2012年3月 3日 (土)

有期労働契約法制/労働契約法の一部を改正する法律案要綱

■有期労働契約の法律案要綱が諮問される
 2月29日、労働政策審議会に有期労働契約に関する労働契約法の一部改正法律案要綱が諮問されました。主な内容は3点、つまり三箇条の改正です。

① 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
② 有期労働契約の更新等
③ 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止

■有期労働契約による不合理な労働条件の禁止
この法律案要綱は次のとおりです。

第三 期間の定めのあることによる不合理な労働条件の禁止

 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めのあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(第三において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとする。

 従来は、いわゆる正規社員と、有期契約労働者との労働が同一労働であったとしても、労働契約が異なるとの理由で、労働条件が異なっても契約によって合意されたものとして、法律的には規制する根拠がありませんでした。その希有な例外が、丸子警報器長野地裁上田支部判決です。

 この法律案要綱諮問で、有期労働契約を理由とする不合理な労働条件を禁止する条項をおこうとしていることは画期的です。極めて重要な改正であり、労働側としては、この機会に実現すべき条項でしょう。ただし、次のような課題があります。

●法的効力についての課題

 「不合理と認められるものであってはならない」という条文が、禁止条項であり、不合理と認められる有期労働契約の労働条件を違法・無効とする効力を有しているかどうかがです。法律条項の表題が、「不合理な労働条件の禁止」となっていれば、禁止条項であり、単なる努力義務や配慮義務を定めたものではないことにはなるでしょう。しかし、この禁止条項であるという点を法文でも明確にすべきでしょう。

 もう一点として、無効となるとして、無効となった労働契約の労働条件はどうなるのか。正社員と同一の内容になるという効力を認めるべきでしょう。そうでないと使用者に損害賠償請求を求めることができるだけになってしまいます。そこで、次のような条文を定めることが必要です。

 

前項の場合には、不合理な労働条件は無効とする。無効となった労働条件は、同一使用者の無期契約労働者の労働条件による。

 もっとも、このような効力条項がなかったとしても解釈で補うよう国会審議で趣旨を明らかにした上で、労働契約法を改正すべきでしょう。

●不合理と認められる要件についての課題

 法律案要綱は、無期契約労働者と有期労働契約労働者の労働条件の相違は、正社員と有期契約労働者の労働条件が、「職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して」不合理でなければならないとしています。「労働」が同一であって初めて平等に扱うことになるので、業務の内容や責任の程度が実質的に同一であることは必要だと思います(ただし、配転の範囲は重要な指標にすべきではありません)。

 しかし、これが原稿のパート法8条のように極めて厳格に解釈されてしまえば、法改正の目的は実現できません。そこで、「職務の内容や責任の程度」が異なり労働条件が異なることが合理的であるということは、使用者に主張立証責任を負わせるべきでしょう。

 この条文が制定されても、一挙に有期労働契約の労働条件が改善されるわけではありませんが、極めて重要な前進となります。あとは、労働者や労働運動が、このような条項を使って、どこまで有期契約労働者の労働条件を改善することができが問われます。

 
■雇止め法理の制定法化について
 雇止め法理については次のような法律にするとしています。

第二  有期労働契約の更新等

 有期労働契約であって一又は二のいずれかに該当するものの契約期間が満了するまでの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなすものとすること。

一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

上記の一と二は、松下PDP事件最高裁判決の次の判決文と微妙に異なります。

●松下PDP最高裁判決との比較
 この判決文は次のとおりです。

 

しかるところ、あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、
 又は、
 労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合には、当該雇用契約の雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められないときには許されない。

 判決文と比較すると、日立メディコ事件判決文の「期間満了後も雇用契約が継続されるものと期待することに合理性が認められる」という判決文が、要綱の上記「二」の「期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がある」との法文になっています。

●「満了時に」ではなく、「満了後も」

 「満了時に」という文言は、労働者が満了時に更新を期待することが合理的でなければならないのか、契約締結時に満了時に更新すると期待するので良いのか、どちらにも読めるように思えます。判決文通りであれば、「満了時に」でなく、「満了後も」とすべきでしょう。

 そして、この雇止め法理が、有期雇用契約を更新して5年を経過した場合に、どう適用されるのか。この点は、無期契約への転換の条項の効力が実効性があるかどうかを左右することになると思います。れこは、また別途検討してみます。

■労働政策審議会の答申は

 
なお、この要綱案を諮問されて、3月5日に労働政策審議会の答申が延期されたと聞いています。労政審で充分に審議した上で良い要綱案が答申され、さらに国会で審議されてより良い内容になることを期待したいと思います。

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2012年2月19日 (日)

大阪市 強制アンケート開封凍結

■強制アンケート開封凍結
大阪市の業務命令による強制アンケートの開封を凍結することを、大阪市の特別顧問・野村修也弁護士が発表しました。

http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012021701001973.html

職員アンケート開封凍結 大阪市労連の申し立てで  大阪市の橋下徹市長が職員に回答を義務付けた政治活動や労働組合活動に関するアンケートについて、市長からアンケートの扱いを一任されている市特別顧問の野村修也中央大法科大学院教授は17日、回答データの開封や集計作業をいったん凍結することを明らかにした。  野村氏は凍結の理由について、市労働組合連合会が大阪府労働委員会に対して行った救済申し立ての審査の推移を見守ることなどを上げた。市役所で記者会見した。

なお、野村修也氏は、「中大法科大学院教授」という肩書きで、あたかも中立的な立場であるかのように報じられています。しかし、実際には、森・濱田松本法律事務所(日本の4大ビッグローファームの一つ。所属弁護士は優に300人を超えているでしょう。)所属のビジネスロイヤーであり、弁護士業務として大阪市から委任を受けていると報道すべきでしょう。
(別にビジネスロイヤーだから悪いと言っているわけじゃないですよ。私は労働者側弁護士で中立でありません。弁護士というのは、プロフェッショナルであり、かつ「当事者の代理人」であるという特殊な立場にいるわけです。あたかも「中立」であるかのような看板を使ってはいけない、と私は思います。)

ロースクール教授の肩書きを見ると、一般の人はその弁護士を中立的な立場だと誤解されるようです。昨今、はやりの第三者委員会の影響でしょうか。

■特別顧問の調査が免罪符になるか

労働弁護団の声明で、特別顧問が調査実施をしても大阪市の不当労働行為になると指摘ししました。

http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/post-26.php

このような質問事項は、たとえ提出先が大阪市庁内部ではなく、野村修也大阪市特別顧問あての形式をとったとしても、本件アンケートへの回答が橋下市長名義の下に業務命令として発され、「正確な回答がなされない場合は処分の対象となりえる」と明記していることに照らせば、職員に対する懲戒処分権を有する市長が回答内容を把握することが前提とされていることは明らかである。

■「支配介入」禁止(労組法7条3号)

労働組合法7条3号において、使用者は「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること」をしてはならないと定められています。

この支配介入の主体となる使用者とは、雇用主(本件の場合には大阪市)だけでなく、役員や管理職も、当然使用者として支配介入することを禁止されます。例えば、会社が依頼した経営コンサルタントが労組に支配介入したときに、この者が使用者といえるか等が論点になります。

■支配介入の主体

野村修也弁護士が、この支配介入の主体である「使用者」となり得るかを検討してみます。

本件アンケートについて、橋下徹大阪市長は次のように記載しています。

 野村修也・特別顧問のもとで、徹底した調査・実態解明を行っていただき、膿を出し切りたいと考えています。その一環で、野村特別顧問のもとで、添付のアンケート調査を実施します。

 …

 このアンケート調査は、任意の調査ではありません。市長の業務命令として、全職員に真実を正確に回答していただくことを求めます。正確な回答がなされない場合には処分の対象となります。

ということで、普通に解釈すれば、使用者である橋下市長の命により実態調査の実施を委託を受け、その調査結果に基づき、大阪市が職員を処分の対象とするということですから、野村特別顧問は、大阪市長から特に労働組合の所属や活動などの調査委託を受け、それを処分の対象となることを想定して報告する者として、「使用者」に該当することは明白だと思います。

■労働組合の所属、活動調査は支配介入の典型

アンケートの内容は、労働組合への加入の有無、参加の有無・程度及び労働組合に相談した経験の有無を問う(Q6、Q16、Q20)もので、典型的な支配介入行為に該当します。

民間企業では、労働者に対して、労働組合の所属や労組活動への参加、労組への考え方等を調査したことが不当労働行為として、救済命令が出されたケースは珍しくありません。

大阪市は、労働組合法が適用される非現業職員に対しても、アンケート回答するように業務命令で出されており、現業職員や現業職員の労組は、大阪府労働委員会に救済を申し立てられるケースです。

野村修也弁護士がアンケート開封を凍結したのは弁護士としては当然の措置でしょう。ただ、野村弁護士が、弁護士として、思想良心の自由侵害や不当労働行為とされるリスクを全く検討していなかったようで不思議です。もっとも、橋下市長も弁護士ですが…

