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2006年5月 5日 (金)

子どもの日 教育基本法の改定案に思う

教育基本法改悪そのもの

とうとう教育基本法改定案が閣議決定されました。情報流通促進計画 ヤメ記者弁護士のブログを参考下さい。
 ↓
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/0c6023db87f98c6eb55bc78f662f4978

 改定案を表面的に読むと、現行法と そう変わらないという印象を受けるかもしれません。しかし、それは政府・官僚たちのいつもの手段。「目くらまし」、「誤魔化し」です。現行教育基本法とまったく異なる内容になっていると思います。
 改定案は「我が国と郷土を愛する」ことを法律で「教育の目標」と定め、愛国心を義務づけるものです。問題は、それだけではありません。例えば、現行法と改定案とで同じ「平和」という言葉が使われていますが、「平和」の内容がまったく異なるものとされていると思います。教育の「不当な支配」の禁止も残ったように読めますが、実質的には変更されています。

改定案と現行法を比較すれば、政治家と官僚の誤魔化しが透けて見えます。

改定案と現行法を比較してみましょう。

■改定案第2条(教育の目標)5項
 「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」

■現行法第1条(教育の目的)
「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」

 改定案は「国際社会の平和と発展に寄与する」としています。現行法は「平和的な国家及び社会の形成者」です。同じ「平和」でも、意味内容はまったく違うと思います。「平和的な国家及び社会の形成者」とは、1人1人の国民が平和的な国家と社会の主体的な形成者となることを目的としているのです。改定案では、「国際社会の平和」への寄与に動員される意味合いが入ってきます。現在の政府は、「国際社会の平和」に貢献するためと称して自衛隊をイラクやインド洋に派遣しているのですから。ちなみに、安保条約第6条は、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」との用語を使っています。

  また、教育の「不当な支配」についても同様です。

■改定案第16条(教育行政)
1 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない
3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。

不当な支配に服することなくと言っていますが、2項、3項では、国や地方公共団体が教育全体について積極的に介入することを容認する内容になっています。現行法10条と比べてみると、その違いは明らかになります。現行法10条は、次のとおり、教育行政は、不当な支配にならないように、教育の諸条件の整備確立を目標とすると教育行政の権限を限定しています。

■現行法第10条(教育行政)
1  教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
2  教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない

改定案は「平和」や「不当な支配」という言葉を残していますが、実質的な内容をかえているのです。法律的な誤魔化しをしています。政治家や官僚がよくやる手法です。言葉を言い換えた換骨奪胎です。自民党の国家主義的な教育基本法改悪を批判してきたにもかかわらず、この誤魔化しを受け入れた公明党は厳しく批判されるべきだと思います。

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