務請負などの労働現場の過酷な実態は、NHKの「フリーター漂流」「ワーキングプア」で紹介されました。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/060723.html
また、次のブログでも実態が報告されています。
http://blog.goo.ne.jp/egrettasacra/d/20060802
http://damekiroku.blog.ocn.ne.jp/hyouryu/2006/08/post_9a3c.html
■過酷な請負労働者の現実の告発と克服を
非正規労働者を活用するのはEU諸国を含めて先進国の共通の傾向のようです。しかし、請負労働や派遣労働を活用するというのであれば、最低限、公正な労働条件と労働安全衛生を確保するのが労働組合と労働行政の役割でしょう。
今回、問題が表面化したような内部告発が重要ですね。労働力の流動性が高まるということは、内部告発がしやすくなるということです。雇用流動化は、権利意識を持った若い労働者を生み出すという面もあります。(会社に頼っていては自分を守れないから、権利意識を持たざる得なくなる。)
■使用者の直接雇用義務
また、請負労働や派遣労働を活用するというのであれば、違法派遣・偽装請負の場合には受入企業に直接雇用義務を課す法律(立法)が必要だと思います。法律がなくても、労働運動が全力で取り組む課題だと思います。
派遣労働者の例ですが、JMIU徳島の労働組合員が、トヨタ系の光陽シーリングテクノで先進的な取り組みをして、直接雇用を獲得しています。
↓
http://www.jmiu.com/PR_koyo/
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