■労働委員会での証人喚問

近々、大阪府労働委員会の不当労働行為の調査・審問が開始されるでしょう。追々、橋下市長や野村修也弁護士の証人喚問が課題になるでしょう。

結論のみでなく、労働委員会審理が極めて注目されるところです。

■大阪だけ、公務員だけの問題でない

これは大阪だけの問題ではありません。また、公務員労組だけの問題でもありません。労働組合をあたかも「反社会的勢力」であるかのように煽るキャンペーンの一環のように思われます(最近、全国各地で、裁判所が労働組合の宣伝行動を差し止める例が目立ちます)。全国、とりわけ東京での応援態勢をとっていきたいと思います。

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2012年2月16日 (木)

橋下徹氏の手法

■抗議声明
大阪市職員に対する業務命令によるアンケート調査に対して、労働弁護団は抗議声明を出しています。他団体も、また弁護士会も日弁連、大阪弁護士会、東京弁護士会も批判声明を出しました。思想良心の自由や団結権を侵害するという当然の内容です。

労働弁護団
http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/post-26.php

日弁連
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120216.html

■橋下氏は想定内なのでしょう

しかし、橋下氏は、このような既成団体の反論を折り込み済み。かえって、このような原則的な反論を逆手にとって、マスコミを活用して自己アピールをするというのが橋下氏の得意技のようです。

彼も弁護士だから、業務命令としてのアンケートが団結権侵害や思想良心の自由との関係で問題があることは当然に良く分かっている。それを承知の上で、「極論」をぶち上げる。すると、マスコミが大きく取り上げて、周囲の反発を利用して、より注目を集めて盛り上がる。

このように敢えて政治的な波風をたてて、ここから彼は、「政治的な天才サーファー」の真骨頂を発揮する。

■極論をぶちあげて、軌道修正してちゃっかり獲得している

橋下氏は、極論をぶちあげておいて、その後に、結構、軌道修正をして落としどころで自己の要求を実現するというやり口です。

一連の日の丸・君が代条例や教育基本条例、職員基本条例はそういう結果になっています。「3回不起立で免職だ」とぶち上げたが、結局、そこまでは獲得できなかったが、起立斉唱条例制定、通達による職務命令、最高裁でも戒告処分はOKという「線」を獲得しました。

例の「船中八策」も、「参議院廃止」とか、「首相公選制」とか、憲法改正しないとできないことをぶち上げるのも、この手法です。極論をぶち上げておいて、既成勢力の反発を敢えて挑発する。そして、自分がイニシアティブをとろうという手法です。

その意味では、橋下氏は、天才的な政治サーファーであるとともに、タフ・ネゴシエイターなのかもしれません。

■真面目に考えれば、だからなんなのよ?という主張なんだけど

ちょっと考えれば、一地方にしかすぎない「大阪」が「都」なのか「府」なのか、「それがどうしたの?」って程度の問題。どこが「国のかたちの問題」なんでしょう。「郵政事業の民営化」の噺と同じじゃないかいね?

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2012年2月 5日 (日)

吉野ヶ里遺跡を見学して


一月末に九州労働弁護団の総会が佐賀の武雄温泉で開催され私も参加してきました。メンタルヘルスに関する講演と実践例の報告で勉強になりました。

帰りに吉野ヶ里遺跡を見学してきました。弥生時代の代表的な環濠集落です。2400年前から2000年まで続いた環濠集落です。


環濠と言っっても、印象は「とりで」、「要塞」集落という印象です。深い堀、垣根、侵入者を威嚇するような柵です。
王墓も2100年頃から一般人とは別に、首長というよりも王として埋葬されている。

その中には、首がない遺体もあり、矢じりが10個も身体に突き刺さっていた人骨もある。武器庫もあり、階級が発生し、王が出現し、近隣のクニと戦闘していたということです。

この北九州に吉野ヶ里を作ったのは、おそらく朝鮮半島から稲作や金属器の技術を持ち込んだ渡来人なのではないでしょうか。それとも原日本人であった縄文人と平和的に混血したのでしょうか。この吉野ヶ里遺跡を見る限り決して平和的、友好的な人々とは到底、見えません。

倭国であった当時の遺跡です。これから古墳時代、ヤマト王権、そして7世紀の天皇制(日本天皇)が確立していく国家成立の始まりにつながった遺跡ということで、感慨深いものがあります。

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2012年1月31日 (火)

労政審「有期労働契約の在り方について(建議)」(その2)

■日弁連の労働法制委員会にて

厚生労働省の担当者に、労働政策審議会の有期労働契約の在り方についての建議を解説してもらいました。「建議」に基づいて、労働契約法の改正を準備しているとのことです。その骨子は次のとおりです。

(1)5年を超えて反復更新したとき、労働者は無期転換申出権を取得する。

・この無期転換申出権は、形成権である。

・1年有期契約としたら6年目の有期契約を締結して5年を超えたときに無期転換申出権を取得する。6年目の契約が終了した段階で無期契約に転換する。

・これを権利を行使するかは労働者の自由意思に委ねられる。

・6年目に権利行使しなくとも、次に7年目の有期契約を締結した段階で、6年目で発生した無期転換申出権は消滅するが、7年目の無期転換申出権が新たに発生する。

・無期転換申出権を放棄する旨の事前合意は、公序良俗に違反して無効となる。

(2)利用可能到達前の雇止めの抑止策

・雇止め法理の適用は抑止策となる。

(3)雇止め法理の法制化

・松下PDP最高裁判決を法文とする。

つまり、「期間の定めのある雇用契約があたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合,又は,労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合には」、当該雇止めには、労働契約法16条が準用する。

・この雇止め法理は、5年目の更新についても適用される。これは利用可能期間到達前の雇止めに対する抑止策となる。

(4)期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消について

・不合理な処遇には、賃金、退職金、通勤手当や社内食堂の利用等の福利厚生も全て含む。

・職務の内容と配置の変更の範囲等を考慮して、有期労働を理由とする不合理なものを是正する法的効力をもつ条項を設ける。

■出口規制や利用可能期間の制限と言えるか?

このような構想だと、利用可能期間の制限とか、上限規制というのはネーミングとして適切でなく、かえって誤解を生むように思います。5年を超えて有期労働契約を締結することは禁止されるものではありません。ただ、5年を超えて更新された場合には、労働者に無期転換申出権を付与することになるだけです。

これを上限規制とか、利用可能期間の定めとすると、5年を超えて有期契約を締結してはいけないという誤ったアナウンスをしてしまうことになるように思います。

■有期契約を理由とする不合理な処遇を是正する条項の新設

有期を理由とする不合理な処遇を是正するための私法的効力を有する条文ができることは画期的です。今まで、有期契約と無期契約が、いかに格差があっても、契約形態が異なるから、やむを得ない。労基法の同一労働同一賃金の原則は適用されなないとしてきた「厚い壁」が破られることになります。

■課題

使用者は、有期労働契約書の中に、反復更新しても5年が上限だとの条項を入れることになろう。このような5年を上限とする契約条項が有効かどうか。また、例えば、4年目の契約更新の際に、不更新条項を入れることが有効かどうか。これが課題となります。

現行法では、このような契約条項は有効とされています。上記のような労働契約法が改正されたら、どうなりますでしょうか。雇止め法理の適用の解釈の問題になりそうです。

また、5年目で無期転換しなけらばならないので雇止めをしても、雇止めに合理的な理由があるという解釈になるのかどうかも課題となります。

■今後の法案化

このような骨子を法案化する作業は現在、厚労省で進められているようです。2月中には法案化するそうです。労働契約法17条の後に、3箇条をもうける構想を持っているそうです。三箇条とは、無期転換申出権、雇止め法理、有期を理由とする不合理な処遇の是正ということになりそうです。

この法案が具体的にどのような条文になるのか、要注目です。

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2012年1月29日 (日)

労政審「有期労働契約の在り方について」(建議)

昨2011年12月26日、労働政策審議会は「有期労働契約の在り方について」の建議を発表しました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z0zl-att/2r9852000001z112.pdf

有期労働契約の締結自由を合理的な理由がある場合に限定する締結事由規制(入口規制)は見送りました。しかし、有期契約労働者の不安定な地位と低処遇を改善するためには、入口規制を行うことは必要不可欠です。労働弁護団も2009年に入口規制を中心とする立法提言をしています。

http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/gen091028c.php

建議は、入口規制に代わる「目玉」として「有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応」を提案しています。

有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入する

この5年を超えた場合に無期契約に転換する仕組みとは、どういう仕組みなのか、具体的方法は建議(報告)では記載されていません。

考えられる方法としては、①労働者に無期契約への転換請求権を付与する方法、②使用者が労働者に無期契約の申込みをしたとみなす方法、③労働者の申出に関わりなく無期契約とみなす方法もあります。

