スタニスワフ・レムの「ソラリス」
2006年3月27日 スタスワフ・レムが死去しました。ポーランドの思想家、小説家です。
「ソラリス」、「砂漠の惑星」、「エデン」などのSF小説で有名です。どれも面白く読みました。
私は、大学生のときに岩波ホールで映画「惑星ソラリス」(タルコフスキー監督)を観てから、レムのSF小説を読みあさりました。タルコフスキーの「惑星ソラリス」は素晴らしい映画なのですが、同時に、まったくわけがわからん映画でした。摩訶不思議な映画でした。(DVDが出ています。ジェームス・キャメロン監督も「ソラリス」を映画化していますが、こっちはいまいち。)この「惑星ソラリス」映画の謎を解きたくて、レムの原作小説を読んだようなものです。
その謎とは…
人類が宇宙に進出している未来。
惑星ソラリスは表面はすべて有機物の液体からできた「海」におおわれている。この惑星ソラリスを研究している宇宙ステーションの科学者らに「客」が訪れる。ある者のもとには怪物が。ある者のもとには娼婦が。人が頭の中の奥底に隠しているイメージが実体化されてしまう・・・・。
「ココロの奥に隠しているものが表に出て来て、みんなに観られるなんて、ひえー。いやですね。こわいですね。」(淀川長治調)
主人公であるクリス・ケルビンのもとには、昔、自殺させてしまった美しい妻ハリー(ナターリア・ボンダルチュクが演じる←素晴らしい女優!)が蘇ってくる。恐れおののくクリス。
映画「惑星ソラリス」
↓
惑星ソラリスの「海」は一つの知的生命体。人間のイメージを実体化して、人間を理解しようとしていた。そして、最後には、クリスを訪れた「ハリー」は、「元妻」とも違う独立した人格を持つにいたる。そして、クリスを苦しめないために、彼のもとを去っていく。その後、「海」とクリスがコンタクトをすると、クリスの故郷がソラリスの海の上に浮かぶ…
レムの小説の多くは、ソ連・東欧の社会主義体制の暗い寓話でもあるようだし、ただただ人間の限界と不条理を描いているだけの小説のようでもある。東側のSF作家ということで、さまざまな政治的解釈や思想的解釈をされた作家でした。でも、どちらかというとカフカなんかの中欧の不条理小説の延長のように思います
しかし、我ながら昔からネクラな小説や映画が好きだったなあ・・・
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