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2006年3月31日 (金)

「解雇裁判の沙汰も金次第」?

解雇の金銭解決制度の導入

現在、厚労省の労働政策審議会で、労働契約法について審議されています。労働契約法の中に、解雇の金銭解決制度が提案されています(報告書60ページ)。
 ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/09/dl/s0915-4d.pdf

解雇された労働者は裁判で解雇無効を訴えることができます。現在の日本の法律と判例では、訴えた労働者が勝訴すれば、「解雇は違法・無効」となり、裁判所は、会社に労働者としての地位確認と、そして賃金の支払を命じます。

ところが、厚労省が導入を検討していうる【解雇の金銭解決制度】は、労働者が勝訴した場合でも、使用者が「労働者の職場復帰が困難」と申し立てれば金と引き換えに労働契約を解消できるというものです。

日本版CPE(試行雇用契約)と言い、この解雇の金銭解決制度と言い、誰がこんな制度を入れると決めたのでしょうか?

今の小泉内閣です。また、アメリカ合衆国政府の要請を受け入れた「規制改革会議・民間開放推進会議」の皆さんです。

【解雇の金銭解決制度】とは、解雇が違法でも、使用者が金さえ払えば労働契約を解消できる(労働者は職場に戻れない)ということです。簡単に言えば、労働者が勝訴しても、社長が金さえ払えば「ハイ、サヨナラ」と契約の打ち切りができるというこです。

まさに、世の中、金ですね。「金持ちが勝ち」の社会です。究極の「格差社会」です。

小泉さん、竹中さんや安倍さんの好きな「勝ち組」はすべてを手に入れ、「負け組」はすべて失うのです。そもそも彼らの目から見れば、解雇されるような労働者は「負け組」でしかありませんから。「転職して頑張ってね」と言っても、転職しても損にならないようにする社会制度をまともに作るつもりもないのでしょう(きっと「だって、社会保障費がかかっちゃうもんね。財政赤字だもん。」とうそぶくのでしょう。)

「まあ金をもらえば文句ないでしょ!」と弁護士も、裁判官も言う世の中にしたいということです。昔の大学法学部で労働法を習った法律家は「労働法は人権法」だし、「雇用保障のための社会法」でした。ところが、今のロースクールは、「労働法はビジネス法」と位置づけているそうです。企業法務に入りたい学生の人気科目だそうです。

この制度が法律となれば、人の顔を「札束で叩く」ような解雇裁判がはじまってしまいます。小泉内閣は、この解雇の金銭解決制度を平成18年度中に導入することを既に閣議決定しています。http://www.kisei-kaikaku.go.jp/publication/2004/0325/item040325_03-11.pdf
今年の秋には法律案が作成され、来年の通常国会に上程される予定です。

フランスの「新雇用契約法」(初期雇用契約CPE)に反対する高校生や労働組合のように直接行動はできなくても、「そりゃないぜ!」とだけは言いたいと思います。反対の世論が高まれば法律化はくいとめられるでしょう。詳細は日本労働弁護団の意見書も見て下さい。労働団体(連合、全労連)のHPも問題を指摘しています。この問題は労働組合が頑張るしかないでしょう。

私もジュリスト(2006年4月1日号)に、この労働契約法の問題点を書きました。興味のある方は読んでみてください。http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/

こんな大事な情報をなぜ全国新聞、テレビなどの大マスコミは報道しないのでしょうね。

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