アスベスト(石綿)被害
6月11日<NPO 職業生疾患・疫学リサーチセンター>のシンポジウムに参加してきました(横浜市内)。題して、「アスベスト(石綿)被害のひろがり-実態と今後の課題」です。
じん肺とアスベストに関する専門医である海老原勇医師、関西労働者安全センターの片岡昭彦さん、中皮腫アスベスト疾患家族の会の古川和子さん、エタニットパイプの家族曝露の被災者の遺族の小菅千恵子さん、大阪泉南地区でアスベスト被災者を治療されている水嶋潔先生、大阪じん肺アスベスト弁護団団長の芝原明夫弁護士らが参加されました。
海老原先生のパワーポイントを使った建設労働者の被災状況は極めてリアルで説得力がありました。建設労働者にアスベスト関連疾患が多発していることが明らかにされました。海老原先生の患者だけで既に160名もの建設労働者がアスベスト関連疾患で職業病認定を受けているとのことです。
アスベスト新法は、救済法としては極めて不十分であること、アスベスト被害は労働者とその家族、また付近住民にとてつもない規模での被害をお呼びしており、今後、もっと拡大すること、新法制定によりアスベスト問題を収束させようとしている動きがあること、これを克服するにはもっと大きな運動が必要なことが議論されました。
クボタ・ショック以降、各地でも様々な運動や訴訟が取り組まれてはじめています。大阪での国家賠償請求や旧エタニットパイプ高松工場の元労働者や遺族の補償交渉もはじまりました。
大阪では、大阪泉南地区アスベスト国家賠償事件を5月26日に提訴されました(芝原明夫弁護団長)。アスベスト被害について国の責任を問う初めて裁判です。
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http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060514AT1G1400I14052006.html
旧エタニットパイプ高松工場で働いていた元労働者が石綿肺(石綿じん肺)、悪性中皮腫に罹患したため、旧エタニットパイプ(現「リゾートソリューション」東証一部上場)に対して、損害賠償と陳謝を求めています。6月9日には第1回の渉を開始しました。
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http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006060901003752.html
私も弁護団一員として交渉に参加しました。会社は「経営陣が変わったので、過去のことはわからない」との発言をくりかえしていました。その口ぶりは、あたかも「金払えばいいんだろ」と言っているような印象を受けました。せめてクボタのように、被害者に対するお見舞いの意思の表明や積極的な情報公開をする姿勢を見せるべきでしょう。
この問題は今後もっともっと広がりを見せるでしょう。そして、この問題は労働者だけでなく、その家族、そして付近の住民に大きな被害が隠されているとおもいます。
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