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2006年7月17日 (月)

 「より悪くない労働契約法」をとるしかない?

■労政審労働条件分科会は中断
結局、中断されました。次の会合の予定も発表されていません。
公益と労働者側、公益と使用者側とそれぞれ個別に協議がなされているということのようです。8月末までには「中間とりまとめ」を発表できるよう協議が継続されるのでしょう。水面下の話しになっているようです。

公益、労働者側、使用者側の妥協点が探られているのでしょうかね。

■「よりマシな」労働契約法 又は 「より悪くない」労働契約法?
労働組合の中には、労働契約法自体を「規制改革」立法であり、「戦後の労働法制を破壊するものだ」として全面反対を強調する方々もいます。しかし、これだけを強調するのは、一面的だと思います。確かに、「市場原理主義」の流れが強いことは紛れもない事実ですが、それですべてが説明つくわけではありません。「市場原理主義」から言えば、労働契約法自体が必要はなく、民法の雇用契約で充分で、解雇規制などする必要はないということなるはすですから。

私としては、「解雇の金銭解消制度」と「就業規則の過半数組合の同意による労使間の合意推定規定」が入らなければ、労働契約法が成立は画期的な前進だと思います。理想論を言えばきりがありません。もっとも、「それでは使用者が賛成しない」と言われればそのとおりです。(が、「だから、断固反対を貫くべき」と言うのには、必ずしも賛成できません。ただ、危険性を訴える運動が間違っているとも思っていません。)

だからこそ、いろいろな妥協や工夫、そして智恵が必要とされているのだと思います。

労使ともに反対して、全てぽしゃってしまうことがないようにと願っています。

■自律的労働時間制の迷走
労働契約法制とセットで、労働時間法制が提案されています。このセットというのがくせ者ですが。

その目玉が、「自律的労働時間制」です。しかし、この自律的労働時間制度は、いじればいじるほど訳が分からなくなってきます(言い過ぎかな?)。仮に、このような制度が必要だとしても、現行の裁量労働みなし時間制で充分に対応できるのではないでしょうか。

日本経団連としても、自ら提言した日本版ホワイトカラー・エグゼンプションとは似て非なるもので、とまどっているのではないでしょうかね。それとも、何か将来の芽になるような制度を導入したいというのが本音でしょうか。

何故に「自律的労働時間制」が必要なのか、さっぱりわかりません。皮肉っぽく言えば、規制改革・民間開放推進本部が「ホワイトカラー・エグゼンプションの導入」を強く提言して、閣議決定されたから、引っ込みが付かないというのが実態なのではないでしょうか。あと、米国政府の対日要求にも「ホワイトカラー・エグゼンプション」が入っているそうですね

どちらしにても、過労死の予防という政策目的とは全く反対の結果を生むことになってしまうでしょう。

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