2010年7月28日 (水)

労働法と債権法改正(9) 使用者の地位の移転

■法務省の検討事項から

債務引き受けと使用者の地位の移転に関して、法制審議会部会にて、検討事項(詳細版)(部会資料9-2.71頁)に次のような考え方が紹介されていました。

「特定の財産の譲渡に伴い移転する場合には、その移転すべき契約は相手方の人的要素でなく、対象財産に着目して締結されたものと考えられ」、「この場合には契約の相手方の承諾が不要である」とし、「賃貸不動産の譲渡に伴う賃貸人たる地位のほか、事業譲渡に伴う労働契約の使用者たる地位の移転」を承諾不要とする

■使用者の地位の移転には労働者の承諾が必要

 使用者の地位の移転については、現行法では、判例・通説ともに労働者の承諾が必要と解釈しています。現行民法625条1項は、「使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。」と定めているからです。これは労働契約の人的な契約関係から見て当然のこととされている。

 基本方針も【3.2.12.03】(労務給付請求権の譲渡性・NBL389頁)で、「①使用者は労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。」としています。

■労働契約承継法

 会社分割(平成12年商法改正、平成17年会社法改正)では、適法な手続きを経れば、労働者の同意を得ることなく承継会社への労働契約の承継が認められています。しかし、この場合でも改正商法附則5条1項にて労働者との個別協議が義務づけられるとともに、労働契約承継法によって、承継事業に主として従事しない労働者(従たる労働者)には承継についての異議申立権が認められています(同法5条)。
 このように会社分割の場合でさえ、従たる労働者に分割先への会社への承継拒否(異議申立権)が付与されていることから見ても、事業譲渡に伴う場合の使用者の契約上の地位に移転につき労働者の承諾が不要とする立法を行うことはバランスを失します。

■あまりに無造作・無頓着

安易に事業譲渡にともなう使用者の地位の移転(労働契約の承継)について、労働者承諾不要とするのは、あまりに無造作というか、無頓着にすぎるのではないでしょうかね。

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2010年7月19日 (月)

労働審判5年目シンポ7月24日(土)

■労働審判5年目シンポジウム

2006(平成18)年4月に労働審判制度が施行されました。年間申立件数は、2009年では3468件に達しました。労働審判制度の成果と実績を踏まえて、今後の課題を議論するシンポジウムを日弁連が主催します。【入場無料・事前申込不要】

http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/100724.html

7月24日(土) 午後1:00~5:00 弁護士会館クレオ 霞ヶ関駅

個別労働紛争の本訴・仮処分・労働審判の新受件数(全国)

  訴訟 仮処分 労働審判 合計
平成16年 2480 652   3132
平成17年 2410 619   3029
平成18年 1983 466 877 3326
平成19年 2176 388 1494 4058
平成20年 2359 404 2052 4815
平成21年 3125 655 3468 7248

シンポジウムの出席者は次のとおりです。

基調報告を東京地裁判事の早田尚貴氏がこの間の実績と課題を、私が日弁連の労働審判利用者アンケート結果と各地の運用状況を踏まえた今後の課題を報告します。

パネリストには次の5名が参加されます。

東京地裁労働部の渡辺弘判事
労使からの審判員の各1名
使用者側の石﨑信憲弁護士
労働者側の鵜飼良昭弁護士

コーディネーターは、菅野和夫東大名誉教授(中労委会長)

■利用者アンケートの結果

日弁連が利用者アンケートとして、当事者及び代理人に労働審判についてのアンケートを実施しました。回収した数は少ないため(本人71人、代理人219人)に、統計的な数値としては余り意義はないと思われますが、興味深い結果も出ています。私が注目したのは次の2点です。

(1)労働審判制度の前に利用した手続として、労働行政の紛争解決手続(労働局、労基署、労働委員会等)が多かったという点です。

(2)、当事者は労働審判制度の判定的機能への期待が高いという結果が出た点です。

詳細は、7月24日に報告したいと思いますので、興味ある方は是非、シンポにご参加下さい。

■労働局個別労働紛争あっせん手続と労働審判

6月にJILPTから、「個別労働関係紛争処理事案の内容分析」(労働政策研究報告書№123)を送付していただきました。この内容も大変に興味深く読ませてもらいました。特に、雇用終了事案の分析は詳細で、かつ実態に即したもので、大変に参考になります。

この労働局紛争あっせん処理で解決できなかったケース(あっせんで合意成立したケースは約3分の1)を、どう労働審判の司法手続に橋渡しするかも重要な課題だと思います。労働審判ができないので労働局の個別紛争あっせん手続をする当事者も、そこで解決しない場合には、労働審判に申し立てることを検討します。そして、現に、労働審判の利用者に、そのような人が多い。

ネックになるのは、代理人として弁護士をつける点です(弁護士探しと弁護士費用)。

■労働審判手続と弁護士代理人

この点については次の3つの論点(課題)があると思います。

(1)労働審判手続は、弁護士をつけることを原則とする手続とするのか、本人申立でも利用できる制度とするのか。

(2)弁護士費用負担をどう軽減するか。

(3)労働審判手続を習熟した弁護士をどう育てるか。

(1)の問題は、理念(建前)としては、弁護士がつかなくても利用できる制度であるべきでしょう。しかし、3回以内手続で解決するためには、予想される争点を明示して説得的かつ論理的な申立書を書かなければならないし、労働法の知識も必要です。使用者側がほとんどが弁護士をつけているので、労働審判でのやりとりを考えると労働者の本人申立は一般論としては労働者に不利です。

とすれば、(2)の弁護士を求める労働者にできるだけ負担を少なくして、弁護士を依頼する手続をもうける道を充実させなければなりません。その点で、法テラスが受け皿の一つでしょう。弁護士会には労働審判弁護士斡旋制度が作られているところもあり、そこから弁護士に紹介し、法テラスを利用するという方法があります。

これとは別に、最近は神奈川などで、労働審判や労働訴訟を申し立てる労働者に基金を貸し付ける基金がスタートしたことを聞きました。この貸付は、弁護士を通して申し込み、労働弁護士に貸付けて、勝訴すれば回収するとう仕組みだそうです。

この神奈川の基金は、労働組合員に限らないというのが特色です。組合員であれば、労働弁護士を紹介し、費用も貸し付けるという労組は珍しくないですが、非組合員をも対象とする制度は今までなかったと思います。この基金の場合も当然、審査がありますが、労組と労働弁護士が審査をしますので、労働事件に習熟した弁護士か否かは分かります。

(3)最後に、労働法に習熟した弁護士をどう育てるかという問題ですが、弁護士は専門的自営業ですから、最後は各人の努力ということですから、私も勉強を続けるしかありません。

ただ、労働弁護士は多くは共同事務所に(最初は)所属していることが多いので各法律事務所の中でのOJTがあります(準備書面の添削や証人尋問の実施)。また、各地の労働弁護団の事例検討会や研修会がありますので、事務所を超えた検討を行います。

このように複数の弁護士で労働事件を検討・担当していくなかで、知識と経験を蓄積していくということです。どの法分野でもこの点は変わらないとは思いますが。

(あと実は、弁護団会議や労組との打ち合わせの後の飲み会こそ「奥義」や「奥の手」が語られる・・・。もっとも最近の若手は呑まなくなりましたので、この手の昔ながらの「伝授の場」は少なくなりつつあります。)

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2010年7月12日 (月)

