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2006年7月13日 (木)

トンネルじん肺 熊本地裁も勝訴!!

本日、7月13日午前10時 熊本地方裁判所にてトンネルじん肺訴訟(国家賠償訴訟)の判決が言い渡されました。

7月7日の東京地裁判決と同じく、国の規制権限不行使の違法性を認めて原告が勝訴です(130名の原告に賠償命令)。

しかも、熊本地裁は、昭和35年4月からの国の規制権限不行使(散水の義務づけ、発破待避時間確保義務)、昭和54年から防塵マスクの重畳的義務づけ、昭和63年以降は粉じん測定の義務づけをすべきであったとしています。

あと9地裁で裁判係属中です。仙台地裁は結審しており、遅くとも10月には判決が出ます。流れは決まったように思います。

厚労省はトンネルじん肺防止対策の確立に向けて話し合いのテーブルにつくべきだと思います。私は、残念ながら熊本地裁には行けず、東京の留守部隊でした。厚労省前に300人の原告や支援が集まって抗議行動をしています。

声明と判決要旨は次のとおりです。

                            声      明          
                         
 本日、熊本地裁民事3部は、全国トンネルじん肺根絶訴訟について、国の責任を厳しく断罪し、原告156名中130名を救済する勝訴判決を言い渡した。
 判決は、規制権限の不行使の責任に関し、旧じん肺法が制定された昭和35年当時、トンネル工事の粉じん対策が極めて不十分な状態であり、多数の最重症じん肺患者が発生し、その後もじん肺患者が発生する危険性が高い状況にあったのであるから、労働大臣は、①
昭和35年4月には、トンネル工事坑内作業について散水措置を義務付けること、発破待避時間を確保することを義務付けること、②昭和54年には、衝撃式さく岩機の湿式化に併せて防じんマスクの使用を重畳的に義務付けること、③昭和63年1月には、粉じん許容濃度の設定と定期的粉じん濃度測定を義務付けること、これらを内容とする省令を制定するべきであり、この時点において省令制定権限等が適切に行使されていれば、それ以降のトンネル建設労働者のじん肺被害の発生、拡大を相当程度防ぐことができたと判示し、その不行使は、旧労基法、安衛法及びじん肺法の趣旨・目的に照らし、著しく不合理であり、国賠法1条1項の適用上違法であると認定した。
 そのうえで、原告らが元請企業と和解によって受領した一定の賠償金をもって損害の全部が充足しているとの国の主張(満足論)、及び最終の管理区分の時から消滅時効が進行するとの国の主張をいずれも排斥したうえ、国に対し、26名を除く原告130名に対する損害賠償を命じた。
  本判決は、7月7日の東京地裁判決に続き、トンネル工事に関し、規制権限不行使の責任を厳しく断罪するもので、じん肺根絶の闘いにとって極めて大きな意義があり、高く評価することができる。本日の勝訴判決は、じん肺患者と遺族たちが、じん肺を根絶したいとの切実な思いで提訴に立ち上がり、団結して闘った成果である。また、衆参議員の「トンネルじん肺根絶の賛同署名」(319名の現職議員が署名)、「じん肺根絶を求める100万署名」(101万4,195筆達成)、じん肺根絶を求める自治体決議(約40%達成)と首長署名(約35%達成)をはじめとする大きな世論の力によるものであり、心から感謝を申し上げる。
 国策として推進されてきたトンネル工事に従事してきた労働者のなかから、療養を要する重症のじん肺患者が多数発生しており、改正じん肺法が施行された昭和53年から平成16年までをみても、トンネルじん肺患者が全産業の24%(9,049人)を占めるという驚くべき状況にある。しかも、トンネル工事は過去のものではなく、現在も多数の工事が行なわれており、将来においても一定有益な公共工事として推進されていくことは間違いない。トンネルじん肺は過去の問題だけではなく、現在、さらには将来の問題である。私たちは、公共工事であるトンネル工事から、悲惨な被害をもたらすじん肺を根絶したいと切に願っている。 そのために、トンネル工事の発注者であり、じん肺防止の行政責任を負っている国は、東京地裁判決及び本判決に従って控訴を断念し、私たちとの協議の場を設け、これまでのじん肺防止の施策を抜本的に見直し、粉じん則等の改正整備に着手すべきである。
 私たちは、7月7日の東京地裁の判決及び本日の判決に引き続き、仙台地裁判決(8月下旬)においても、国の責任が明確に断罪されると確信している。私たちは、これらの判決を大きな武器として、公共工事であるトンネル工事からじん肺を根絶するため、じん肺根絶を願う多くの労働者、市民と団結して、奮闘する決意であることを表明するものである。

                                                                  2006年7月13日
                                                    全国トンネルじん肺根絶原告団
                                                    全国トンネルじん肺根絶弁護団
                                                    全日本建設交運一般労働組合

判決要旨

 ↓

「kumamotohaketuyoushi.jtd」をダウンロード

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