日本の自殺率-驚愕の国際比較
■日本の自殺率
日本の自殺者が3万人を超えたことは,よく知られており,旧聞に属します。
でも,日本の自殺率(人口10万人当たりの自殺数)の推移と国際比較を紹介してるWEBを見て驚愕しました。
日本の自殺率は主要先進国のダントツのトップです。また,1997年を境にして急増しているのです。
■国際比較
(調査年次は99年~00年の間)
1位 リトアニア 44.7
2位 ロシア 38.7
3位 ベルラーシ 33.2
4位 ウクライナ 29.6
5位 カザフスタン 28.8
6位 ラトビア 28.6
7位 ハンガリー 28.0
8位 エストニア 27.3
9位 スロベニア 27.1
10位 日本 24.1
11位 スリランカ 21.6
12位 ベルギー 21.1
…
24位 韓国 14.5
…
27位 中国 13.9
28位 ドイツ 13.5
…
46位 米国 10.4
日本は旧ソ連・東欧諸国並に自殺率が高いのです。
しかも,上記は男女計の比較ですが,なんと日本人の女性の自殺率は世界3位なのです。
■女性の自殺率の国際比較
1位 スリランカ 16.8
2位 中国 14.8
3位 日本 13.4
4位 リトアニア 13.1
男はつらいよ。でも,日本女性はしぶとい。
と思っていましたが…
やっぱり,女性も死にたくなるような社会なのですね。
女もつらいよ。
■時代の変化と自殺率の推移
日本の時代による自殺率の推移を見ると次のとおりです。
1945年 約13
1955年 約25
1965年 約15
1975年 約17
1985年 約21
1995年 約17
1997年 18.8
1998年 25.4
2000年 約24
1998年に7ポイントも激増したことが分かります。
以上のデータは次の本川裕さんのWEBで見ることができます。
貴重なデータだと思います。
↓
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2774.html
■旧ソ連並みの日本社会の大変化?
ロシアは1985年23だったのが,1991年のソ連崩壊後自殺率が急激に増加して,1995年には40を超えました。
日本は一気に1998年に25.4に増加したのです。つまり,1995年前後の日本社会の変化はソ連崩壊と同じくらいのインパクトがあったということでしょう。日本の過去の自殺率と比較すると1955年頃がもう一つのピークです。
先進諸国の中では日本が「抜群」に自殺率が高いことにに衝撃を受けました。
しかも,1995年前後の日本社会の変化が自殺率を上げていることは間違いないでしょう。いったい日本社会と日本人に何が起こったのでしょうか?
「構造改革」という現象が,この渦の中心にあるとしか思えません。
もっとも,あそこの会議室にいる労務手配屋や高利貸しの親玉,鮫のような経済学者らが原因というわけではないでしょう。問題は,そんな連中がのさばるような社会全体の雰囲気や動きなのでしょう。
「自殺の心理学」のような本はたくさんあるようですが,「自殺の社会学」を解説した本ってあるんでしょうか。さがしてみたいと思います。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 読書日記「サピエンス減少-縮減する未来の課題を探る」原俊彦著(岩波新書・2023年)(2023.04.11)
- 読書日記「迫り来る核リスク<核抑止力>を解体する」(2023.03.19)
- 韓国大法院判決(2018年10月30日新日鐵住金徴用工事件)を読む(2018.11.11)
- 米朝合意 世界史的事件と日本 2018年6月12日(2018.06.12)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは。
随分前の記事ですが、内容に共感したのでコメントさせていただきました。
悲しかな、5年近く経った今でも同じような状態ですからね…。
昨年の自殺者数の統計を年代別に計算してみたら、39歳以下で括っても全体の4分の1強に過ぎないんですね。
あれほどニュースに出てくるわりには、全体でみれば30%にもならないんですね
で、残りの75%以上を占めるであろう中高年はぜんぜん見向きもされないまま高止まりを続けている。
若者は当人が自殺するよりも遥かに多くの人が自殺で遺され、辛い思いを一生強いられる人が多いです。そのことがやはり年代もあって抑止力にもなっているのかな?
とにかく、これじゃイカン!というわけでがんばっている人の方が圧倒的に多いです。
そうじゃない若い人をどう仲間にするかなどの課題はありますが。
自殺の社会学、大学にも置いてくれたらなぁ…。意外と飛びつく学生もけっこういそうですね
投稿: DiamondDiva | 2011年1月 8日 (土) 09時08分