建議は、あくまで労働者の申出によるとしていますから、上記の①か②のどちらかになるのでしょう。

そうすると、この建議は、労働者が無期契約への転換を申し出ない場合には5年を超えても有期契約が反復更新して続けることを許容するようです。

このような利用可能期間の上限を定めると、使用者は無期契約への転換を阻止するために5年に達する前に労働者を雇止めをすることになります。これが「副作用」です。

あるいは、使用者は「5年を超えた段階で無期契約への転換を求める者については雇止めをする。しかし、有期契約のままで良いとい者については、5年を超えても有期で反復更新して雇用を継続する」と労働者にアナウンスをすることが考えられます。このようなアナウンスを聞いた労働者は、無期への転換を申出ることもなく、有期での反復更新を選択することになるでしょう。このような使用者のアナウンスは脱法行為にほかなりません。これでは利用可能期間を決める意味がないことになってしまいます。

このような副作用を抑止しなければ、5年ごとに有期契約労働者の入れ替えが行われるだけになり、使用者が許容する極く一部の者しか無期契約に転換することができません。

そこで、脱法行為を禁止する規定を設けるとともに、副作用を抑止するために次のような法的措置をとるべきです。

(1)使用者が有期契約労働者を利用可能期間到達を理由に雇止めした場合には、同一事業場及び同一業務において、新たに別の有期契約労働者を雇用することを禁止する。また、利用可能期間到達前の1年前に雇止めした場合には、利用可能期間到達を理由に雇止めをしたものと推定する。
(2)使用者が、(1)の禁止に違反した場合には、雇止めされた有期契約労働者は、使用者に対して、無期労働契約として継続雇用を請求することができる。

入口規制が無理だとしても、最低限、次のような立法を行うべきでしょう。

第1に、労働契約は無期契約であることを原則とする規定を設けること(労働契約法3条の原則規定)

第2に、利用可能期間到達前の雇止めの抑止策をもうけること(同一事業場及び同一業務に別の有期契約労働者を雇用することの禁止する)

第3に、脱法行為の禁止規定を設けること

労働側は少なくとも上記の要求で一致しないでしょうか。不十分であるからといって、批判して反対するだけでは、派遣法の二の舞になってしまいます。

建議には、「雇止めの法制化」の問題、「有期契約を理由とする不合理な処遇の解消」という論点もあります。これについては今後、検討してみようと思います。

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2012年1月14日 (土)

TPP協定と労働

平成23年10月 国家戦略室が各省庁と、「TPP協定交渉の分野別状況」を発表しています。

http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf

労働分野については、次のように記載されています。

1 交渉で扱われている内容

 貿易や投資の促進のために労働基準を緩和すべきでないこと等について定める。

2 交渉の現状

 貿易・投資の促進を目的とした労働基準の緩和の禁止や国際的に認められた労働者の権利の保護等が主たる目的となっているが、米国が今後条文案を提案する段階であり、現時点では、独立した章とするかを含め、合意はない模様

既存の協定の内容について、次のように指摘してます。  

P4協定(*)、米国が締結したFTA及びニュージーランド・マレーシアFTAには、労働に関する規定が置かれ、具体的には、①国際労働機関(ILO)加盟国)としての義務の再確認、②貿易・投資の促進を目的とした労働基準の緩和(労働者の権利保護の水準の引き下げ)は不適当であることを確認する。③国際的な労働に関する約束と国内法の整合性を確保しかつそれを効果的に実施する、④協定の規定の解釈や適用をめぐり問題が生じた場合のい協議、紛争解決手続の適用について定める等、の規定が盛り込まれている。

 *:2006年5月 シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四カ国の間で締結された自由貿易協定

 上記記述を見る限り、昨年2011年10月段階では、TPP協定では、日本国内の労働法制分野には影響はなく、ILO条約の遵守を確認し、国内の労働者権利保護規定の引き下げはないことになっています。  

 しかし、、中野剛志著の「TPP亡国論」では、「TPPは米国主導、米国の国益維持のためを目標とするもの」と指摘されています。その米国は解雇自由など労働の規制緩和の国です。今後、どのような交渉がなされるのかが、要注目です。

 外国人の労働者受け入れが労働分野では注目されていますが、労働法分野もどうなるか警戒が必要です。

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2012年1月 9日 (月)

読書日記 「TPP亡国論」(中野剛志著)、「グローバル恐慌の真相」(中野剛志・柴山桂太著)、「公共事業が日本を救う」(藤井聡著)

年末年始にかけて、上記経済本の新書3冊を読みました。

曰く、「日本は財政破綻をしない。」「日本は、ギリシアとは違う。」「日本の国債の9割は日本人が購入している。」、「今は、財政再建よりもデフレ克服こそ最優先課題」、「国債をばんばん発行して公共事業につぎ込め。」「」貿易立国などは過去の話で、日本は内需で十分に成長を維持できる。」などなど。それなりの統計データをまぶして記述されています。

これらを読んでいると、素人である私は、「なるほど」と感心しました。藤井教授の本を読むと、「東日本大震災の復興のために、ばんばん豪勢に投資をして公共事業を行えば、日本の内需も拡大してデフレ克服するのではないか。日本中で耐震工事も行おう!」で良いのだという気になります。

しかし、なぜこの立論が不人気なのでしょうかね。

政府や官僚が愚かだからという説明では、今、一つ納得がいかない。中には「新自由主義者の官僚や政治家、企業家は、私腹を肥やそうとしている。」と言う人もいますが(高橋洋一氏「数学を知らずに経済を語るな!」)、具体性がなく、どうも腑に落ちないので気になります。

「グローバル恐慌」で、中野教授と柴山教授の対話の中で、現状の不安定な経済の方が金融資本はもうかるから、とか政治的にアメリカには逆らえないから、という話が出てきます。政治論議としては分かるのですが、経済論としては、今ひとつ分かりません。例えば、この政策をとれば、この経済グループがもうかるからという話なのでしょうか。これはいつの時代も真実なのでしょうが。

一方の新自由主義派の立論は「小泉改革」のときの同じなので信用できません(竹中先生や八代先生)。また、かの論者たちの言は、小難しくて素人の私には理解できず、結局、煙に巻かれる感じです。こういう場合には、「騙そうとしているな!」と警戒感が先にたちます(法律論の場合には、この感想は当たることが多いです。)。

結局、経済がうまく回らない限り、労働法がどうなろうと雇用の安定も労働条件の改善も実現できないことは事実です。本来なら、失業と貧困を少なくするために、現時点でどのような経済政策をとるべきかという問題を、もっと素人にもわかりやすく論じてもらいたいものです。

もっとも、数学が分からない私立文系の法律家には、結局、判断がつかないのでしょうが。
労働運動側に、この経済政策を立論する力量が決定的に不足していますね。

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2012年1月 5日 (木)

遅ればせの【2011年の三大出来事】 と2012年政局の今後

1位:東日本大震災・津波の自然災害 2位:福島第1原発事故 3位:橋下氏「大阪の維新の会」の勝利

■1番目の大震災は言うまでもありません。
ただ、そのインパクトは東北だけではありません。
近い将来、東京直下型地震、東海地震などが差し迫っていることを改めて思い起こさせます。東北の復興だけでなく、その備えを行うことが緊急課題です。この震災対策に公共投資をすることは誰も反対しないはずです(財務省以外は!)。

■2番目の原発事故については既に記述したとおりです。

第3の敗戦

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2011/08/post-3c5b.html

原発対応の経過を見れば、中央官僚とエリート科学者(東大原発研究者)が、いかに愚かなのかをつぶさに証明してくれました。そして、これを徹底的に批判しきれない日本人の優しさというか、愚かさというか、曖昧さを全世界に知らしめました。

(今時の若い弁護士との会話)
私の法律事務所の若手弁護士が「原発は安全だと思っていた。教科書にもそう書いてあった。」というのです。私が、「教科書に書いてあったら余計に疑うもんだ。俺たちはスリーマイル島事故後、チェルノブイリ事故前に大学生だった世代だけど、原発が安全だなんて言う奴はいなかった。」と答えたところ、若者曰く「じゃあ先生たちは、原発を止めるために何をしたのですか。日本人みんなに責任があるのじゃないのですか。」と反論されました。…原発の電気を使っておいて、東電や政府の責任を言う資格が東京都民にあるのか、とかいう、この手の「感情論」というか、「誠実さ」、「心情論」に、弱いのが日本人の特徴なんでしょうね。

思わず、「そういう『一億総懺悔』こそ、本当の責任者を免責する論理なの。もっと戦後史を勉強しろ(一億層懺悔って知っている?)。原発政策を決定して実行した者にこそ責任があるのであって、俺たち庶民が責任を感じる必要はない。堂々と自信をもって責任者を追及したほうが良い」と説教したのですが、相手は他の人と話していて聞いていなかった・・・!しかし、このような若手が、私のような事務所に「就職」する時代なのですよねえ。

■3番目。橋下氏の勝利は今後の5年の日本の政治を決定づけたように思える

まあ、橋下氏が勝利すると思っていました。東京からあれだけ批判、非難されたら、絶対、大阪人は橋下を応援するのです(京都生まれの私にはよく判る!)。 ということを承知の上での週刊新潮が誹謗中傷したのでしょう。

