2009年7月 3日 (金)

制度改革訴訟について

■法律時報81巻8号(2009年7月号)

「制度改革訴訟と弁護士の役割」が特集されています。トンネルじん肺根絶訴訟も弁護団の須納瀬学弁護士が報告しています。

http://www.nippyo.co.jp/magazine/maga_houjiho.html

なお、制度改革訴訟については、以前、政策形成訴訟として取り上げたことがあります。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/12/post_f6ee.html

■制度改革訴訟

早稲田大学の淡路剛久教授が社会運動という視点から次の論文で整理されています。

「被害者救済から権利拡大へ」
 - 弁護士による社会運動としての「制度改革訴訟」」

弁護士は、基本的には訴訟活動を中核とし、一方で、世論の支持を背景に、立証活動を通じて勝訴判決を勝ち取る努力をするとともに、他方で、メディアを通じた世論形成、政治家へのロビーイング、立法提案などにより、被害者救済の普遍化、すなわり権利化をはかり、さらに被害の再発防止の仕組みをつくろうとする。これらは訴訟活動であるとともに、「法運動」ないし「社会運動」である。

■制度改革訴訟の歴史

淡路教授は、歴史的に3期に分けて振り返っています。

第1期は、「1960、70年代に展開された四大公害訴訟などの公害訴訟、あるいはスモン訴訟などの薬害訴訟は、被害者の被害を権利として救済することを目指した訴訟・運動」であったとします。(ちなみに、四大公害訴訟とは、熊本水俣病訴訟、新潟水俣病訴訟裁、イタイタイ病訴訟、四日市ぜんそく訴訟です。)

第2期は、「1970、80年代を中心に展開された「新しい権利」訴訟・運動は、環境権、嫌煙権、静穏権、入り浜権、納税者権、そして各種の人格権などの「新しい権利」の生成と確立を目指す訴訟と運動であった」とします。

そして、第3期として、現在があるという整理です。特に、第3期の特徴として、個別の被害から出発して、その権利を実現して制度改革につなげる指向が強くなっていると指摘されています。

第1期の公害訴訟や薬害訴訟のたたかいは、私が弁護士にあこがれた主要な理由でした。大学でも、これらを学ぶための自主的な勉強会が複数あり、弁護士や当事者の話しを聞きに行くという企画もけっこうありました。

■労働訴訟への活用

なお、この制度改革訴訟の取り組みを労働訴訟でも活用すべきです。労働訴訟は、集団的訴訟も、どうしても単産とか、ナショナルセンター別のものになってしまいます。

もっと、争点別の訴訟を幅広く取り組んで社会的にアピールするということに力を入れることも必要です。現在は、メーリングリストやインターネットで、全国的な情報交換が可能です。

同じ争点をもつ事件ごとの情報交換も、全国的な弁護団組織(労弁とか、自由法曹団)のメーリングリストで容易になっています。これらの情報交換や弁護団組織の討議によって、同一争点の訴訟を一斉提訴するなどで工夫すれば、大きな取り組みになると思います。

現に、違法派遣に関する訴訟や、名ばかり管理職などの訴訟で既に実践されつつあります。

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2009年6月24日 (水)

日弁連労働法制委員会 濱口桂一郎さんの講演を聞く

日弁連の労働法制委員会にて、濱口桂一郎さんのEU派遣指令の講演を聞きました。

濱口さんは、講演の前半、EUでの労働法形成のプロセスを、それは楽しそうにお話しをされていました。1998年に濱口さんの「EU労働法の形成」を呼んで、労働弁護団の会報「季刊労働者の権利」に書評(というか、感想文)を掲載したところ、濱口さんの論文をお送りいただいたことを思い出しました。

EU派遣指令は、派遣労働利用の規制を緩和するとともに、派遣労働者と派遣先労働者の均等待遇を義務づけています。

私が、ヨーロッパがその方向に舵をきった理由・根拠は何かという初歩的な質問をしたところ、「ヨーロッパではここ30年、20年にわたり失業問題の解決が過大であり、とりわか若者の失業の解消が大きな政策目的であったから」と教えてもらいました。

均等待遇の対象労働者は、派遣先労働者であるが、ヨーロッパでは産別労働協約で賃金が格付けられているから、均等待遇が可能だが、日本では難しいのではないかという質問に対して、「賃金決定の基準やルールがない社会はない」、「日本でも各企業で賃金決定のルールがあるはずで、実際に決められるはず。」と応答されていたことは印象に残りました。

確かに、企業ごとに賃金体系は違うとはいえ、中途で従業員を雇い入れるときには、企業はなんだかんだといっても賃金を決定します。各企業ごとバランスを考えて決めています。私も使用者として、こういう場合の賃金を決めたこともあります。

