父と娘の「愛国心」問答
娘 パパは教育基本法改悪反対らしいけど、私は日本が好きだし、日本を大切に思うの は当たり前じゃないの。なんでパパは反対ばっかりしているの? 私の中学の卒業式のときだって、パパは君が代・日の丸のとき座っていたでしょ!
父 そうだね。パパも日本食が好きだし、サッカー日本代表を応援してる。外国旅行から日本に帰ってくるとホットする。でもそれって「愛国心」なのかい?
娘 そうよ。愛国心よ。
父 まあ、パパには愛着心という方がぴったりくるね。
娘 それって、ただの言葉の問題よね。
父 言葉って大事だよ。じゃあ「愛国心」の「国」って何だと思う?
娘 そりゃ日本に決まってるじゃない。
父 その日本って、風土、文化、日本人、小泉首相の政府のうちどれを意味するの?
娘 そりゃ日本って言えば、野山や桜や日本語、日本人でしょ。小泉首相じゃないわよ。
父 なるほど、今時の若者も「国敗れて山河あり」ってわけだ。
娘 何それ?
父 とにかく、古今東西、国って言うと政府のこととごっちゃにされることが多かったのだ。政府を批判すると「愛国心がない。非国民!」ってね。
娘 知ってる。でも第二次世界大戦前の大昔のことでしょ。今はそんなことはいわよ。
父 そうでもないね。今のアメリカではイラク戦争に反対する人は「愛国者法(反テロ法)」違反だとされて逮捕されかねないんだから。あの自由の国USAでだよ。
娘 うっそー!
父 愛国心って言葉は、その時々の政府や政治家、右翼政権でも左翼政権も、国民みんなを従わせようとして、愛国心ってヤツを利用することが多いのさ。右でも左でも、真ん中でも愛国なんて言う奴には気をつけなきゃいけないよ。
娘 うーん。…いつものパパの考えすぎなんじゃないのかなあ。
父 愛国心って「よその国よりも、俺の国の方がエライ」なんて子どもっぽい考えにとりつかれやすいんだよね。日本人が自分の国が好きなように、韓国人も中国人も、インド人も、みんな自分の生まれた国が好きなんだということを忘れちゃうんだよ。そういう多様な人々がうまくつきあえる社会の在り方を考えるのが本当は大切なんだけどね。まあ、日本人だけでなく、韓国や中国、米国でも、ココロの狭い自己チューの「愛国者」がいっぱいいるけどね。
娘 またまた、皮肉っぽいわね。
父 とにかく、愛国心というと「自分の国が一番。自分の国さえ良ければイイ」ってなっちゃうのさ。だから愛国心というより愛着心と思った方が自然だよ。愛着は、じっくりつきあってるうちに自然とわき上がる気持ちだからね。愛国心なんて力むより、ずっと健全だと思う。それに、押しつけられた物には愛着は持てないだろ?
娘 (まったく良くしゃべるわネ。だから弁護士ってイヤ!)じゃあ愛国心はいらないわけ?
父 だから、愛着心さ。自発的な気持ちが大切。惚れるというより慣れみたいなもんだよ。そのほうが危険がないし、長続きするのさ。
娘 それってママとパパのこと?
父 …(絶句)
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