■実は公務員数が欧米諸国に比較しても最少国家の日本

橋下氏の公務員バッシングですが、まったく根拠がない。日本の公務員数はヨーロッパ諸国だけでなく、アメリカと比較しても圧倒的に少ないのです。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5190.html

国家財政の下での人件費率から見ても欧米諸国と比較しても低い。ただ、一人当たりにすれば欧米から比べれば人件費は高いかもしれない。

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2011/seifuan23/yosan005.pdf

本来、日本はもっと国民への福祉や医療、教育のサービスのための公務員、また災害対策の公務員を増やしたって何ら問題はない。

■次は民間労働者の番なんだけど。さらなるリストラへ

日本の民間労働者の人件費が他国に比べて高すぎ、しかも解雇しにくいと経営者側がつとに訴えているところです。公務員を批判している労働者たちは、次は自分たちの番なのだということを認識しているのでしょうか。中高年が簡単に解雇され、若手労働者は仕事にありつけても不安定で低賃金の非正規職場。そして労働者相互が足を引っ張りあう社会になるというのが今の日本の現実でしょうに。

■民衆「政治意識」「社会心理」の波をつかまえる政治家が勝つ

データに基づく反論は庶民の意識、社会心理に何ら影響を与えません。こんな意見は古典的なインテリ意識の上から目線であって顧みられないのが現実でしょう。

橋下氏のように、民衆の心理をつかみ、スケープゴートを仕立て上げ、虐めても誰も文句は言わない公務員を果敢に責め立てるヒーローになることが政治闘争と権力闘争を勝ち残るもっとも有効な手段。この「民衆心理」の方向に鼻がきくのが、橋下氏なんでしょう。その民衆の心理とは、ニーチェの言うところの「ルサンチマン」です。世論の波にのっかる天才・政治的サーファーなのです(小泉元首相も)。彼が、2012年以降の政治を大きく動かすのだと思います。

今年2012年4月までに予算が成立すれば、政治は一挙に総選挙の様相です。

総選挙になれば、そのときの台風の目になるのは、「みんなの党」、そして橋下氏の「維新の会」です。どう贔屓目に見ても、総選挙では民主党は敗北するでしょう(個人的には、「より悪くない」選択肢として民主党しかないと思っていますが…)。自民、公明、みんなの党、橋下グループの政権が成立する可能性が極めて高い。

自民、公明、みんなの党の政権ができれば、派遣法改正そのものがなくなるし、有期労働契約やパート法の規制強化策は実現しないでしょう。という情勢の下で、労働立法にどう対応すべきかを検討しなければなりません。この間の派遣法改正のような迷走の繰り返しは避けたいものです。

大阪での橋下氏の勝利は、今年の政治情勢を予測させる出来事であり、2012年から5年くらいの政治を決定づけた重大な現象だと思われます。

■今年こそ?

彼らに対抗できる「情理を兼ね備えた」言説を駆使できるパーソナリティをもったリーダーの出現が求められます。…なんと、私も「強いリーダー待望論」 (^-^;

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2012年1月 1日 (日)

有期労働契約の在り方について-上限規制の副作用を抑制する方策は?

迎春

今年の通常国会(1月20日頃開会予定)は、予算をあげたら重要な労働関係法の改正が目白押しです。派遣法は、みんなの党の横やりで、抜本改正どころか、政府案の成立さえ見通しがついてません。そして、有期労働契約の労働契約法改正問題が具体化します。

12月26日、労政審労働条件分科会が「有期労働契約の在り方について(報告)」を取りまとめて発表し、同日、労政審本会が、この報告どおりの建議を行いました。これはメガトン級の立法です。適用対象が広く、かつ、副作用の懸念があるからです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z0zl.html

■入り口規制は放棄
合理的な理由がない場合には有期労働契約を締結できないとする規制を「入り口規制」と言います。労働契約は無期契約が原則で安定した雇用を打ち立てようとする規制です。しかし、建議は、「雇用機会の減少の懸念がある」等として「入り口規制」をとらないとしました。これは「解雇規制があると雇用機会が減少する」という理屈と同じです。
ただ、雇用が減少するかどうかは法的規制の強弱や有無によりも、その時の経済情勢、為替レート、生産組織の在り方等々の多様な要素で決定されるはずです。有期労働契約の規制で雇用機会が減少するというのは短絡的でしょう。

■上限規制が5年
有期労働契約を利用する最長期間を規制する「上限規制」5年を提言しました。つまり、有期労働契約を利用するには、5年を超えてはならないという規制です。この5年を超えて利用する場合には無期労働契約でなければならないということです。例えば、1年契約であれば、5回更新すれば5年になり、5年を超えたら、労働者の申し出により無期労働契約に転換するという仕組みをです。

■「副作用」の懸念
この上限5年を超えて無期労働契約を締結するのを嫌う使用者は、例えば、1年契約の場合では最後の有期契約を11ヶ月として、都合4年11ヶ月目で契約期間終了で契約を打ち切るようにするでしょう。これでは、今までなら、5年を超えて有期労働契約を更新して働いてきた労働者が契約を切り捨てられる恐れがあります。これが、いわゆる「副作用」問題です。厚労省の実態調査でも5年を超えて働く有期契約労働者は29.5%です。この人たち、かなりの数が打ち切られる危険性があります。

この点について、建議(報告)は「制度の運用にあたり、利用可能期間到達前の雇止め抑制策の在り方について労使を含め十分に検討することが望まれる」と記載しています。この「運用に当たり、… 労使を含め十分に検討することが望まれる」というフレーズは、労使の自主的努力に委ねるだけで、法的な抑制策をもうけない趣旨にも読めます。

しかし、この利用可能期間到達前の雇止め抑制策を、法律上の工夫をしなければ、この「副作用」が致命的になりかねません。

上限規制は、有期労働契約を無期契約に転換する「薬効」は確かにあるでしょう。しかし、副作用が重大ならば、薬としては致命的な薬害になりかねません。抗がん剤のイレッサみたいなものです。副作用を軽視した使い方をすれば薬害です。

■「副作用」抑制策が必要不可欠
 そこで、上限間際に、有期労働契約を雇止めをした使用者は、その当該同一職場・同一業務について、新たに有期契約労働者を雇い入れることを禁止すべきです。

そして、これに違反した場合には、雇止めされた有期契約労働者は、当該使用者に雇用の継続と無期労働契約を求めることができるという法的措置をとるべきです。

■労働者が有期か無期か選択する
次に、報告の上限規制の特徴は、無期にするか有期にするかを、労働者の申出に委ねていることです。つまり、労働者が無期契約か、有期契約かの選択権を持っており、有期を選択した場合には、有期で良いことになります。

■第二の懸念「労働者の『選択の自由』が保障されるか」
建議(報告)の規制では、労働者が選択をすれば5年を超えても有期契約で良いことになります。となると、使用者は、事前に「あなたが有期を選択すれば、5年を超えても有期契約を更新してあげます。でも、無期契約になりたいと言うのであれば、4年11ヶ月で契約を打ち切ります」と言って、労働者の選択を抑圧する危険があります。

■「自由意思の尊重」策
このような自由意思を抑圧するような行為を禁止する必要があります。民法からいうと、上記の強迫とは言えず、労働者が有期を選択してしまっても有効となります。しかし、このような自由意思を抑圧する発言を行った場合には、有期でなく、無期を選択しなおせるような脱法行為禁止の立法措置が必要だと思います。具体的には上記のような抑圧を行った使用者に対しては、労働者は、有期を選択した後も、無期契約の雇用継続を求める権利を保障すべきです。

■雇止め法理の制定
判例の雇止め法理を制定法するとしています。この点は異論のないところでしょう。

■第三の懸念
とはいえ、上限5年を導入した場合、2年や3年目で雇止めされた場合に、雇止め法理の適用があるか。利用可能期間前であるから雇止めは自由だと理解する論者もいます。しかし、これは適用あることを明確にすべきです。少なくとも上限5年前までは継続雇用の期待があるのですから。

他方、上限を超えて自らの意思で有期を選択した労働者についても、その後も雇止め法理が適用あるというべきです。

■クーリング期間
6ヶ月のクーリング期間をおけば、同一の労働者を雇い入れることができるとします。しかし、このようなクーリング期間は必要ないでしょう。またクーリング期間を入れるとしても、その間は、別の有期契約労働者を同一業務には雇用することはできないという措置をセットにするべきです。

頭の整理に、これらの関係を図解したものを作ってみました。これから議論すべき論点は多数あります。

「yuukiroudoukeiyaku5y.pdf」をダウンロード

■労働弁護団1月26日集会開催
本年1月26日午後6時から労働弁護団がシンポジウムを行います。労政審の労働者側の委員にも出席いただき報告してもらいます。また、昨年夏に韓国調査をした小林譲二弁護士にも韓国の報告をしてもらいます。
是非、多くの方、ご参加くださるよう呼びかけます。

http://roudou-bengodan.org/topics/detail/20111220_post-40.php

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2011年11月 8日 (火)

