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2006年5月 2日 (火)

「改正」と「改悪」

法律が変わるとき、○○法改正と言います。
憲法改正、教育基本法改正、労働基準法改正、会社法改正などなど。

数日前、「教育基本法改正に反対」と述べたところ、「改正に反対するというのはおかしい。改正とは正しくなることなんだから」との指摘を受けました。もっともなご指摘です。
ついつい、法律家は「改正」という言葉を法律の内容とは別のものとして使います。こっちのほうが法律的には正しいのですが、一般の人には違和感がありますよね。「憲法改正反対」でなく、「憲法改悪反対」と言うほうがわかりやすいように。

「改正」の法律的な意味は、・・・

「改正」というのは内容の問題ではなく、法律変更の手続が「正しい」(定められた手続を踏んでいるという意味)ということであり、内容が「正しくなる」かどうかは関係ない。内容が正しいかどうかは、評価する立場によって異なる。労基法の労働時間規制が緩和されるのは、経営者の立場からは正しいと評価され、逆に、労働者の立場からは悪いと評価されるように。ちなみに、「資本家にとって合理的なことは、労働者にとっては不合理だ」と喝破した日本の最高裁判事(色川裁判官)がいました。

とクールに考えるのが法律的な思考なのでしょう。

その意味では、「改正」という評価的な言葉を使わずに、本来は「改定」という価値中立的な言葉を使用したほうが誤解がなくて良いですね。

「事実と評価」を区別する。「存在と当為」を峻別する。「主観と客観」を混同しない。

法律家は、こういう思考方法を大学法学部や司法研修所で訓練を受けてきています。こういう思考方法は日本人的な発想ではないようです。論理に感情と気持ちをこめる「情理兼ね備える」ことが日本人的な理想の弁論ですね。

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