労働政策審議会労働条件分科会の紛糾!中断か?
6月27日午後4時から労働政策審議会労働条件分科会(第59回)が実施されました。「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」の素案の第2案が本日分科会に資料として配付されました。管理監督者と裁量労働見直しの点が補足されています。
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「rouseishin06627.pdf」をダウンロード
しかし、第59回の分科会での議論は急転しました。使用者側委員、労働組合側委員も反対して、中間とりまとめの作業は中断されました。
使用者側の委員が、7月での中間とりまとめに強く反対。労働契約法は使用者に新たな規制をかけるもので中小企業の理解を得られないと強調。労使の意見が対立しているのにもかかわらず、中間とりまとめをすること自体に反対だと述べたそうです。
他方、労働者側の委員も、就業規則に定める労働条件の合意推定や、解雇の金銭解決制度、自律的労働時間制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)などが盛り込まれており、審議を中断すべきと主張。
その結果、2時間を予定されていた分科会は30分で終了したそうです。私は遅刻したところ、既に分科会は終了していました。以上は、傍聴した人からの情報です。
今後、公益委員が労使双方から個別に意見を聞いて分科会の進め方を協議するということになりました。
■議論の特徴
特徴は、使用者側の反対が強いということです。有期雇用契約の期間の定めのない労働契約への優先的採用機会の付与でさえ、新たな規制ということで反対しています。また、解雇の金銭解決制度も迷走状態で法案化は無理と思われる内容に後退しています。
思えば、労働契約法は最終報告書から大幅に変わっています。労使委員会を撤回し、過半数組合の合理性・合意推定効力に変えました。これは研究会の学者たちが目指した方向とはまったく違う方向になっています。
これは厚労省が使用者と多数派労組の利益に配慮して変更したものでしょう。しかも、厚労省は使用者側を懐柔するために日本版ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を積極的に進めていました。ですから、これとセットで労働契約法を制定しようと思っていたのでしょう。にもかかわらず、使用者側が強い反対を表明したことは公益委員と厚労省側には意外なのではないでしょうか。
■労使一致の反対
労働組合側は、労働契約法の推進を、規制緩和の一環だとして強く反対してきました。使用者側が強く反対していることはどう評価するのでしょうかね。
結局、労使一致で反対をしているのですから労働契約法の成立は厳しくなりました。
■公正なルールを定める労働契約法は誰のためのものか
そもそも、労働組合に組織されていない労働者は、公正な労働のルールを定めた労働契約法を必要としています。その芽がつぶれそうな状況です。
他方で、労働契約法がつぶれても、ホワイトカラー・エグゼンプションだけが労基法「改正」により導入される可能性も残されています。
分科会が中断したとはいえ、逆に、今後は使用者側のペースで進められる危険性が高まったように思います(うがちすぎかもしれませんが・・・)。今後、要警戒です。
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