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2006年5月27日 (土)

映画 パッチギ!  

映画 「パッチギ!」  井筒和幸監督 2005年劇場公開

■在日朝鮮人と日本人をテーマ
2005年に公開されて評判になった映画です。遅まきながら、やっとDVDを購入して観ました。

(あらすじ)
1968年、京都。在日朝鮮人の不良高校生と日本人の不良高校生との喧嘩騒動。そして、日本人の男子高校生と在日朝鮮人の女子高校生との恋愛。日本人の朝鮮人差別と日本人高校生の歴史への無知。在日朝鮮人の「帰国」の葛藤。

社会的テーマを扱いながら、悲愴感のないエンターテイメントとなっています。喧嘩シーン(拷問といっても良さそうなシーンもあり)は、あまりに痛そうで女性は嫌がるでしょうね。でも、嫌がらずに最後まで観て下さい。お勧めです。

■個人的な思い出
私は、小学校卒業するまで京都で暮らしていました。
住んでいたのは京都市左京区の北方。私がそこに住んでいた頃(1965年~1972年頃)は、紡績や友禅染の工場などがたくさんありました。場末の工場街のようでした。近くに流れる川は、高野川でした。「金○」という苗字の友人がいっぱいいました。「パッチギ!」には観光地ではない、そんな京都の風景が映っています。鴨川、あるいは高野川の川っぷち。棺桶も入らない崖下のボロ家。掘っ立て小屋のようなホルモン焼き屋。

1968年というと私の小学校の頃です。「おらは死んじまっただあ~」(フォーククルセダース「帰ってきたヨッパライ」)が流行って、友達と良く歌ったことを憶えています。
(以下、ネタバレあり。ご注意を)

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2006年5月26日 (金)

民事裁判の証人尋問

今週、東京地裁で民事訴訟(労働事件)の証人尋問がありました。証人は、使用者側の代表取締役副社長で敵性証人。反対尋問です。

■民事裁判の証人尋問
刑事事件とちがって、民事裁判の場合には証人尋問を法廷で聞いていても書証や争点が判らないとなかなか理解できないでしょう。刑事裁判は「盗ったか否か」、「刺したか否か」など単純な事実の有無が争点ですから法廷傍聴しても理解しやすい。他方、民事裁判は要件事実という法律要件が争点ですから、普通は聞いていてわからない。

■労働事件の証人尋問
でも、労働事件の場合には、解雇や賃金請求などが争点です。解雇の理由が「合理的かつ客観的なものか、社会通念上、相当かどう」が問われます。ですから、民事訴訟の中では比較的にわかりやすいと思います。

■事案の概要
事件の概要は、管理職が非管理職に降格されて賃金が減額された。この「降格」が違法であるとして地位確認・賃金請求をしたケースです。私は、労働者側の原告代理人です。人事評価の妥当性が争点です。

■証人尋問の時間
普通は裁判官は時間を厳しくチェックします。特に昼休みにかかってしまうような場合には。でも、このケースは午前10:30から正午までの予定だったのですが、12:30まで裁判官が時間の延長を許容しました。たぶん、司法修習生が傍聴していたせいでしょう。

法学部の学生さんたちが民事事件を法廷傍聴をする場合には、労働事件がおすすめでしょう。東京地裁の場合には労働専門部(民事11部、19部、36部)がありますから、各部の法廷にいけば労働事件を見られます。

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2006年5月23日 (火)

「脱『格差社会』の構想」(世界6月号)と労働組合

■「世界」2006年6月号の「脱『格差社会』の構想」
世界6月号の2大特集は「憲法にとって『国』とは何か」と「脱『格差社会』の構想-労働・雇用政策はどうあるべきか」です。両特集とも読み応えがあります。(「世界」を電車の中で読んでいる人は、最近はとんと見かけませんが…)「労働・雇用政策」の特集についての感想を書いてみます。

■連合会長と全労連議長へのインタビュー
連合の高木剛会長は、「世界」誌上インタビューにて、「非正規雇用の待遇改善が急務」であると強調しています。高木連合会長は、UIゼンセン出身であり、民間中小企業の労働運動のリーダーです。司法制度改革審議会の委員として、また内閣司法制度改革推進本部労働検討会の委員として、労働審判制度の制定のために大きな役割を果たした方です。その高木会長がインタビューの中で、労働組合が「怒りのオーガナイズ」をすると宣言しています。今後の連合の活躍を是非、期待したいところです。

全労連の熊谷金道議長もインタビューを受けています。熊谷議長は「青年層の組織化を」を自ら実践すると宣言しています。小ぶりのナショナルセンターとはいえ、闘争力があります。

■丸子警報器事件と光洋シーリング事件
高木連合会長は、インタビューの中で二つの争議(「丸子警報器事件」と「光洋シーリング事件」)に触れています。この二つの事件は現代の労働問題を代表する労働事件です。

