労働政策審議会労働条件分科会にて、「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」(案)が厚労省事務局から提案されました。「中間とりまとめ」の素案です。13日厚労省の会議を傍聴して、素案を入手しました。6月14日の各紙朝刊でも大きくとりあげられています。
この素案を次にアップしておきます。是非、お読み下さい。なお、管理監督職の部分は討議未了なので、13日の議論を踏まえて次回に提出するとのことです。
「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」(案)
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「06613.pdf」をダウンロード
■労働契約法
労働契約法については、研究会の最終報告書から随分変わっています。特徴点を簡単にまとめます。
(1)【労働契約法】の立法を提言
(2)【就業規則の不利益変更に関する過半数労組の合意推定効果】就業規則の変更による労働条件の不利益変更について、過半数労働組合が同意をすれば個々の労働者と使用者との間の合意を推定するという【合意推定効力】を付与している。
(3)【異議を留めた承諾制度】労働契約で決定された労働条件の変更を申し入れた場合に、労働者が異議を留めて承諾した場合には、異議を留めたことを理由にして解雇することはできないとするを導入
(4)【解雇の金銭解決制度】審判又は裁判にいおいて解雇が争われる場合において労働者の現職復帰が困難な場合には、金銭で迅速に解決できる仕組みについて検討する。
■労働時間法制
(1)時間外労働の削減策として、労働者の健康確保のための休日確保等
(2)月30時間を超えた場合の割増賃金のアップ(50%)
(3)自律的労働時間制度(新適用除外制度)
自律的労働時間制度とは、自律的な働き方をすることがふさわしい仕事をする労働者(一定の条件を満たし、一定年収以上のホワイトカラー)について、労基法の労働時間規制(週40時間性、休日労働や残業の割増賃金)を適用除外するということです。要するに、何時間残業しようと法律規制はいっさいなくなり、残業代も支払わなくて良いという制度です。
■労働条件分科会の雰囲気
2時間の分科会のうち、1時間30分が労基法41条2号の管理監督署をめぐる議論でした。管理監督職の明確化の必要性については委員の意見は一致。ただ、スタッフ職を新自律的労働時間制にすることに対して、労働側委員は強い反対の立場を繰り返し表明していた。
使用者側委員も反発。使用者側委員は、労働契約法については、「新たな規制が盛り込まれる」と反対である旨を強調していました。「こんな法律は実効性がない」とまで明確に反対意見を述べた委員もいました。他方で、自律的労働時間制度については積極的に賛成をしています。
労働者側委員の反対。労働者側委員は、もっぱら自律的労働時間制の導入について反対をくりかえしていました。あと、手続的に公益・労働・使用者間の意見が一致していないのに、あたかも「中間とりまとめ」ができたように案を出すやり方はおかしいと厳しく批判していました。もっとも、「連合」出身の委員が【過半数労働組合の合意推定効果】にきちんと反対できるかどうか、私は心配です。
厚労省、労働側、使用者側のせめぎあいが続きます。ただ、それでも7月末に中間とりまとめは厚労省主導で発表されるでしょう。厚労省のマスコミ、世論対策は予想以上に周到です。要警戒です。
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