日弁連 有期労働契約法制シンポジウム

2011年11月1日に日弁連労働法制委員会主催で、有期労働契約法制シンポジウムを開催されました。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/event/data/111101.pdf

■韓国の非正規労働者保護法の調査結果報告

第1部で、第一東京弁護士会が今年9月に実施をした韓国調査(韓国の非正規労働者保護法の状況)に基づいて、小林譲二弁護士が韓国の実態を報告されました。
詳細は一弁が近々報告書を発表する予定です。

韓国では、2006年に非正規労働者保護関連法制が制定され、2007年7月1日から施行されています。主な内容は、
①「2年を超えて有期雇用労働者及びパート労働者を雇用する場合には、期間の定めのない労働契約を締結したものとみなす」という【上限規制】
②「非正規労働者であることを理由とする差別的処遇の禁止と非正規労働者が差別是正を労働委員会に申し立てることができる」【差別是正措置】
③「派遣先が派遣労働者を、2年を超えて使用する場合の直接雇用義務」【派遣労働者の直接雇用義務】です。

ここでは①の上限規制についてだけ、小林弁護士の報告のポイントをご紹介します。これは最新の統計に基づくものです。

2007年7月以降、2011年7月までの期間で契約期間満了者12万人のうち契約終了、正規職への転換、継続雇用の比率は次のとおりです。

契約終了    46.15%

正規職への転換 22.33%

継続雇用    31.5%(無期契約みなし)

労働委員会への非正規労働者の2007年7月から2011年8月まで差別是正措置の申立について、韓国中労委の調査によると次のとおりです。

申立件数 2413件(100%)

是正命令  956件(是正率18.5%)

取り下げ  931件(取下率38.5%)

■労使の弁護士の討論

全国ユニオンの鴨桃代さんから日本の有期労働契約者の現状と問題点が報告され、その後、労働側弁護士の宮里邦雄(労働弁護団会長・東京弁護士会)、経営側弁護士の石嵜信憲(経営法曹会議幹事・第一東京弁護士会)、コーディネーターは、東京大学大学院法学政治学研究科教授の荒木尚志先生です。

■入口規制は平行線

【入口規制】(有期労働契約を締結するには合理的理由が必要)については、労使の主張は最後まで平行線です。経営側は国際競争力にさらされており、規制強化は産業の空洞化を招くという点を強調をしています。

ただし、労使とも一致する点がありました。それは、若年労働者が不安定な有期雇用でしか働けなくなったら日本社会が危機に瀕します。これを回避する方策が必要という点です。

経営側からは、若い労働者を正規職員として雇用した場合には政府が補助金を出すという方策も考えるべきだという意見が述べられました。ただし、入り口規制については消極的です。石嵜弁護士は、個人的意見としては、若手労働者については無期契約とするような方策がないものか述べられていました。

■【出口・上限規制】をめぐって

これに対して、有期労働契約利用の最長期間の制限【出口規制・上限規制】についても、労使の主張は対立したままです。

労働側としては「入口規制なき、出口規制には反対」です。上限・出口規制だけを導入すると、上限の直前に一斉に雇い止めされるおそれがあります。いわゆる【副作用】問題です。

■【副作用】問題

この【副作用】が重大であれば、この上限規制は入れるべきではないでしょう。その副作用の評価が難しいです。この点、韓国の調査結果は妙ですね。46%の雇い止めをどう評価するのか。もし上限規制がなければ、雇用が継続していたとも思えます。他方で、正規職員22%、無期化が31%で、あわせて53%が無期労働契約になったことをどう評価するのか。

コップに水が半分残っているのを見て、まだ半分あると見るべきか、もう半分しかないと見るべきか。悩ましいですね。入口規制なき、出口・上限規制の評価については難しい問題です。

従来のままであれば、雇い止めを争うことができたが、これが出口・上限規制では、争えない。でも雇い止めを争うことができる人は極めて少数。そうであれば、法律で規制して、無期化する人が増えればそのほうが良いという人もいるでしょう。

やはり、入口規制が必要不可欠なはずです。

なお、シンポジウムでは、この上限規制を入れる場合には何年とすべきかも意見交換がありました。宮里弁護士は3年という案を提案されていました。これに対して、石嵜弁護士は「経営側には、仮に入れるとしたら2年、3年を短すぎる。5年、10年という考え方がある」と紹介されていました。

■雇い止め法理の実定法化

【出口規制】として【雇い止め法理】(雇い止めに一定の場合には解雇権濫用法理を類推適用する)については、労使とも一致して、法律に明確なルールにすることは異論がありません。ただし、どのような法文にするかという、具体論となるといろいろ問題が生じるでしょう。特に、どのような場合に解雇権濫用法理を適用するかという点をどう法文として表現するのかは難しいところでしょう。

■均等待遇

最後に、均等待遇の原則については、労使とも平行線のままでした。

宮里弁護士は、「雇用形態の違いを理由にする不合理な差別は禁止するという原則をたてるべきではないか。合理的な理由があれば労働条件の違いが許容されるのであるから、経営側も支障がないはずだ。これがだめなら経営側は不合理な差別をしても良いということを言っていることになる。」と主張されました。

石嵜弁護士は、「合理性が何かが問題になる。また、契約をすればそれが尊重されるというのが法律の原則である」と反論をされていました。

■労働政策審議会部会での建議
今年12月には、労働政策審議会の建議が予定されています。

格差社会を是正して、若者が安定した雇用で暮らして、結婚し、子供を育てていくには、有期労働契約を規制する法律が必要不可欠です。正規・非正規、老若男女を問わず、日本社会の未来をまもるために、本気で取り組まなければならない課題だと思います。

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2011年10月16日 (日)

読書日記「内部被曝の真実」児玉龍彦著 幻冬舎新書

2011年9月10日第一刷発行
2011年9月24日読了

■東大の原子力研究者は信用しないけど、例外の研究者もいました

衆議院の国会厚生労働委員会での熱弁が評判になった東大先端科学技術研究センター教授(システム生物医学)です。

■ヨウ素131と甲状腺がんの20年後の疫学的証明

放射線被曝と健康被害の疫学的証明をまっていては遅すぎると、チェルノブイリの例をあげて指摘されており、説得力があります。

1991年、ウクライナの学者がチェルノブイリの子どもに甲状腺がんが多発していることを最初に発表した。このときは、日本や米国の研究者は、因果関係があるかは不明であると主張していた。理由は1986年以前のデータがない以上、統計的に有意であることの証明ができないから。

20年経ったあとにウイーンとミンスク、キエフで国際会議が行われた。国際フォーラムで4000名の甲状腺がんの発症がコンセンサスとされた


日本の福島原発の場合も、「直ちに健康に影響を及ぼさな」いことは間違いないのでしょう。しかし、15年、20年後に、多くの健康被害が生じてから、疫学的に健康に危害を及ぼすことが証明されることでしょう。これは想定内のことです。

■セシウム137の危険性

チェルノブイリでは日本の福島昭治博士が、セシウム汚染地域では膀胱炎が見られ、2009年に膀胱がん発症が増加してることを報告しているそうです。

福島の女性の母乳から検出されたセシウム137は、このチェルノブイリ137の汚染度に匹敵するという。

今から20年後に、福島原発事故の症例として、セシウム137の膀胱がんが疫学的に証明されることになるのだろう。

■児玉教授の提言

科学的証明、疫学的証明の議論は後回しにして、直ちに徹底的な放射線の調査を行うこと、除染作業を国家プロジェクトとして全力をあげること。日本には、その技術的基盤は十分にあると言います。

子どもたちの健康と命をまもることを優先すべきとしています。

■専門家としての責任

児玉教授は、津波の想定について次のとおり原子力学会を批判しています。

原子力学会では、「何メートルくらいの津波を想定したらいいか」という津波の評価を行った際に、「津波の本質論ではこうなる」という議論をするのではなく、「現実的に考えて、だいたいこれくいの波に対応しておけばいいでしょう」ということをやっていまった。 … 私たち専門家が言わなくてはならないのは、現実はこうだと考えて結果に手心を加えるということではありません。」 「だから、健康被害の問題について、こういう可能性があるということをまずきちんと言うのが、われわれ医学の専門家の責任です。「最初からこれを言ったらこっちがダメだろうから」と折り合いをつけてしまったら、専門家ではなく政治家です。

■東大の原子力研究者とテレビ

3月12日以降、メルトダウンを起こしていない、科学的には確認できていないと何度も繰り返した、東大の原子力専門家、そしてテレビ報道関係者(新聞も同様だが、新聞はメルトダウンが起きていると指摘する学者のコメントも掲載していたのでテレビと同じではない)が多かった。

彼らは、不確かな情報で断定するべきでないし、住民がパニックを起こすほうが怖いと考えたと正当化するのでしょう。しかし、その結果、不要な被爆をした多くの住民がいることも間違いない事実です。

そして、おまえたちの言説は、経産省と同様に、二度と信用しません。

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2011年10月10日 (月)