日本IBM会社分割事件最高裁判決H22.7.12

■最高裁平成22年7月12日第二小法廷判決

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100712111131.pdf

日経記事は次のように報道していました。

会社分割巡る従業員転籍、事前協議なければ無効 最高裁
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819695E3E0E2E3918DE3E0E2E5E0E2E3E29180E2E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

 会社分割で新会社に転籍することになった日本IBMの従業員が、同社に転籍の無効の確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は12日、「会社が分割に関して従業員との協議や説明をまったく行わなかった場合には、転籍は無効となる」との初判断を示した。

■事案の概要

簡単に言えば、日本IBMが不採算部門であるハードディスク事業を会社分割(新設分割)して、新会社(ST社)を設立し、ハードディスク事業に所属した労働者を全て新会社に承継させた事件である。新会社になれば、日立製作所グループと統合され、賃金等の労働条件が切り下げられることが予想され、また、不採算部門であるから新会社の将来は不安定と思わざる得ません。IBMの労働者の賃金は30%切り下げられるだろうと会社幹部が発言をして、労働者は不安におちいっていました。

■労働者の主張

労働者は、会社分割による労働契約承継に異議を唱え、労働組合(JMIU日本IBM支部)に加入して、分割される新会社の経営状況、労働条件の維持・保障等について個別協議をしました。ところが、会社は、会社分割後の新会社の経営状況については回答できないとしてきました。

労働組合は、会社分割前に分割先である日立製作所に対して、経営状況・労働条件について団体交渉を申し入れましたが、日立側はまだ労働契約が発生していないとして団体交渉を拒んだのです(神奈川労働委員会に救済申し立てをした)。そして、会社分割が実行され、労働者は新会社に労働契約が承継されてしまいました。

■提訴

そこで、労働者は、日本IBMに対して、地位確認と損害賠償を請求する訴訟を提起しました。労働者側の主張は次の二点。
(A)労働者は会社分割無効の訴えによることなく、商法附則5条個別協議及び労働契約承継法7条の協議義務に反した場合には労働契約承継の無効を訴えることができる。
(B)労働者は、職業選択の自由の一環として、また契約の自由の一つとして、「使用者選択の自由」を有しており、労働契約承継を拒否する権利(承継拒否権)を有する。と

■争点

争点は次の3点となりました。
①会社分割無効の訴えによらず労働者は労働契約承継の有効性を争えるか。②労働契約承継を無効とする事由はどのような場合か。③労働者に承継拒否権があるか。

■第1審判決

第1審(横浜地裁)は、①は認めましたが、②については、「会社分割の無効事由が認められない限り、会社分割の効果である労働契約の包括承継自体を争う方法なはい」として、商法附則5条協議、あるいは労働契約承継法7条措置を「全く行わなかった場合又は実質的にこれと同視し得る場合」には労働契約承継が無効となるとしました。そして、この協議は行われているとしました。③については、使用者選択の自由については、労働者は、退職するという選択肢があるから、使用者選択の自由を制約しているとは言えないと判断しました。

■控訴審判決

控訴審(東京高裁)は、②の無効事由としては、「5条協議を全く行わなかった場合もしくは実質的にこれと同視し得る場合、または、5条協議の態様、内容がこれを義務づけた趣旨を没却するものであり、そのため、当該労働者が会社分割より通常生じると想定される事態がもたらす可能性のある不利益を超える著しい不利益を被ることとなる場合に限って」、労働契約承継の効果を争うことができると判示しました。その上で、IBMは、労働者と実質的に協議を行っているとして控訴棄却でした。

■最高裁判決

最高裁は、上告受理申立理由のうち、労働契約承継についての解釈、事実評価の誤りの2点について受理して判決をしました(承継異議申立権については、上告棄却及び上告不受理決定した)。

商法附則5条1項の個別協議は、「労働契約の承継いかんが労働者の地位に重大な変更をもたらし得るものであることから、…承継される営業に従事する個々の労働者との間で協議を行わせ、当該労働者の希望等を踏まえつつ分割会社に承継の判断をさせることによって、労働者の保護を図ろうとする趣旨である」

これを踏まえて次の規範(基準)を明らかにしまた。

「5条協議が全く行われなかったとき」、「また、5条協議が行われた場合であっても、その際の分割会社からの説明や協議の内容が著しく不十分であるため、法が5条協議義務の違反があったと評価してよく、当該労働者は承継法3条の定める労働契約承継の効力を争うことができる」

この基準は第1審判決、控訴審判決よりも広げた内容になっているとは言えます。しかし、具体的なあてはめは、不当と言うしかありません。

特に、最高裁は「被上告人は、ST社の経営見通しなどにつき上告人らが求めた形での回答は応じず、上告人らを在籍出向等にしてほしいという要求にも応じていない」ことを認めながら、説明や協議の内容が不十分であったとは言えないと判断しました。これは納得がいかない点です。

この最高裁判決は、結論は不当ですが、商法附則5条を労働者保護の趣旨であることを正面から認め、5条協議違反の場合には、分割会社の責任を追及できる道があることを明らかにした点では重要な意義があると思います。

今や、会社分割は大手企業だけでなく、中小企業でも実施されており、泥舟会社分割事案(事業を分割して、即、分割会社や新設会社などが破綻する事案)も発生しています。なかには慰謝料を認めた判決も出ています。最高裁判決の積極面を生かすように取り組むことが重要だと思います。

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2010年7月 4日 (日)

首都圏建設アスベスト訴訟 森裕之教授証言

■建設作業従事者のアスベスト被害

石綿が含まれる建材を使用したことで、石綿疾患(肺がん、中皮腫、石綿肺等)に罹患した建設作業者(大工、配管工、解体工等)が、国と石綿建材メーカーに対して損害賠償を求めた裁判が続いています。東京地裁(1次訴訟、2次訴訟)の合計原告は約300名です。

■森裕之教授の証人尋問

立命館大学の森裕之教授(財政学・都市経済論)に、日本での建設アスベスト被害と国・建材メーカーの責任について証人尋問(120分)が東京地裁で実施されました。

公共経済学の立場から我が国のアスベスト建材の被害拡大と政府と企業の責任について、詳細の意見書を作成していただき、それを踏まえて詳細に証言していただきました。

日本が輸入した石綿のうち7割が建材に使用され、我が国では建設業に大量の石綿疾患被害者が発生していることを数値に基づいて明らかにされています。

■ダブル・スタンダード

特に、アスクなどの日本の代表的石綿建材製造企業が、石綿規制が厳しい海外には、ノンアスベストの製品を輸出しながら、規制がなかった日本では石綿含有建材を従来どおり新製品も含めて販売していることを、会社側の資料に基づき明らかにされました。

アスベスト代替化は可能であり、きちんと公的規制があれば、アスベスト代替品開発を企業に促し、早期の脱アスベスト化は可能であったと証言されました。

この証言には、裁判長や右陪席裁判官が、頷きながらメモをとっていたのが、印象的でした。

■訴訟は中盤の山場を迎えて

泉南アスベスト訴訟で敗訴した国は、3名の証人申請をしてきました。原告側は、後半戦の原告患者・遺族による被害立証にはいっていきます。いよいよ後半戦に入っていくことになります。生存している患者原告も重症の石綿疾患です。一日も早い判決、解決が求められています。

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2010年7月 2日 (金)

解雇権濫用法理と整理解雇は別法理か?