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2006年5月21日 (日)

ヴィムベンダースの「ベルリン・天使の詩」

■DVD購入
ヴィムベンダースがしばらく来日していたそうですが、彼が監督した「ベルリン・天使の詩」の廉価版DVDを、アマゾンにて購入し、昨日、久しぶりにゆっくり観ました。15年ほど前、NHKテレビで昼間に放映されているのをたまたま見て、印象深かった映画です。その後、10年ほど前、続編の「時の翼にのって」が封切られています。

■あらすじ
たくさんの天使が人間の全てを記録をするために幽霊のようにベルリンの街を浮遊しているシーンからはじまります。ベルリンの女神像やブランデンブルグ門の上にも立って人間界を見下ろしています。そして、・・・

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2006年5月15日 (月)

サッカー日本代表発表!でも心配

■サッカー日本代表発表
久保が落選したのは驚きでした。故障が理由とのこと。
日本FWの救世主と期待していたので残念ですが、怪我であれば仕方がないですね。
でも本人はさぞガックリでしょう。早く怪我をなおして完全復帰の勇姿をまた見たいです。

■キリンカップで勝てない 日本代表
2006年キリンカップでも日本代表チームは調子が出ていません。
ブルガリアにも、スコットランドにも勝てない。両チームともワールドカップ非出場国なのに。

結果だけでなく、なんだかチームに殺気どころか、覇気がない。
と感じるのは私の取り越し苦労でしょうか?
元気溌剌さも、明るさも、楽しさも感じないのです。
いやー、これは心配だ…。

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2006年5月12日 (金)

父と娘の「愛国心」問答

 パパは教育基本法改悪反対らしいけど、私は日本が好きだし、日本を大切に思うの は当たり前じゃないの。なんでパパは反対ばっかりしているの? 私の中学の卒業式のときだって、パパは君が代・日の丸のとき座っていたでしょ!
 そうだね。パパも日本食が好きだし、サッカー日本代表を応援してる。外国旅行から日本に帰ってくるとホットする。でもそれって「愛国心」なのかい?
 そうよ。愛国心よ。
 まあ、パパには愛着心という方がぴったりくるね。
 それって、ただの言葉の問題よね。
 言葉って大事だよ。じゃあ「愛国心」の「国」って何だと思う?
 そりゃ日本に決まってるじゃない。
 その日本って、風土、文化、日本人、小泉首相の政府のうちどれを意味するの?

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2006年5月11日 (木)

読書日記 「『ニート』って言うな!」本田由紀・内藤朝雄・後藤和智 著 

「『ニート』って言うな!」本田由紀・内藤朝雄・後藤和智 著
    光文社新書 2006年1月初版
            2006年3月読了

「フリーターとニート」は「現代若者」論の流行言葉です。「ニート」が一般のTV・新聞マスコミで語られるイメージは次のようなもの。

 「ニートは学びもせず、働こうともしない若者たち。このニートが増えている。」
 「ニートが増えている原因は、働かずに楽して暮らしていこうとする若者の甘え。」
 「フリーターより質が悪い。」
 「ニートは社会的な引きこもりと紙一重の若者」

このような「ニート亡国論」に対する批判の書です。若者バッシングに対する抗議の書と言っても良いと思います。

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2006年5月 6日 (土)

読書日記 「若者が働くとき」 熊沢誠 著

 「若者が働くとき」 熊沢誠 著  ミネルヴァ書房
      2006年2月20日 初版
      2006年5月5日  読了

フリーター、ニートなど若者の労働について新しい視点をもたらす好著です。

■米国マック店でのエピソード

熊沢教授は、この本で「マック仕事」に対する若者の抵抗のエピソードを紹介しています。

「1998年 米国オハイオ州のマクドナルド店にて、15人の若者がピケをはってストライキに突入した。
 きっかけは、66歳の女性同僚がマネージャーから些細なことで罵倒されたこと。争議は大労組チームスターの支援をうけて52日間続き、賃上げや処遇の是正を獲得した。
 大人からの『そんな仕事はさっさと辞めて別の職場で働けよ』という忠告に対して、19歳のリーダーは、『それは的外れだ。他の職場でも同じことが起こるでしょう。』と述べた。」

と言います。若者が元気なのはフランスだけではないようです!