読書日記「日本の雇用と労働法」濱口桂一郎著 日経文庫

読書日記「日本の雇用と労働法」濱口桂一郎著 日経文庫

2011年9月15日発行
2011年10月9日読了

濱口桂一郎先生から、「日本の雇用と労働法」を送ってもらいました。ありがとうございました。

■労働法と雇用システム論との交錯

 実態である「日本の雇用システム」と、法規範である「日本の労働法」の乖離と交錯を真正面から取り上げた意欲的な書物です。読んでいてワクワク観がありました。

 著書によれば、日本型雇用システムは「職務の定めのない雇用契約」を特徴としており、欧米社会のジョブ型雇用契約(ジョブ・職務を特定する雇用契約)と大きく異なると言います。この点は、岩波新書の「新しい労働社会」でも鮮やかに整理されたとおりです。

 私たち労働弁護士は、労働法の教科書や論文から仕入れた契約論や法律解釈を踏まえて、事件処理を行います。ところが事件を通じて実際の企業の労務管理や運用の実態に触れると、確かに「?」と感じることがよくありました。…就業規則法制然り、職務職能賃金制度の人事考課然り、配転命令権然り、残業命令然り。

 この日本の雇用システムの実態について、ふた昔前なら「日本的後進性」とか、「封建主義的労務管理」などと批判していたものです。一昔前に「日本型企業社会」論の登場後、「ハイブリッド」な「現代的な日本型雇用システム」というようなとらえ方が主流になりました。

 濱口氏は、日本型雇用システムの実態をメンバーシップ型雇用契約を本質として、その形成プロセスについても、イデオロギッシュな色分けをせずに、戦前から戦後までの歴史的現実を踏まえて手際よく整理されます。

■メンバーシップ型への雇用システムの変容とその問題点

 本書は、岩波本から一歩進めて、日本の労働法がジョブ型契約を前提としていながら、実際の上の解釈では、メンバーシップ型雇用契約という実態に応じて修正されているという視点で労働法全体が描かれています。

 ジョブ型雇用契約を前提とした労働法が、メンバーシップ型雇用実態に応じて修正されたものであるという視点と解釈論は、なるほどと思いました。他方、このメンバーシップ型契約から除外された女性労働者、非正規労働者を「陰画」として描写されてます。

 著者の濱口氏は、日本の雇用システムの現実に根ざしたメンバーシップ型雇用システムが形成されてきた歴史の重みを重視します。しかし、今の社会状況の変化によって、もはや旧来のメンバーシップ型雇用は維持できないと考えられているようです。
 著者は、日本型雇用システムの今後の動向については断定されず、慎重に見極めるというスタンスです。ただし、見通しとしては、メンバーシップ型雇用契約を前提として、それが徐々にジョブ型の方向(同一価値同一労働や解雇の金銭解決制度など)に変容していくと予想されているのでしょう(そして、その方向に徐々に修正していくべきという労働法政策を含意している)。

 メンバーシップ型雇用契約の特質によって、労働者が企業に過度に包摂されることになり、個人としての自立が阻害され、中には過労死に至るような非人間的な働き方に繋がるものです。このメンバーシップ型契約の欠陥を乗り超えることは、今でも課題となっていると思います。

■職務の特定と雇用契約(労働契約)

 ところで、ジョブ型雇用契約が欧米では一般的でも、「職務を特定しない雇用契約」という類型は一つの雇用契約(労働契約)としてあり得るのではないでしょうか。なぜなら、雇用契約(労働契約)の特徴は、労働者が労務(労働力)を使用者に提供し、使用者が「労務指揮権」を有して一方的に労働者を指揮命令できるという点ですから。日本の民法の雇用契約も労働契約法の労働契約も、ジョブ型も、メンバーシップ型もカバーする法規範のように思えます。

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2011年9月24日 (土)

読書日記 「労働法入門」 水町勇一郎著 岩波新書

岩波新書
2011年9月21日発行
2011年9月24日読了

■水町先生 ありがとうございます。

水町先生から、「労働法入門」をご送付いただきました。社会人のための「労働法入門」です。なかなか随所に工夫があり、おもしろく読ませてもらいました。

■「アダムとイブ-『罰』として課された労働」と「ルター-『天賦』としての労働」という対比

前者は、フランスのバカンスの権利につながり、後者はドイツの就労請求権につながるという説明は「なるほど」と思いました。

■日本の労働観は「家業」としての労働

これに対して、日本は、イエという共同体に結びつき、家族のための「生業」と、自分の分を果たすという「職分」の二面が合体したものと言います。なるほどね。

柳田國男によると、江戸時代の漁村や農村では、繁忙期には家族に養子をたくさん抱え込んで働かせて、繁忙期がすぎると養子を解消するという例があるそうです。近代以前は、日本では、家族が労働組織で、近代化した後、産業組織が家族的な共同体と観念されたということにつながるのでしょうか。

■集団の役割

「集団としての労働者」から「個々人としての労働者」に転換し、「労働法を労働市場での労働者をサポートする市場経済のサブシステム」と把握する菅野和夫・諏訪邦夫教授路線と、「労働者の自己決定を保障するには国家法(労働法)は重要な役割を果たすべき」とする西谷敏教授路線を紹介した上で、

水町先生は、「国家」と「個人」の間に位置する「集団」の役割を強調されます。ただ、集団は、労働組合よりも、労働組合を透明化し、開放化する法制度が必要であると指摘されます。

労働組合が、正社員を中心とした内向きの性格を持っているとすれば、そこに外からの風を入れ、外にも目を向けて話し合いができる組織に変えていく必要がある。

従来の集団的な労使関係に場合によっては透明性と開放性という新しい風を入れその息を吹き返させ、また、法律によって新たな集団的制度を作り出していくことによって、国家と個人との間に立ち、両者の能力を補う集団的基盤を作り上げていくことが、これからの日本の労働法の重要な課題となる。

労働者代表制度は是非、必要でしょうね。ただし、形をつくるだけでなく、「心」が入るかが大きな課題なんでしょうね。

■感想

労働法の歴史の中で、産業革命や19世紀の歴史の中で、エンゲルスの「イギリスの労働者階級の状態」や英国の「チャーティスト運動」が触れられないのは、やはり時代が変わったのだなあ、と感じました。

ロースクールに進学した娘に読ませてみようと思います。

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2011年9月19日 (月)

原発労働ホットライン

■労働弁護団の原発労働ホットラインの結果

午前11:00~午後3時まで弁護士がのべ8名くらい待機しましたが、原発関連の相談は2件しかありません。1件は原発に働きに出ている家族からの相談。もう1件は福島原発で取材をしているジャーナリストからの、法律問題についての相談でした。他は、一般の労働相談です。

朝から、テレビ局5社がカメラをもって取材に来てくれたのですが。。。

NHKがインターネットで報道してくれています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110919/k10015692701000.html

原発で働く人の電話相談 9月19日 13時40分 東京電力福島第一原子力発電所をはじめ全国の原発で働く人の賃金や健康問題などについての電話相談会が行われ、「会社から雇用期間や賃金について教えてもらえず困っている」など相談が寄せられました。この電話相談は、19日は午後3時まで開かれているほか、毎週の月曜日、火曜日、木曜日の午後3時から午後6時の間も受け付けています。電話番号はいずれも03-3251-5363です。 「原発労働者の命を守るホットライン」は、日本労働弁護団が全国各地の原発で働く人の賃金や労災、健康などの問題に応じようと開いたもので、東京・千代田区の事務所では労働問題に詳しい弁護士が無料で相談に応じていました。この中で、原発で働く20代の息子の父親からは「各地の原発を転々としながら働いているが、会社から雇用期間や賃金について一切、教えてもらえず困っている」という相談が寄せられました。これに対し弁護士は「会社は労働契約を結んだ際、賃金や勤務地などを明らかにする必要があるので、すぐに各都道府県の労働局に相談してほしい」とアドバイスしていました。日本労働弁護団の事務局長の佐久間大輔弁護士は「原発の職場は閉鎖的なところがあるが、おかしいことがあったら勇気を出して相談してほしい」と話しています。


■最初の一歩

労働組合の方や取材をしている記者の方からは、東電や下請会社は、労働者に箝口令をひいているそうです。マスコミには話さないという念書を書かせている業者もいるそうです。

いわきの知り合いの弁護士にチラシを送ったところ、「そう簡単に原発労働者に接触できるなんて、甘い」と言われましたが、そのとおりでしたね。

しかし、一部の新聞に相談を掲載されただけで、とにもかくにも2件の相談があったことは最初の一歩と言えます。相談は労働弁護団本部のホットラインで引き続いて受けつけます。

9月21日には労働弁護団でシンポを開催します。

原発労働は5年、10年、いやもっと続きます。Q&Aも作るように準備しています。
長い課題として継続していきます。

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2011年9月10日 (土)