整理解雇は解雇自由であるが、個別的理由による解雇は、解雇権濫用法理の適用があるという主張を時々、耳にします。

先日、有名な労働法学者が「スウェーデンは解雇規制があるが、経営上の解雇は自由なんだ」とコメントしていたのを聞きました。

なかには、さらに進めて、日本でも、解雇権濫用の法理(労働契約法16条)は個別的理由による解雇(つまり、労働者側の事情、たとえば、能力、態度、非行等による解雇のこと)に限定して、整理解雇の4要件(要素)は破棄すべきという意見も散見します。

でもね。

日本の現実では、名ばかり整理解雇がいかに多いことか。

前年度より売り上げが減少しただけで整理解雇だなどと主張する使用者及びその代理人が多いですね。つまり、整理解雇と言って、恣意的な解雇をしてくる使用者が多いということです。(実は、当該労働者が気に入らないだけ)

本当の意味で、整理解雇かどうか、をチェックする必要性が高いと思います。その意味では、解雇権濫用法理の一内容として、整理解雇は位置づけられるはずです。

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南アW杯 パラグアイ戦 0-0 PK負け 凡戦

延長戦でも0-0で、OK戦で5-4の敗戦。

日本選手も本気のパラグアイ相手に、よく守りました。

でも、両チームとも超守備的な戦術で、ワールドカップの決勝トーナメントとは思えないほどの「凡戦」でした。Jリーグでこんな試合をしていたら、「金返せ。」と言われるでしょう。

「日本人とパラグアイ人しか見ない試合」と本田選手がコメントしたそうですが、まったく同感です。

にもかかわらず、テレビでは、「善戦」「快挙」「世界を驚かせた」とか、果ては「日本人は一体感が大切だ」「大和魂は、やっぱり『和をもって尊し』だ。」というコメントが溢れています。これには「なんだかなー・・・」という気分にさせられます。

2,3日前、NHK・BSでオランダのクライフのドキュメンタリーが放映されていました。クライフ曰く、「代表チームは勝敗だけが問われる。それでは夢のある、楽しいサッカーはできない」と言っていました。

岡田監督は、「私にも理想のサッカーがある。でも、日本代表監督として勝つことにこだわった」とコメントしていました。結局、2年半、監督をやってみたが、見ていて楽しい理想のサッカーでは日本チームは勝てないというのが現実なのでしょう。

次の監督は、このような超守備的なサッカーでなく、見ていて楽しいわくわくするチームで、4年後のブラジルW杯でたたかってほしいです。

2014年のブラジル大会には是非、現地に行ったみたい。そのためには、日本代表が地区予選を突破し、楽しいサッカーで勝てるように成長してもらいたいものです。

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南アW杯 デンマーク戦 3-1 歓喜

デンマーク相手に快勝です。
最初の10分はいつ点を入れられるかと冷や冷や。

フリーキックの2発で勝利をつかみました。

デンマークの攻めをよくしのぎ、攻撃のときは全員で攻めていました。
こんな快勝をするとは予想もしていませんでした。

日本チームの現実的な戦い方がはまった勝利です。

決勝トーナメント進出。快挙です。

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2010年6月21日 (月)

南アWC オランダ戦 0-1 敗戦

オランダに0-1での負けでした。テレビ観戦はなぜか、竜飛岬の竜飛ホテルで観戦しました。

川島は、よく1点でしのぎました。岡崎の最後のシュートは枠に飛ばしてほしかった・・・。

でも、韓国のようにアルゼンチンに惨敗するのではないかと心配していましたが、よく守り、わずかですが、攻めにも見せ場をつくりました。善戦です。

オランダには負けを覚悟していたのですから、最少失点で敗戦は、最良の結果です。

いよいよデンマーク戦です。デンマークは勝たなければならないゲームで、積極的に攻めてくるでしょうから、日本は堅守でしのいで、チャンスに全員で攻めて1点がほしいところです。

岡田監督が突然に、戦い方をガラッと変えても、それによく適応する選手たち。選手たちはクレバーなんですね。

第3戦まで、グループリーグ突破に期待がかけられるなんて望外の喜びです。

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2010年6月17日 (木)

WC カメルーン戦 日本の専守防衛の勝利!

■勝利!!!

カメルーン戦は、現実路線(守備重視)で、一点をもぎとっての勝利。まずは、うれしいの一言です。

攻めは、本田、松井、大久保の3人にまかせて、あとは守備ブロックをひいての籠城作戦でした。サイドも最後まで攻め上がりませんでした。

■現実路線

世界の強豪を前に、これまでの理想主義路線を変更して、現実路線に舵を切った岡田監督。采配が的中して良かったですね。

■韓国とアルゼンチン「 4 対 1 」の衝撃

今日は、韓国とアルゼンチン戦「、4 対 1 」で韓国の敗戦。ギリシャ戦では通用していた前からの守備は、アルゼンチンに全然通用していませんでした。

日本対オランダが、このようなスコアで敗戦にならないか心配になりました。スケベ心を出さずに、堅実に守備固めをして専守防衛で、カウンターか、本田、松井の個人技と、大久保の献身的なかき回しに期待をかけたほうが良いように思います。

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荒木尚志教授の「有期労働契約研究会の中間とりまとめ案」解説を聞いて

■有期労働契約研究会の意見書

今月16日の日弁連労働法制委員会にて、有期労働契約研究会の「中間とりまとめ」について、荒木尚志教授に解説をしてもらいました。なお、有期労働契約研究会の有期契約労働者は、パートもフルタイムも対象としての提言ということでした。でも、実数約750万人、比率約14%って、低すぎないかという疑問はありますが・・・。

■国際比較:有期労働契約の法制度

興味深かったのは、国際比較のお話しでした。JILPTの労働政策フォーラムでのイギリス、スウェーデン、ドイツ、フランスの実情です。

入口規制の国として、ヨーロッパのラテン諸国のフランス、ヨーロッパの北の方のイギリス、スウェーデン、ドイツは出口規制という整理でした。

ところが、イギリスの有期契約労働者は約8%、厳格な入口規制をしているフランスが約14%だということに驚きました。結局、フランスは、入口規制をしても、その例外幅広く認められて、有期労働契約が増加しているということです。

ドイツは、入口規制をしている国と理解をしていましたが、現在は、二年間の短期契約であれば入口規制はなく、2年を超える場合には、客観的な正当理由が必要とされているということでした。有期契約労働者の比率も約14%です。ちなみに、日本も約14%という数値だそうです(この数値は???ですが)。

荒木教授のおすすめでしたので、第16回有期労働契約研究会の資料(HPで公表)を読んでみましたが、大変に興味深い内容でした。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/s0527-4.html


EU諸国は、高失業率の対策として、無期労働契約の原則から、有期労働契約の活用にシフトしている傾向がはっきり、当該国の研究者が報告しています。

ただ、ヨーロッパ(EU諸国)は、入口規制か出口規制かはともかく、有期労働契約の濫用を防止し、有期契約労働者の均等待遇の実現を目指しているということです。

有期労働契約のまま、長期間に働かせるということは禁じています。2年あるいは3年を超えて有期契約労働が続く場合には、無期契約とみなすことが定められています。また、均等待遇・差別的取扱いの禁止を法制度としているということです。ただし、比較可能な無期契約労働者を捜すのが困難という課題はつきまとっているということです。