■正社員を含めた労使関係の改善を

熊沢教授は、企業が選抜によって即戦力の正社員を少数精鋭化し、非正規労働者を単純労働、補助労働として「活用」(使い捨て)するという労務政策の結果がフリーターやニートを増加させている指摘します。

そして、正社員を離職して非正規雇用となる多くの若者がいる現実を指摘して、「フリーターを正社員化すれば良いという問題ではない」とされます。正社員として就職した若者の働き方自体に大きな問題があるから、若い正社員の離職率も高く、フリーターとなるという悪循環があると言うのです。

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2006年5月 5日 (金)

子どもの日 教育基本法の改定案に思う

教育基本法改悪そのもの

とうとう教育基本法改定案が閣議決定されました。情報流通促進計画 ヤメ記者弁護士のブログを参考下さい。
 ↓
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/0c6023db87f98c6eb55bc78f662f4978

 改定案を表面的に読むと、現行法と そう変わらないという印象を受けるかもしれません。しかし、それは政府・官僚たちのいつもの手段。「目くらまし」、「誤魔化し」です。現行教育基本法とまったく異なる内容になっていると思います。
 改定案は「我が国と郷土を愛する」ことを法律で「教育の目標」と定め、愛国心を義務づけるものです。問題は、それだけではありません。例えば、現行法と改定案とで同じ「平和」という言葉が使われていますが、「平和」の内容がまったく異なるものとされていると思います。教育の「不当な支配」の禁止も残ったように読めますが、実質的には変更されています。

改定案と現行法を比較すれば、政治家と官僚の誤魔化しが透けて見えます。

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2006年5月 4日 (木)

鯉のぼり

五月の風を感じる鯉のぼりです。

東京都日野市 昔ながらの農家の庭で立派な鯉のぼりをみつけました。
全景の写真はサイドページの左下の「花と緑と風」をクリックしてご覧下さい。

05010004_r1

<文部省唱歌>

甍の波の 雲の波
重なる波の 中空を
橘かおる 朝風に
高く泳ぐや 鯉のぼり

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2006年5月 3日 (水)

読書日記 「ウェブ進化論」梅田望夫著、 「グーグル Google」佐々木俊尚著

「ウェブ進化論」梅田望夫著
   (ちくま新書 2006年4月12日読了)
「グーグルGoogle -既存のビジネスを破壊する」佐々木俊尚著
   (文春新書 2006年4月25日読了)
         
 わからないことがあると、私は「何はともあれ、グーグルで検索する」という習慣が身についてしまいました。グーグルの検索は圧倒的に便利であり、その的確な情報へのヒットには舌を巻きます。このグーグルについて説明した話題作です。両著とも面白く読みました。インターネット検索という技術が、知的生活や経済を大きく変えるというのです。実際、グーグルを使ってみると、これは社会に大きなインパクトを与えるようになると思えます。丁度、テレビが社会に与えたほどの力を発揮するのではないかと思います。 

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新緑の季節

久しぶりに自宅近くの都立公園と薬科大学のキャンパスを散歩してきました。

緑の風の季節でした。05010006_r1

新緑のトンネルです。

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2006年5月 2日 (火)

「改正」と「改悪」

法律が変わるとき、○○法改正と言います。
憲法改正、教育基本法改正、労働基準法改正、会社法改正などなど。

数日前、「教育基本法改正に反対」と述べたところ、「改正に反対するというのはおかしい。改正とは正しくなることなんだから」との指摘を受けました。もっともなご指摘です。
ついつい、法律家は「改正」という言葉を法律の内容とは別のものとして使います。こっちのほうが法律的には正しいのですが、一般の人には違和感がありますよね。「憲法改正反対」でなく、「憲法改悪反対」と言うほうがわかりやすいように。

「改正」の法律的な意味は、・・・

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メーデーと大赤旗

昨日 5月1日 ひさしぶりにメーデーに参加しました。

私の所属する法律事務所は、労働事件を多く手がけているということで、メーデーに参加しています。血のメーデー事件に参加した老弁護士もいます。

昨日は、初夏の陽気となり、表参道をデモしました。はじめて表参道ヒルズを見ました。表参道通りの新緑も美しかったです。沿道には多数の買い物客が歩いており、物珍しそうにデモを見ていました。外国人観光客も、カメラでわれわれを撮影していました。

現在の所旗
   ↓
200605011246000

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2006年5月 1日 (月)

労働契約法 厚労省 急加速!

■いいよ登場 労働契約法・労働時間規制緩和

厚労省の労働政策審議会労働条件分科会にて、労働契約法制・労働時間法制の検討の視点が提示されました。今後、6月13日に素案が出され、7月18日に「中間とりまとめ」が発表される予定です。そして、秋に労働政策審議会の建議があり、来年2月に国会に上程される予定です。この問題については、以前、「解雇裁判の沙汰も金次第?」と題して、ブログにのせました。
              ↓
http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/04/post_0238.html#more

いよいよ法案化に向けてスピードアップしています。
4月11日に発表された「検討の視点」では、相変わらず解雇の金銭解消制度があります。また、過半数労働組合と使用者が合意すれば、労働条件が悪く変更することができるような制度も提案されています。そして、自律的な働き方ができる労働者は、労基法の労働時間規制(残業代割増、週40時間規制)を適用除外とする新制度が提案されています。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/04/s0411-2a.html

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