原発労働ホットライン&シンポジウムのお知らせ

■原発労働ホットライン

日本労働弁護団は、下記のとおり、原発関連労働からの相談を受けつけるホットラインを実施します。相談担当者は労働専門分野の弁護士です。相談者の秘密は絶対に守ります。


 福島原子力発電所だけでなく、全国の原発で働く労働者のみなさんの相談を受けつけます。また、原発労働者でなくとも、原発事故が原因での解雇、賃金未払い、労災保険などの労働問題も相談を受けます。

※ホットライン開設日時

  2011年9月19日(月)
   午前11時~午後3時

※ホットライン電話番号

 03-3251-5363

次のような相談を労働弁護士が受けてアドバイスをします。

○ 雇用保険や健康保険の社会保険に加入できていますか?
○ 当初の雇い入れ時の説明と違った賃金や労働条件で困っていませんか?
○ 危険手当や賃金がピンハネされていませんか?
○ 放射線の防護措置はきちんとなされていますか?
○ 放射線量はきちんと記録されていますか?
○ 労災のケガは補償されていますか?労災隠しはありませんか?
○ 原発事故の非難地域に入って企業が倒産した。雇用保険が切れるがどうしたら良いか?

http://roudou-bengodan.org/topics/detail/20110910_post-32.php

 
■原発労働シンポジウム
-原発労働者の命を守る-

2011年3月11日に発生した東日本大震災により、福島第一原発の原子炉が炉心溶融を起こすなどして、大量の放射性物質が漏れ出すという未曾有の原発事故が発生しました。震災直後から、事態の収束を図るために、大量の人員が、東電により福島第一原発に送り込まれており、被曝のもたらす様々な健康被害の危険に日々晒されています。
事故を受けて、従来電離放射線障害防止規則により、5年間で100msvに制限されていた放射線業務従事者の受ける実効線量は、いとも簡単に250msvに引き上げられました。また、福島第一原発内及びその周辺で活動する原発労働者の労働の実態や、被曝線量管理等の健康管理のあり方は、今なお不透明な状況です。今後、原発での労働により、彼らに短期的のみならず、中長期的な健康被害が発生することが、強く懸念されます。
さらに、原発労働は重層的な下請構造となっており、原発労働者の多くは、東電の下請、下請の下請、そのさらに下請などとして働かされています。これにより、健康管理が徹底されないおそれが一層強まるばかりでなく、彼らの多くは、幾重にも中間搾取を受けることで、極めて危険な労働に従事していながら、日給数千円程度の賃金しか受けられず、就労環境・賃金等で、劣悪な労働条件を強いられています。
このような原発労働者の被曝線量管理等の健康管理のあり方、健康被害が発生した場合の補償、そして、賃金面での劣悪な待遇につき考え、今後これらの問題に取り組んでいく第一歩として、このたび下記シンポジウムを企画しました。各界各層からの多数の御参加を得たく、御案内申し上げます。

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日 時  2011年9月21日(水)
18時30分~20時30分(18時15分開場)
場 所  総評会館4階402号室(裏面地図参照)
参加費  無 料(事前申込要・先着順)
内 容 
1 原発労働者の安全確保  西野方庸氏(関西労働者安全センター事務局長)
2 原発労働者の実態    小川英郎氏(日本労働弁護団常任幹事)
3 原発労働者の訴え    予定
3 討議と会場発言

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2011年8月 7日 (日)

「第三の敗戦」 フクシマ原発事故と日本人のエートス

■こりゃ駄目だ

東北大震災による3月11日からの福島原発事故後、日本のテクノクラート(科学者、中央官僚たち)の対応を見てきて、『ホント、こりゃ駄目だ』と気分が滅入っています。

原発事故が起こったこと自体よりも、その後の科学者や中央官僚の右往左往ぶりにです。政治家の迷走は想定内ですから、今更、驚きません。

■原子力専門家の無責任と官僚の無策

科学者、官僚たちの無責任さと無能ぶりには愕然とします。原子炉の冷温停止さえも目処がたっていません。その後、廃炉(そもそも可能なのか?)や広大な土壌の汚染除去を考えると20~30年がかかるでしょう。本当に深刻な事故が起こることを想定していなかったのですね。いざとなれば、経産省あたりが秘密で対策を用意しており、少しは何とかすると思っていたのに・・・。観測ロボットさえないんだから(悲しい!)

■自分で作った「安全神話」を自ら信ずる愚かさ

住民をだまくらかすために編み出した「原発安全神話」を、官僚も科学者も、本当に自分で信じてしまったのだ?何という愚かさよ!

しかし、一番気が滅入ることは、原発事故の復旧に目処が立たないということでも、ありません。

■メルトダウンを否定した東大原子力専門家教授連中は何だったんだ

原発全冷却機能喪失直後、3月12日にメルトダウンが指摘されたときに、東大の原子力専門家の教授や准教授たちが入れ替わり立ち替わりにテレビに出演して、「燃料棒は損傷しているだけだ」と述べていました。ところが、5月初めに原子力・保安院が「3月12日いは原子炉の燃料棒はメルトダウンしていた」と発表しました。新聞ではわりと小さい記事でしたが。

あの「メルトダウンしたとは言えない」と大合唱した東大の原子力専門家とは、いったい何んだったのでしょう。

しかも、そのことについて反省や弁明さえない。「でたらめ」じゃなかった、「まだらめ」とかいう原子力安全委員会委員長並みの無責任さです。おまえらの言うことは、今後は絶対信用しないからね。

彼らも専門家だから、メルトダウンしている可能性が高いことを認識していたはずです。住民のパニックを恐れて口をつぐんだのでしょう。しかし、原子炉がメルトダウンを起こしたのであれば、水素爆発や水蒸気爆発が発生して、より深刻な事態(放射性物質の大量放出・広域汚染)が予測されたはずです。より広範囲な避難が必要となります。また、現に3月13日から14日には首都圏まで放射性物質を含んだ雲(プルーム)流れてきていた。その危険性への指摘も行うべきだったのでしょう。それを怠った。紙一重で水蒸気爆発を免れた(危機一髪)というのが真相だったのでしょう。不幸中の幸いでした。

■意図的な隠蔽でなく、無為無策の結果?

当初は、私は、その危険性が十分あることを念頭におきながら政府や経産省は、国民のパニックを回避するために、あえて秘匿していたのだと思っていたのです。ところが、実際には科学者も官僚も、そこまで検討しなかったのが真相ではないかと思うようになりました。

おそらく経産省や政府部内でも、最悪の事態について議論さえされずにタブーになった。「それを言っちゃおしまい」という感覚が蔓延していた。実際には、実務担当の専門家は事態が深刻さを深めていくのを見ながら、茫然自失していたのではないか。個々人では最悪の事態に発展する危険を感じながら、それを指摘して対策を検討し提言することもできず、周りに合わせて、楽観的なことを述べていたのだと思うのです。

これが私の気分を絶望的にさせるのです。

■空気に抗せない 組織人・日本人

ちょうど、第二次世界大戦、多くの日本人が『空気』に支配され、軍人でさえ「空気」には抗えなかったのと同じと感じます。山本七平は、「空気の研究」で戦艦大和を沖縄戦に出撃させる特攻作戦に対して大和の艦長らが、その軍事的愚かな作戦に反対したが、参謀本部が「申し訳ないが、もはや作戦の軍事的な成功不成功は問題ではない。それが皆の意見だと」と言われて、大和艦長以下、男らしく受け入れたと書いてありました。「空気」には抵抗できない、「水をさす」ようなことを言うのを躊躇する。そうして戦争に突入し、とうとう自分で泥沼から抜け出せなかった日本人。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/09/post_6ffb.html

これと同じことが、フクシマ原発事故に際して発生したように思います。これは、政権党が民主党であろうと、自民党であろうと同じだったでしょう。まさに三度目の「敗戦」です。

■日本人のエートスとは

このような行動パターンは日本人の「エートス」、日本人の「原型」なのでしょう。

丸山真男が、例の「日本の思想」で、<個人としての信念や良心を持ち、主体的に判断して行動できる近代的市民のエートスは日本では生まれていない>と論じました。残念ながら21世紀になっても当たっているようです。

日本の民衆は震災や原発事故への対応が冷静で落ち着いていると言われています。しかし、見方を変えれば「お上」に単に「恭順」なお人好しでしかないとも思えます。(だから、脱原発の動きも燃え上がらないし、被災者の損害賠償も適当なところでごまかされる)。

チェルノブイリ事故が起こった後、数年してソヴィエト帝国が崩壊した。日本も、そうなるのではないかと暗い気持ちです。

日本に希望があるとすれば、原発事故を克服し、段階的な脱原発の道に踏み出し、再生エネルギーの新産業と新社会を創出するという目標をかかげるくらいことでしょう。ところが、退陣表明してしまった菅首相が言うと全く説得力がないのが哀しい。その点、孫正義の主張は凄いと思います。(日経連会長は酷すぎる!)