EU諸国の傾向は、有期労働契約の禁止ではなく、高失業率対策、特に若者の失業対策として、有期労働契約の活用・利用を進めており、禁止ではなく、その乱用防止と均等待遇の実現の法制度をつくっているということのようです。各国の労働組合は、その政策には満足せず、反対しているようですが。

■韓国の状況

韓国は非正規労働者保護法が制定され、有期契約労働者を2年を超えて使用すると、無期契約に転化したものとみなすという法律(期間制及び短時間労働者保護等に関する法律)が2007年6月30日に施行されています。そして、2009年7月1日に、その2年が経過した。

この期間制労働者の実態調査の結果が、上記HPで韓国労働部発表資料(仮訳)が掲載されていました。これによると、正規職転換比率は36.8%、契約終了が37%、その他が26.1%ということです。約37%が正規職(無期契約)に転換されているということです。

しかし、法規制の2年上限がくる前であっても、2年以上の働いた者の正規職転換率は38%ということで、特に、法規制による正規職転換効果は大きいとは見られないとしています。

■有期契約労働の濫用防止

有期契約の濫用を防止することは一致します。日本の場合には、有期労働契約のまま、5年も10年以上も使用し、都合が悪くなれば、期間終了で雇い止めをするという実態があります。これだけは是正しなければなりません。この点は、理性的な使用者であれば一致するのではないでしょうか。

■入口規制か出口規制かの選択は単純ではないのか

もっとも、有期契約労働者の保護に、入口規制と出口規制のどちらが、有効かは単純に結論を出せないようです。それぞれの国の労働組織や、雇用慣行、解雇規制の強度、法規制の実効性などを総合的に判断しなければいけないようです。

現状の雇い止めの解雇権濫用法理の類推適用については、適用範囲が明確でなく、不安定です。

■有期契約の上限規制について

入口規制のほかに上限規制も選択肢になるのかもしれません。出口規制として、有期契約の上限(年と更新回数の制限)を定め、上限を超える有期契約は、無期契約とするという規制も選択肢です。しかし、そうなると、上限規制の前に雇い止めをするという「副作用」が生じてしまう。

荒木教授は、その副作用への対策として、「有期契約の終了する際の、終了手当を導入する」ことも一案だとコメントされていました。

夏に有期労働委契約研究会の最終報告(とりまとめ)が予定されています。参議院選挙結果にも左右されるでしょう。例えば、新自由主義のみんなの党が伸びて、民主党と連携するようになったら頓挫するかもしれません。
でも、有期契約労働者の保護の立法化は、若者や、日本の未来にとって必要不可欠だと思います。菅首相の所信表明では、雇用については次のように触れていました。

非正規労働者の正規雇用化を含めた雇用の安定確保、産業構造の変化に対応した成長分野を中心とする実践的な能力育成の推進、ディーセント・ワーク、すなわち、人間らしい働きがいのある仕事の実現を目指します。

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2010年6月 6日 (日)

満州国立建国大学

今朝の朝日新聞に満州の建国大学の同窓会が今年が最後になるとの記事掲載されていました。

http://www.asahi.com/national/update/0605/TKY201006050277.html

理想と現実の狭間で 満州建国大学、8日に最後の同窓会(1/2ページ)
                                               2010年6月6日9時11分
日本が1932年に中国東北部に建てた「満州国」で、最高学府として設立された「満州建国大学」(建大)の全体同窓会が8日の開催を最後に幕を閉じる。卒業生の高齢化が理由。日本、中国、朝鮮、モンゴル、白系ロシアの5民族の融和という理想と、日本による実質上の統治という実態。その矛盾を卒業生たちは戦後も背負わされ、シベリア抑留や政府による弾圧などの過酷な日々を生きてきた。

私の父親はこの満州 建国大学の出身です。私が中・高生のころ、父が酔うと満州建国大学の話を聞かされたものです。

建国大学は満州国の官僚養成大学。全寮制で給与が支給されたそうです。父らは日本では軍国主義教育にどっぷり浸かっていましたから、「五族共和」、「王道楽土建設」の理想に燃えて大陸満州に渡ったそうです。

当時満州では、日本人は白米、中国、朝鮮人はコーリャン(高粱)を食べていました。しかし、「五族共和に反する」という学生の批判がおこり、白米とコーリャンを混ぜて、日本人も中国人、朝鮮人、モンゴル人も平等扱いになったそうです(白系ロシア人はパン)。

父は、初めて中国人や朝鮮人の学生らと一緒に学び暮らして、特に彼らの優秀さにびっくりしたと言っていました。

中国人、朝鮮人の学生は、学内の日本人学生に対しても公然と日本の侵略を批判したと言います。図書館には、マルクスの資本論や、孫文の著作などが置かれており、自由に閲覧できたそうです。

エリート学校というのは、どこでもそういうリベラルなものなのでしょう。父は、彼らとの議論や、彼らの民族独立への情熱に接して、視野の狭い軍国主義に対して疑問の念がわいたと言います。

建国大学は、傀儡国家である満州国の官僚養成学校であるにもかかわらず、もっとも多くの抗日闘争運動に身を捧げる学生を生み出したそうです。建国大学の総長や日本人学生らが彼らの釈放運動をしたこともあったと言います。

終戦間際、建国大学学生も現地で徴兵され、父はソ連の戦車隊の攻撃を防ぐ前線に、地雷を持たされて突撃要員(自爆兵)として塹壕に配置されたと言います。ソ連の戦車部隊が侵入してくる直前に敗戦になり死なずにすんだと言っていました。

そのとき、関東軍(日本軍)の将軍ら高級将校が真っ先に逃げ出したのを目の当たりにしたそうです。「日本人の女子ども野蛮なソ連軍の餌食にした」と言って、父は、日本の軍人たちを心底、軽蔑をしていました。戦後も、「右翼的な大言壮語する連中こそ、一番の腰抜けだ。」と言っていましたね。

父らはその後、一年間、中国の満州に残って右往左往します。幸い、シベリアに抑留されずにすみましたが、ソ連兵には殴られ、財産を盗られたり酷い目にあったそうです。他方、八路軍の兵士の規律の正しさと志の高さには瞠目。八路軍には現地で徴用されたりもしたそうですが、八路軍の敵である蒋介石の国民党軍については「装備は最新鋭だが、兵に士気がなかった」と言っていました。その後、父は、やっとのことで帰国して、あらためて日本の大学に入りなおしました。

九年前に父が亡くなったとき、建国大学の同窓生が集まってくれました。同窓生の多くは、学者や上場企業の役員等々それなりの経歴の方々でしたが、多くは日本に戻ってから、あらためて大学に入り直し、やり直しをした方々です。

建国大学は暴虐な植民地支配の先兵ではなく、それを変えようとしたのだ、という思いをお持ちの方もいました。中のお一人は「もう少し満州国がもって自分たち建国大学の卒業生が満州国を運営するようになったら違ったはずだ」ともおっしゃっていました。でも、日本人が満州を支配し酷いことをやっていたことや満州が傀儡国家であったとの認識は皆さん共通にお持ちでした。

七〇、八〇歳を超えて、それぞれの現役を引退しても、満州建国大学(ケンダイ)としての強い連帯感を持っているのは、あの「満州」という地域での「戦争」という激烈な体験をもっていたからなのでしょう。

なお、司法試験の一次試験免除に関する規則に、「満州国立建国大学の卒業者」は司法一次試験免除されるとの記載を見たときは、親父の言っていた建国大学は本当にあったんだと思ったものです。

