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2006年6月 4日 (日)

新司法試験-労働法

■ロー・スクール生訪問
先週、中大ロー・スクールの学生の訪問を受けました。個別労使紛争をテーマにするゼミの学生です。実務家教員の遠山信一郎先生が引率してきました。遠山先生のゼミ生はロー・スクール誕生から毎年来ているので、今年で3回目の訪問です。生の労働事件の記録を読んでもらって、問題点を討議するというパターンです。今回は解雇訴訟の記録を使いました。

■新司法試験の労働法
ということで、新司法試験の「労働法」の論文試験問題を読んでみました。ちなみに、新司法試験の選択科目では、労働法が一番人気だそうです。

法務省WEB
 ↓
http://www.moj.go.jp/

読んでみての感想は。。。

■良問ですね
第1問は個別労使関係法の問題で競業避止義務違反に関する問題。第2問は集団的労使関係に関する問題で、「不当労働行為の使用者の範囲」に関する問題です。両問とも、非常に実践的で良問です(実際に、良く相談を受けるケースでもあります)。そして、両問とも有名な判例があります。特に、第2問はいくつか最高裁判例があります。その最高裁判決の相互関係をどう理解するか、現在も実務上、ホットな論争となっています。判例を知っているかどうかで、ずいぶん違いが出るようにも思います。

■判例の知識を問うわけではない
ただ、判例を知っているかどうかではなく、第1問は労使の権利義務関係を律する「労働契約」の考え方をきちんと理解しているかどうか、が問われているのでしょう。労働契約、就業規則、特約が相互にどういう関係にたつのか。また、労働者が使用者に対して従属的地位にあるという実質的関係をどこまで契約解釈上、考慮するのかなどが問われているのだと思います。判例を知らなくても(実務家だと知らないと困りますが)、この点が論述できれば良いのでしょうね。

■集団的労使関係は難しい?
第2問は、学生に聞くと「難しい」とのことでした。個別的労使関係はイメージできるが、集団的労使関係は何が問題なのか良くわからないとのことです。これは、集団的労使関係法まで勉強の手が回らないということなのかもしれません。

確かに、法科大学院の2~3年で「公民刑」の基本分野も勉強しながら、労働法(しかも、実践的な法理)まで目を通すのは時間的に難しいでしょう。ですから、労働法については、大学法学部で普通に労働法を勉強した人は断然有利になるでしょうね。

■若手弁護士
ところで、この論文問題をうちの事務所の若手弁護士にレポートしてもらったら、どんな書面を書いてくれるのか。興味深いですね。

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