久しぶりのブログ更新は愚痴になりました。

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2011年7月 2日 (土)

大阪労働者弁護団の集会に参加

■7月2日 大阪労働者弁護団「賛助労組との交流会」に参加

 7月2日、大阪労働者弁護団主催の賛助労働組合との交流集会(大阪弁護士会)に労働弁護団の幹事長として参加してきました。土曜日の午前中にもかかわらず100名程度の労組員や弁護士の方々が参加されていました。
 そこで、「有期雇用法制の課題と問題点」という演題で1時間、次のような講演をしてきました。労働組合と労働弁護士が個々の事件を超えて、幅広く交流して経験を交流しあうという貴重な集会です。

■労働政策新議会労働条件分科会での審議

 2010年9月に有期労働契約法制研究会が「有期労働契約に法制の在り方」について報告書を発表した後、現在、労働政策審議会労働条件分科会が審議されています。8月までに中間的整理が発表され、秋には最終報告書、まだ流動的ですが、来年通常国会には立法提案もされる予定です。
 議論の視点としては有期労働者は雇用音不安定と低い労働条件という問題を抱え、「有期労働契約の不公正・不適正な濫用を防止する」ことをあげています。各論の論点としては、①有期労働契約締結事由の規制(入り口規制)、②有期労働契約の更新回数・利用可能期間の制限(利用可能年数の上限規制)、③雇い止め判例法理の立法化、④正社員との均等待遇を検討することになっています。
 
 有期労働契約研究会の報告書の内容と労働政策新議会労働条件分科会の審議状況を詳解しました。労働組合としては、「入り口規制」の導入、「均等待遇の実効的措置」の獲得を目指して運動をひろげる必要があると訴えました。

■上限規制だけでは副作用

 労働組合の取り組みが弱いと、2~3年の上限規制だけが導入されて、2~3年を超えて有期で雇用される労働者は、無期とみなされるという内容にとどまる危険性が高い。そうなると、利用期間の上限が来る前に多くの有期労働者が雇い止めされてしまいます。上限規制がなければ、引き続き3年、5年と雇用が継続されていたかもしれない労働者が雇い止めになります。これは上限規制の「副作用」です。そのような労働者は有期契約労働者として、企業を転々としなければならなくなります。このような有期労働者が大量に出れば、その副作用は致死的といえます。

■致死性の副作用

 「薬」にプラスの薬効があっても、マイナスの副作用が致死的でれば、その「薬」は薬害でしかありません。上限規制だけでは、致死的な副作用をもつ法律が作られることになります。労働組合としては、「入り口規制」を「均等待遇の禁止」とその実効的措置を定める法律を要求すべきです。

 

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2011年6月30日 (木)

トンネルじん肺救済法案

■トンネルじん肺救済法案

トンネルじん肺訴訟は、国賠請求事件で東京地裁をはじめ5地裁で勝訴判決を得ました。2007年6月に国との間でトンネルじん肺防止についての合意書を締結し、粉じん許容濃度の見直し、エアラインマスクの検討などの改善を合意して決着しました。

他方、50社を超えるゼネコンとの間では、裁判所の和解ルールを合意して、今年5月27日には、東京地裁にて、ゼネコンは、法的責任を認め、被害者に真摯な謝意を表明して和解をしました。現在、あと260名の原告が全国12地裁で和解手続きをしています。

1997年以降、2200名を超えるトンネルじん肺被害者に対しての和解が成立しています。しかし、和解が成立するまでには、訴訟開始から2年の期間がかかっています。一人ひとりのトンネル建設工事場所、機関を認定して、ゼネコン各社の負担割合を決めているからです。症状に応じて、原告の賠償金額は決まっているので、この作業はもっぱらゼネコン側の負担割合を決めるためです。

この2年の間に亡くなる原告もいます。裁判で職歴の確定するには弁護士が関与しなければなりません。原告は、貴重な時間がなくなり、裁判の負担も大きい。

そこで、トンネルじん肺救済法にて、ゼネコンからお金を拠出させて基金を創設して、簡易迅速に補償を行う。それだけでなく、全国各地のトンネル建設工事を転々とするトンネル建設労働者の就労、職歴、健康、安全衛生教育を、会社の枠を超えて、一元的管理を行って、じん肺を予防するという法律が検討されています。

http://www.myrmt.info/archives/675

トンネルじん肺、救済基金で調整 民自公、法

Date:2011-06-24Author:adminCategory:社会ニュースComment:0

 民主、自民、公明3党は15日、トンネル工事で「じん肺」にかかった労働者らの救済に向け、ゼネコンなど企業の拠出により給付金支給のための基金を創設する方向で調整に入った。今国会中に議員立法を提出し、成立を目指す。ただ、企業側の反発に加え、民主党内にも慎重論があり、調整に時間がかかりそうだ。

この基金には、衆参国会議員580名の賛同署名を得ています。民主党、自民党、公明党、共産党、社民党にも議員連盟や、プロジェクトチームがあり、積極的に賛同してもらっています。ところが、日本建設業連合会が、6月22日反対の決議をあげたのです。

■基金に反対するゼネコン

http://www.decn.co.jp/decn/modules/dailynews/news.php/?storyid=201106230104001

日建連/じん肺基金創設に反対/民主PTが法案要項、工事受注での資金拠出盛る

 日本建設業連合会(日建連)は、民主党の「トンネルじん肺救済法プロジェクトチーム(PT)」が、トンネル工事のじん肺被害者を救済するため新たな基金の創設を盛り込んだ新法の要綱案をまとめたのに対し、反対する方針を表明した。22日の理事会で決定した。
 PTが21日の会合でまとめた「トンネルじん肺救済法案要綱(案)」には、新規の工事受注者が資金を拠出する基金の創設などが盛り込まれている。これに対し日建連は、過去の工事による被害者は、その工事を実施した企業の負担によって救済するべきだと指摘。無関係の企業が基金に拠出することは受け入れ難いと主張している。
 さらに、トンネル工事で建設会社は国のガイドラインなどに沿って適正に粉じん対策を講じており、そうした状況下でじん肺被害者が発生した場合は国が救済を行うべきだとの考えも示した。加えて、被害者の迅速な救済が望ましいものの、就労履歴などが明確でないケースもあり、裁判所による和解スキームが不可欠だとも指摘。信頼性の面からも、裁判所の厳格な判断に沿って和解を進めるべきだとした。日建連は、21日のPTの会合でヒアリングを受けた際にも、基金の創設を受け入れるのは難しいとの意向を表明している。

ゼネコンは今後も裁判で決着するつもりなのでしょうか。でも、基金法案は補償金は訴訟上の和解基準の6割です。これにもろもろの訴訟対応費用を抑制できることを考えれば、基金による会社負担は軽くなるはずです。

他方で、トンネルじん肺の被害者にとっては、補償金は少なくなるが、訴訟をせずに簡易迅速に救済が受けられます。ゼネコンの役員が、この救済法案にあくまで反対すれば、かえって会社に大きな負担をかけることになるのではないでしょうか。

今も苦しむ被害者を早期に救済し、就労や健康管理を一元的に管理する法案を早期に成立させて、じん肺の根絶に踏み切るべきでしょう。

今は第3陣訴訟が全国12地裁で約260名が訴訟をしています。提訴してから3年経過しようとしていますが、まだ18名しか和解解決できていません。この間に亡くなった原告もいます。

また、基金ができなければ、今後も2~3年に一度300名近くの訴訟が延々と続いていくことになります。

国会議員(特に与党民主党議員)には、ゼネコンの不合理な反対を抑えて、救済法案の成立に尽力してもらいたいと思います。

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2011年6月29日 (水)

労働弁護団 北海道ブロック総会

今日は、札幌で労働弁護団北海道ブロック総会に出席しました。
東京の猛暑から逃れて、札幌の爽やかな風が気持ちよかったです。

労働弁護団の地域のブロック総会は、この数年、若手の弁護士が多数参加されており、活発な活動をしています。
今日も、各弁護士の事件報告が興味深かったです。

札幌の労働相談ホットラインから、個別労働紛争だけでなく、集団的労働紛争も相談があり、弁護士が関与しながら成果をあげています。

任期制の大学講師の雇い止め事件、パワハラの労災事件、ホテルの労働組合に対する不当労働行為事件、タクシー労働者の権利擁護活動、水産加工会社の研修生の解雇事件など多数でした。

若手とベテランの弁護士がいっしょになって事件活動をしています。

北海道だけでなく、各地で若手の弁護士が積極的に労働事件に参加しています。一昔前から見ると、大きく変わったと思います。

労働事件は、弁護士の業務拡大の対象として、多くの弁護士が関与しはじめています。「過払いの次は、残業代請求だ」という債務整理系の弁護士の話も聞きます。

労働弁護団の会員は、彼らと違って労働者の権利確立を常に念頭におき、個別労働紛争の「処理」だけに埋没せずに、常に労働者の団結と労働組合への結集、制度改革、立法課題に向けて役立てるという意識をもって、取り組むところが違うと思っています。

必要な場合には使用者と激しく戦い、裁判所との対決も辞さない。そのために、よりいっそうの勉強が必要です。
単なるマニュアル的知識ではなく、労働弁護士としのてスピリットが何かが問われているのでしょう。

そんなことを考えた北海道ブロック総会でした。

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