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2010年5月23日 (日)

2010年南アフリカ・ワールドカップ 「愚かな目標」

■間違った愚かな目標(ベスト4)を掲げた岡田監督

いよいよ、ワールドカップが6月から始まります。
日本代表の話題は、岡田監督が、ベスト4が目標だと言い出してから、しらけて見ています。

最初は、ベスト4なんか冗談かと思ったのですが、冗談が似合わない岡田監督が繰り返し、今でも、まだ言っているのですから、あきれています。

ベスト4を目標と掲げることが彼の監督としての水準を示しているのでしょう。ベスト4なんて言って喜ぶのは、他のヨーロッパや南米の強豪国のサッカーを見たこともない人とマスコミくらいでしょう。

達成できる条件や情勢もなく、見通しもないのに高い目標をかかげるほど、しらけるものはありません。まあ、スポーツでも、政治(鳩山首相等々)でも、その手の軽率な輩が多いですが。

遺憾ながら、この間の日本代表のサッカーを見れば、その目標を掲げたことが、そのサッカーの実力を成長させるのに役立っているとは到底思えません。
かえって、「この程度でベスト4なんてよく言うよ」という、揶揄と侮蔑の対象、そして自虐の要因になっているように思えます。

■予選リーグ突破が岡田日本代表のノルマ!

オランダは勝ち点は計算できません。

カメルーンとデンマークに、
2勝できる可能性は10%。
でもって
1勝1引分けは、15%
1敗1引分けは、30%。
2敗は70% っていうところでしょう。

とはいえ、予選リーグ突破を目指すという現実的目標を死にものぐるいで達成してほしいものです。
これを突破すれば、あとは何があるかわかりませんから。
これから応援モードにうつっていこうと思います。


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2010年5月16日 (日)

「協同労働の協同組合法」案について

■超党派議連の法案

超党派の議員立法で協同労働の協同組合法案が検討されていると新聞報道がありました。この「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟」(会長 坂口力衆議院議員)は、民主、自民、公明、共産、社民、国民新党、新党日本、みんなの党の超党派で構成しています。この議連の法案要綱案を見ました。

この「協同労働の協同組合法」案は、労働者の自主的事業等に法人格を付与するもので、基本的には長年にわたり労働組合や生活協同組合、ボランティア団体などが求めてきた法案です。理念としては、素晴らしいものです。イタリアでは労働者協同組合が活発だそうです。

■事業に従事する組合員は労働者か?

組合員の就労条件等については次のように定めています。

1 就労規程
(1) 協同労働の協同組合は、就労規程を作成し、次の事項について定めなければならないものとする。
① 就労時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
② 従事した業務に対する報酬の基準その他組合事業に従事した程度に応じてする分配に関する事項
(2) 労働基準監督署長は、就労規程で定める組合員の就労条件が、労働者の労働条件について労働基準法が定めている基準に達しない場合には、その就労規程の変更を命じることができるものとすること。

2 労働保険への加入等
(1) 組合員(役員を除く。)は、労働者災害補償保険法及び雇用保険法の適用事業にしようされる労働者とみなすものとする。
(2) 組合員の安全及び衛生については、労働安全衛生法の規定を準用する者とすること。

組合員が労災保険や雇用保険については労働者と「みなす」ということは、要するに組合員は、「労働者」ではないということです。

つまり、労基法が適用されないということです。就労規程が労基法の基準に達しない場合に変更を命じることができるだけで、労基法違反として労基署は監督することができないという構造です。また、最低賃金法の適用もないということになるのでしょうね。

協同労働の協同組合法で、わざわざ、従事組合員が労働者でないということを決める必要があるのでしょうか。組合事業に従事する個々の労働者の実態に応じて労基法などが適用されればよいはずです。

■イタリアの労働者協同組合

イタリアの労働者協同組合(ローマのレガコープ等が有名)でも、労働組合が存在しているそうです。なぜ、日本の場合には、従事組合員が労働者であることを否定するのでしょうか?  不思議なことです。

組合員である労働者が協同で決定するから労使関係はないっていう理念でしょうか? しかし、そんな「建前」や「理念」が間違いのもとだっていうことが、1989年のソ連・東欧の崩壊で明確になっているはずなのに。

労働者であることを否定すると、協同労働の協同組合という美しい理念のもとで、劣悪な労働条件や雇用の不安定が法認されることにならないか危惧します。なんだか、いろいろな輩が協同組合として入ってくる弊害が心配です。

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2010年5月 9日 (日)

労働法と民法(債権法)改正(その8) 継続的契約と労働契約 更新拒絶

■継続的契約と労働契約
 基本方針は、継続的契約に関する定めを制定することを提案しています。この継続的契約の定義は次のようなものです。

  【3.2.16.12】(継続的契約の定義)
   継続的契約とは、契約の性質上、当事者の一方または双方の給付がある期間にわたって継続して行われるべき契約をいう。ただし、総量の定まった給付を当事者の合意により分割して履行する契約(以下、「分割履行契約」という)は、これに含まれない。

 この基本方針の定義を素直に読めば、期間の定めのある労働契約も継続的契約に含まれることになります。委任の更新や解除については継続的契約が適用されると基本方針は言っていますので(別冊NBL375頁)、継続的契約が労働契約にも適用されることを前提としているようです。

■有期雇用契約の雇止めの判例法理
 そうすると、「期間の定めのある継続的契約に関する終了事由」の定めが、有期労働契約に適用されることなります。

【3.2.16.14】(期間の定めのある契約の終了)
    <1>  期間の定めのある継続契約は、期間の満了により終了する。
    <2>  当事者間に契約締結時またはその後期間満了時までの間に<1>の契約を更新する明示または黙示の合意が成立したものと認められる場合には、その契約は更新される。
    <3> <2>の合意が認められない場合であっても、契約の目的、契約期間、従前の更新の経緯、更新を拒絶しようとする当事者間の理由その他の事情に照らし、更新を拒絶することが信義則上相当でないと認められるときは、当事者は、相手方の更新の申し出を拒絶することができない。
    <4> <2>または<3>による更新がされたときは、当事者間において、従前の契約と同一の条件で引き続き契約されたものと推定する。ただし、その期間は、定めがないものと推定する。

      
 <3>の条項は、更新の合意がなくても、「契約の目的、契約期間、従前の更新の経緯、更新を拒絶しようとする当事者間の理由その他の事情に照らし、更新を拒絶することが信義則上相当でないと認められるときは、当事者は、相手方の更新の申し出を拒絶することができない」とします。これは、いわゆる有期労働契約の雇い止めについての最高裁判例に共通する考え方です。<4>の条項によれば、更新されたあとは期間の定めのない労働契約になりますから、労契法16条が適用されることになります。

 労働契約法でも議論された雇い止めについての判例法理が民法(債権法)改正ということで立法されることになります。実に歓迎すべきことです。改正検討委員会はそこまで考えて提起しているものと期待しています。継続的契約と有期労働契約の関係は、鎌田耕一教授が「民法改正と労働法」(労旬1711号41頁)で指摘されています。

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2010年5月 2日 (日)

労働弁護団 HP リニューアル

■日本労働弁護団のホームページはリニューアルをしました。

http://roudou-bengodan.org/

労働弁護団のホットラインや提言がアップされています。

■「有期労働契約研究会の中間取りまとめ」に対する意見

次のとおり、厚生労働省の中間とりまとめに対しての意見書(少し長文になりました)も発表しています。

http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/20100430.php


労働弁護団の意見書の特徴は

第1は、入口規制への提言です。

入口規制とは、有期労働契約締結は、正当事由がある場合にのみに限定され、正当事由がない場合いは、無期労働契約とみなされるという規制です(フランスやドイツはこのような規制です。)

中間とりまとめは、入口規制是非を論点として取り上げており、その点では画期的ですが、入口規制については消極姿勢です。しかし、このような規制があって、はじめて法的にも、労働契約の直接・無期の原則が確立することになると思います。

第2は、中間とりまとめの対象となっている有期労働者像を問うている点です。

中間とりまとめは、フルタイムの有期労働者のみを対象としており、パートタイムの有期労働者を検討対象としてないように読めます。

第3は、入口規制が導入されない間は雇い止めについての解雇権濫用法理の規制を法律で定めることを提言しています。

第4は、均等待遇の規制について、使用者に正社員転換制度を設置することを義務づけたり、時間あたりの賃金が正社員と8割未満の格差がある場合は不合理の格差として使用者に合理性の主張立証責任を課すという制度を提案しています。

■入口規制がもたらすもの

入口規制は、日本の労働法制の抜本的変更です。そうなれば正社員制度のあり方も、大きく変わるでしょう。無限定・無定量の仕事をこなし、使用者に大幅に最良が与えられる日本的な「正社員制度」から、、担当する職務、それに対応した労働時間が明確化された正社員制度が増加するように思います。その意味で、正社員が多様化する方向になるのかもしれません。

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2010年4月25日 (日)

読書日記 「主婦パート 最大の非正規雇用」本田一成著 集英社新書

2010年1月20日初版
2010年4月10日読了

本田一成氏は、経営学者で、國學院大学経済学部教授です。専攻分野は、スーパーマーケットなどのサービス産業の人的資源管理、組織行動、労使関係。

大変に勉強になりました。

主婦パートが非正規雇用労働者の多数を占めることはつとに指摘されてきたことです。正社員は約3430万人、非正社員は約1890万人。うち、パートタイマー1300万人、主婦パートは800万人と言われています(平成19年度)。

「主婦パートは、短時間のパートを望み、夫が家計の主たる生計を稼ぎ、家計補助的な収入を得ることを目的としては働いている」と言われてきました。特に、「不安定雇用という名の虚像」(小泉静子・佐藤博樹著)では、この主婦パートは、不安定雇用でもないし、仕事や労働条件への満足度も高いとしていました。

しかし、この本は、経営学者としての著者が1000人ものパートの聞き取りを通じて、主婦パートがおかれている現状を分析しています。

主婦パートは、低い賃金で従順に働くという、企業にとって貴重な労働者である。そして家庭では妻や母として、家事・育児・教育・介護などの大きな家庭責任をほぼ全面的に引き受け、忍耐強く献身的にこなす。さらに、夫を仕事に専念させ、長時間労働を可能とさせるだけでなく、子どもたちを教育して、仕事に生活の多くを捧げる人間として企業に送り込んだり、そういう家族を支える人間として成長させる。(主婦パート・サイクル)

主婦パートたちは、長らくこのような負担に耐えてきたが、基幹化による重圧が益すことによって、主婦パートサイクルが停止し始めている。

しかし、家庭での家事育児負担、職場での基幹化という名のもとでの労働強化、正社員が減らされパートが戦力化されることによる職場の不効率化などが語られています。名付けて「主婦パート・ショック」です。

基幹化による圧力は、低賃金、不安定の労働との矛盾により、経営での不完全作業が増加して、経営コストをあげており、マイナスになっていると指摘しています。また、家庭での児童虐待や少子化の遠因ともなっていると指摘しています。

著者は、「パートタイム社員」を創設しようとい提案しています。期間の定めのないパートタイム社員として雇用する。そして、健康保険や厚生年金の130万円の壁を撤廃する。主婦パートを、パートタイム社員化して、準正社員的な立場として雇用することで、家庭や社会の歪みを是正するべきだとしています。

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2010年4月 1日 (木)

民法(債権法)改正と労働法(その7) 安全配慮義務違反の損害賠償と債権時効

■債権の消滅時効

民法(債権法)改正検討委員会の基本方針は、人格的利益等の侵害による損害賠償の債権時効期間について、次のように提案しています。民法724条を次のように改正し、しかも債務不履行と不法行為との共通規範とするというものです。

【3.1.3.49】(人格的利益の侵害による損害賠償の債権時効期間)
[生命、身体、名誉その他の人格的利益]に対する侵害による損害賠償債権における【3.1.3.44】の規定の適用については、次のとおりとする。
<ア>【3.1.3.44】<1>の期間は[30]年とする。
<イ>【3.1.3.44】<2>の期間は[5/10]年とする。
<ウ>【3.1.3.44】<3>は適用しない。

【3.1.3.44】(債権時効の起算点と時効期間の原則)
<1>債権時効の期間は、民法その他の法律に別段の定めたがある場合を除き、債権を行使することができる時から[10年]を経過することによって満了する。
<2><1>の期間が経過する前であっても、債権者が債権発生の原因及び債務者を知ったときは、その知った時または債権を行使することができる時のいずれか後に到来した時から[3年/4年/5年]の経過により、債権時効の期間は満了する。
【<2>の時効期間を3年とする場合】
<3><1>にもかかわらず、債権者が債権を行使することができる時から[10年]以内に債権の発生原因および債務者を知ったときは、その知った時から[3年]が経過するまで、債権時効の期間は満了しない。

■現行法の定め

現行法では、労災民事賠償などの契約責任である安全配慮義務違反の損害賠償請求の時効について、現行法は、権利を行使することができるときから10年ということになっています(民法166条、167条)。また、不法行為としての損害賠償については、損害及び加害者を知ってから3年経過すると時効となり、不法行為のときから20年経過しても消滅(除斥期間)するとしてます(民法724条)

現行法では、トンネル工事に従事していた労働者が、工事現場から離職後に、5年たってからじん肺であると労災認定を受けた場合には、不法行為の場合には、損害及び加害者をしったときから3年で時効となります(損害及び加害者を知ったときとはどういう場合を言うかは、後述の最高裁判決のとおり議論があるところです)。ただし、安全配慮義務違反の損害賠償を請求する場合には、少なくとも最重症の労災認定を受けたとき(損害が確定したとき)から10年間は時効にかかりません。

■基本方針では被害者にとって改悪の可能性あり

基本方針では、上記のとおり、人格的利益侵害の損害賠償請求権については、客観的時効30年と、主観的時効(5年/10年)の二本立てとします。

つまり、生命、身体等の損害については、債権を行使することができるときから(債権が発生し、請求できるときから)30年は時効消滅しないとします(客観的時効)。つまり、現行10年より大幅に伸ばされます。

他方、主観的時効が導入されて、債権発生原因及び債務者(加害者)の導入が提案されています。その期間は5年か、あるいは10年が提案されています。

もし5年にされると、債権発生原因及び加害者を知ってから5年で時効となり、安全配慮義務違反の損害賠償請求権とすれば、今まで10年間は時効消滅しなかったにもかかわらず、時効で消滅してしまうことになります。

つまり、5年の場合には、現行よりも被害者は不利になってしまうことになります。10年であれば、被害者にとって現行よりも有利になります。

上記のトンネルじん肺の例ですと、労災認定を受けてから5年間の間に、使用者に対して損害賠償請求をしないと消滅時効してしまうことになります。使用者は、常に労災認定を受けた(損害を知った)ことをもって債権発生原因を知ったと主張するのが常です。

(もっとも、最高裁は、「損害及び加害者を知ったとき」とは、「被害者において、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度においてこれらを知った時を意味するところ(最判昭48年11月16日)」としていますので、労災認定を受けたことを知っただけで、賠償請求が事実上可能な状況になったと言えるとは思えませんが。)

この使用者の主張が認められると、債権発生原因および債務者を知ったとして、主観的時効が進行すると解釈されかねません。

その意味では、人格的利益の侵害による損害賠償の主観的債権時効は10年でなければ、被害者にとっては改悪になってしまいます。

これも論点になりますね。

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2010年3月28日 (日)

厚労省「有期労働契約研究会」の「中間とりまとめ」を読んで

■中間とりまとめの位置づけ

2010年3月17日、有期労働契約研究会(座長・鎌田耕一教授)の「中間とりまとめ」が発表されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004psb.html

厚労省労働基準局長の委嘱をうけて検討を行ってきたもので、【有期労働契約に係る施策の方向性】についての「論点を中間的に整理した」ものだそうです。「今後、労使関係者等の意見を聞いて、さらに検討を深める」としています。聞くところによると、予定では8月ころに最終報告をまとめると言われています。

対象となる有期雇用契約者は、フルタイム有期契約労働者(いわゆる契約社員。研究会は4タイプに実態が分かれていると分析しています)であり、有期パートタイム労働者ではないようです。

■労働契約の無期原則について

我が国の現行法制について、研究会は次のように整理します。

労働契約についての期間の定めのない契約(以下、「無期労働契約」という。)を原則とする旨を定めている規定はなく、有期労働契約の締結事由や更新回数・利用可能期間の上限を限定をしている規定もない。また、労働契約の終了の局面では、無期労働契約における解雇については、解雇権濫用法理が判例上、定着し、一定の保護がなされている一方で、有期労働契約における雇い止め一般は、契約期間の満了の当然の帰結であるとして、解雇と同等の規制には服してない。

他方で、有期労働契約のうち無期労働契約と実質的に異ならない状態に至っていると認められれる等一定のものの雇い止めについては、解雇権濫用法理が類推適用されるという判例が形成されている。

このような法制だからこそ、我が国では、「雇用の不安定さ、待遇の低さ等に不安、不満を有し、これらの点について正社員との格差が顕著な有期契約労働者の課題に対して政策的に対応することが今、求められている」としています。

なお、正社員の解雇からの保護を緩和して、解雇しやすくすべきとの一部の主張を意識して、研究会は、次のようにこの主張を否定しています。

解雇権濫用法理をはじめとする正社員について形成されてきたルールを立法により見直すことは、有期契約労働者について生じている問題の解決に直結しないものと考えられる。

当たり前のことです。正社員を解雇しやすくしても、経営者としては、もっと切り捨てやすい(つまり、雇い止めしやすい)有期契約労働者を正社員にするなんて考えないと思います。そう考える人は大変にお人好しです。

■入口規制と出口規制

入口規制とは、有期労働契約締結の事由を制限すること。つまり、有期労働契約の締結を、一時的な事業活動の増加や季節的・一時的な業務等の場合に限定するということです。

研究会は、我が国の前記の法制を根拠にして、入口規制をするには、法制の根底にある原則的な考え方の転換の是非について議論する必要があるとしてます。

しかし、法制面は確かに研究会が指摘するとおりですが、国民の意識やコンセンサスとすれば、無期原則が根付いているのではないでしょうか。厚生労働省の実態調査でも、約7割が雇い止めを行ったことはないとし、勤続年数が10年超える有期契約労働者を雇う企業も少なくないのですから。

また、研究会は、「入口規制をすれば、現下の雇用・失業情勢において、新規の雇用が抑制される、企業の海外移転が加速する等の影響が生じないか」などの問題点を強調しています。しかし、現行法の下でも、整理解雇は認められており、一定の場合では無期契約労働者でも整理解雇されてしまうのですから。この点をいたずらに強調する必要はないと思います。

これに対して、日本の裁判所は労働者の味方、解雇を厳格に規制しているという声が聞こえます。ただ、これは神話ですね。

整理解雇訴訟の実際を見れば、本当に経営が厳しい事案では、裁判所は人員整理の必要性については、経営側の判断を尊重して必要性を肯定してしまいます。ただ、売り上げ低下した程度で「人員整理の必要性がある」などという、安易な「名ばかり整理解雇」が横行しているので、このような事案では、裁判所は必要性を認めていないということです。しかし、実際に経営が厳しい場合には、労働者側は手続きの相当性を争うしか手がないのが実情です。

ですから、入口規制も整理解雇を認める我が国の法制上も、十分に選択できると思います。

ただ、入口規制は、現在の厳しい経済情勢では、なかなかすぐに実現しそうにありません。であれば、少なくとも当面は、出口規制(雇い止めに対する解雇権濫用法理の適用)を法制度化すべきだと思います。

有期契約労働者にとって、今、一番必要なのは雇用の安定ですから。

■均等待遇の法制化に向けて

有期契約労働者と正社員との均等待遇について、EU諸国のような「有期契約労働者であることを理由とした合理的な理由のない差別の禁止」のような一般的な規定を導入することについては次のように消極的です。

我が国においては、諸外国のように職務ごとに賃金が決定される職務給体系とはなっておらず、職務遂行能力という要素を中間に据え、職務のほか人材活用の仕組みや運用などを含めて待遇が決定され、正社員は長期間を見据えて賃金決定システムが設計されていることが一般的であることから、単に職務の内容が同じというだけでは正社員との比較は困難であり、民事裁判においても何が合理的理由がない差別に当たるかの判断を行うことが難しいことが懸念され、十分な検討が必要である。

しかし、パートタイム労働者法の枠組みを参考にした是正方策については積極的です。

職務の内容や人材活用の仕組みや運用などの面から正社員と同視し得る場合には厳格な均等待遇(差別的取り扱いの禁止)を導入しつつ、その他の有期契約労働者については、正社員との均衡を考慮しつつ、その職務の内容・成果、意欲、能力及び経験等を勘案して待遇を決定することを促す

という方向性を打ち出しています。

■均等待遇実現の具体的手法は

一般的な差別禁止の導入する際には、丸子警報器事件判決のように、8割の格差があれば、合理的でない差別であることを推定して、合理的な理由があることを使用者に立証責任を課すという案も考えられるでしょう。

また、パートタイム労働者の均等待遇調停会議による調停制度を一歩前進させて、有期労働契約均等待遇委員会をつくって、調停だけでなく、是正勧告ないし審判までできるようにする。これに不服のある当事者は、異議を申し立てて民事裁判で争うこととするという方法もあって良いのではないでしょうか。

この均等待遇委員会は、委員長としては法曹や行政官が座り、地域の労使から推薦された代表も委員として参加し、経営的観点からのアドバイスをする経営専門家も参与するようにしたらどうでしょうか。韓国にこのような制度があるようですが、韓国の実情は是非、調査をしてみたいところです。

■立法化への期待

最終報告では、立法化に向けた提言が出されるよう期待したいです。せめて、パートタイム労働者法の均等待遇程度は実現すべきでしょう。この場合には、労働契約法の改正ということになるはずです。

民主党のマニフェストに非正規労働者の格差是正と出ていましたし、また連立政権の政策合意書に、正規・非正規の格差是正と明記してありますから。

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2010年3月25日 (木)

労働者派遣法の改正 「常時雇用する労働者」の意味

■「常時雇用する労働者」とは

労働者派遣法改正は、「常時雇用する労働者でない者について労働者派遣を行ってはならない」と定めます。つまり、常用雇用労働者のみ労働者派遣をすることができる(大きな例外は専門26業務ですが)。

この常用雇用者については、業務要領には、有期雇用であっても、「過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者」で良いとされています。その結果、有期雇用派遣労働者が広く認められるものとなり、抜け穴として批判されるべき点です。

ところで、この点について、hamachanは次のような興味深い指摘をされています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-81ee.html

重要なことはこうです。

法律上の文言には、上記現行業務取扱要領の3つのどれかであれば「常時雇用」に当たるなどという規定はありません。「常時雇用」といえば、上記要領のいうように「雇用契約の形式の如何を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている」ということであり、それをこれから派遣事業を始めるという入口ではなく、雇止めされてしまったという出口において、どのように解釈すべきか、という問題は、答は出ていないということです。

少なくとも、入口で許可が必要か届出でかまわないかという判断のためだけに用いられてきた基準を、雇止めされたという出口でそのまま使えるかどうかについては、裁判所の判断はまだされているわけではありません。

■出口段階(雇い止め段階)での「常時雇用する労働者」の意義

hamachanによれば、派遣事業の出口時点、つまり、有期雇用派遣労働者が派遣元会社から労働契約を雇い止めをされて,単純に打ち切られた場合には、「事実上期間の定めなく雇用されている者」ではなかったということになり、違法派遣として派遣先に対して労働契約申し込みの見なし制度が適用されるということになると言うのです。なるほど。

確かに「事実上期間の定めのなく雇用されている者」である以上、派遣労働者は、雇い止めに対して解雇権濫用の法理(労契法16条)を類推適用されることになります。事実上期間の定めのなく雇用されているという事実関係は、解雇権濫用法理が類推適用されるという効果を生じさせます。

もし、裁判所ないし労働審判委員会が、「事実上期間の定めなく雇用された者」ではないという判断をすると、違法派遣として派遣先に労働契約申し込みみなしが適用されることになるということです。

では、「事実上期間の定めなく雇用されている者」ではないが、「雇用継続に合理的な期待を有している者」であると判断をした場合には、どうなるのでしょうかね。

前者は東芝柳町工場事件最高裁判決の類型、後者は日立メディコ事件最高裁判決の類型として異なる契約類型と解釈されてきました。そうすると、後者だと、事実上期間の定めなく雇用された労働者でないと言えそうですね。(ただ、裁判所は実質的には同一趣旨だとするでしょうが、・・・法文上ははっきししてません。)

また、いわゆる専門26業務の登録型派遣については、雇用継続の期待を肯定するという影響を与えることになるのでしょうか。法改正があったとしても、登録型派遣だと、最高裁いよぎんスタッフ事件判決のようにおよそ雇用継続の期待はないという考えは変わらないのかもしれません。

どちらにしても、裁判所あるいは労働審判委員会が、解雇権濫用法理を類推適用(事実上期間の定めのない契約だとした)上で、雇い止めが有効であるとした場合には、労働契約申し込み見なしの適用はされないということになるのでしょうね。

■国会審議

このあたり、裁判所の判断の前に、国会で、上記最高裁判決を念頭に置いた上で、「常時雇用する労働者」とは「事実上期間の定めなく雇用されている者」であるといことの確認、また、その具体的内容を確認しておくことが大変に重要な問題になりそうです。

このあたり、民主党など与党でなく(与党質問しそうになさそうだから)、野党の質問に期待したいところです。野党は、「常時雇用労働者を期間の定めのない労働者に限定すべきである」という要求だけの質問に終始しないように期待したいものです。

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2010年3月21日 (日)

「詭弁」と「陰謀史観」について

■陰謀史観

陰謀史観とは、歴史的な出来事の背景には何らかの陰謀があるという考え方です。典型的な例は、「太平洋戦争はルーズベルトの謀略である。アメリカ国民を第二次世界大戦への参戦に賛成させるため、あえて日本軍に真珠湾攻撃をさせた。」という手の考えです。このほか、ユダヤ陰謀論とかフリーメーソン陰謀論とかが有名な「陰謀史観」です。

■詭弁

詭弁って、広辞苑によれば「道理にあわぬ弁論。理非を言い曲げ、こじつけの弁論」ということだそうです。陰謀史観は、この詭弁の典型のように思います。

■陰謀ではなく、あやなすベクトルの合力では?

物事は一部の者の陰謀で進むほど単純なものではないのではないかと思います。

どちらかというと、様々な思惑をもったグループが各々がばらばらに動き、それが様々な方向のベクトルとなる。右へ向かうベクトルもあれば、左へ向かうものもある。中には、上や下に向かうベクトルもある。また逆方向の力もあらわれる。そのベクトルの合力が結果が、物事の進む方向になるということなんだと思います。もちろん、その背景には個々のグループの利害にからむ大状況(経済情勢、政治情勢)がある。(この大状況が、個々のグループを動かすんですって言うと、やっぱ唯物史観じゃと言われますかね。)

陰謀史観で何でもかんでも割り切ってしまうと、視野狭窄になり、変化する物事に対して新しい対応ができなくなるように思います。特に、「左翼小児病」と「陰謀史観」が結びつくと重症になります。

■左翼小児病

左翼小児病とは、広辞苑によれば「労働運動や革命運動で、極端な公式論に基づいて過激な言動をなす傾向」とされています。(以前、私のブログで触れました。http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2008/07/post_9f30.html)。

最近、左翼は流行りませんが、この傾向は左翼に限りません。ですから「原則論と理想論を振り回して机上の空論を好む傾向」(机上の空論病)と言えばよいように思います(もちろん私にもこの傾向が大いにありますが・・・)。

上記の<労働運動や革命運動>というところを、さまざまな「○○運動」と読み替えることが可能です。例えば、反・司法改革運動とか、環境保護運動とか、平和運動とか・・。

司法改革賛成論者の中にも、この傾向をもった人がいたことも否定しません。(仮に、法曹一元が獲得できると本当に思っていた人たちがいたとしたら、まさにこの「机上の空論病」にかかっていたというべきでしょう)。

■妥協と現実主義はいつの世も不人気

以前のブログで、ル・モンド・ディプロマティークの記事に掲載されたスペイン内戦で敗れた共和派の言葉を紹介しました。

 我々はすべての闘いで負けたが、いちばん美しい歌を歌ったのは我々だった

でも、すべての闘いで負けたくない凡人は、「詭弁」と言われようと、「妥協」と言われようと、物事が少しでも良くなる方向に希望をつなげるくらいしか考えつきません。

もっとも、原則論を強く唱えるグループが強力(内弁慶でなく、外に向けてという趣旨ですが。。。)でないと、良い妥協も獲得できないのも事実ですが(戦術的ベクトル論)。・・・ご都合主義で、すみません。

●追記

以上、何のことかわからない方で、もし知りたいと思う方がいたら、次のブログをご覧ください(長文です)。

http://inotoru.dtiblog.com/blog-entry-87.html

http://inotoru.dtiblog.com/blog-entry-86.html

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