ただ、日本の場合には、対象労働者は、正社員ではなく、契約社員(非正規)が比較対象となることが多いということが問題ですが。

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2009年6月14日 (日)

民法(債権法)改正と労働法(その3)

■日弁連 6.13 「民法(債権法)改正シンポ

内田貴教授(法務相経済関係民刑基本法整備推進本部参与)、潮見佳男教授(京都大学大学院法学研究科)を招いて、日弁連司法制度調査会の民法(債権法)改正シンポジウムが開催されました。

■事情変更による契約解除又は改訂請求権

今回の「債権法改正の基本方針」(別冊NBL126号)には「事情変更」を新たに立法することが提案されています(同書155頁)。

【3.1.1.91】(事情変更の要件)
<1> 契約締結に当たって当事者がその基礎とした事情に変更が生じた場合でも、当事者は当該契約に基づいて負う義務を免れない。
<2>ただし、事情の変更が次の要件を満たすときは、当事者は【3.1.1.92】の定める請求をすることができる。
<ア> 当該事情の変更が、契約当事者の利害に著しい不均衡を生じさせ、または契約を締結した目的の実現を不可能にする重大なものであること
<イ> 当該事情の変更が、契約締結後に生じたこと、かつ
<ウ> 当該事情の変更が、契約締結時に両当事者にとって予見しえず、その統御を越えていること

上記<2>の要件がある場合には、当事者は事情変更による契約変更を申し出ることができ、再交渉がととのわないときには、裁判所に契約の解除を請求(金銭調整も可)すること、または契約の改訂を求めることができる制度を創設するとしています。

【3.1.1.92】(事情変更の効果)

<1> 事情の変更が【3.1.1.91】<2>の要件を満たすときは、当事者は契約改訂のための再交渉を求めることができる。当事者は再交渉の申出を遅滞なく行わなければならない。
<2> 再交渉の申し出がされたときは、相手方は、交渉に応じなければならない。
<3> 両当事者は再交渉を信義に従い誠実に行わなければならない。

(甲案)
(4) 当事者が<2>または<3>に定められた義務に違反したことにより、または再交渉を尽くしたにもかかわらず、契約改訂の合意が成立しない場合には、当事者(ただし<2>または<3>に定められた義務に違反した者は除く)は、

<ア> 裁判所に、当該契約の解除を求めることができる。ただし、<イ>に従い裁判所により契約改定が合理的と認められる場合はこのかぎりでない。裁判所は、解除を認めるに際して、当事者の申し出た適切な金銭調整のための条件を付することができる。

<イ> 裁判所に、改訂案を示して契約の改訂を求めることができる。裁判所は、当該改訂案の内容が変更した事情および契約に照らして合理的であると判断するときにかぎり、当該改訂案に基づいて契約の改訂を命じることができる。ただし、裁判所は、両当事者から求められた改訂案の内容がいずれも合理的であると判断するときは、より合理的であると認める改訂を命じることができる

(乙案) 省略

■事情変更の効果は雇用契約(労働契約)にも適用される

午後の質問コーナーで、潮見教授に、「上記の事情変更の規定は雇用契約(労働契約)に適用されると思うが、債権法改正検討委員会では、労働契約法の制定過程で、厚労省労働政策審議会の研究会が労働契約変更請求権、変更解約告知について議論してきたことを参照にしているか」と質問しました。

潮見教授は、一般論としては雇用にも適用されることになること、労働契約法の制定過程での研究会の議論は承知していること、ただ雇用(労働)との関係については今後、さらに検討を深める旨の回答をされました。

事情変更の法理は、従来は、契約締結時に想定されていない特別な例外的な場合と解釈され、労働契約の場合には事情変更の法理はほとんど適用がないと考えられてきたと思います。だからこそ、労働法分野ではその代替策として、就業規則変更による労働条件変更、あるいは変更解約告知が議論されてきたのだと思います。

しかし、上記のように、民法にて、裁判所での事情変更による、契約解除+金銭調整、又は契約改訂権が制度化されれば、事情変更が認めれるケースは従来よりも格段に広がると思います。

この事情変更の効果規定が新設されれば、労働契約の場合にも、使用者が労働者に対して、想定外の事情が発生したとして、労働条件の変更の再交渉を申し入れ、再交渉がまとまらなければ、労働契約の解除(解雇)又は、契約の改訂を裁判所に請求することができるということになります。

この事情変更の規定の新設は、労働契約法にも大きな影響を与えることになると思います。仮に、この事情変更の法理(効果)が民法に導入されるとなると、労働契約法で議論された労働契約変更請求権や変更解約告知がまた再浮上することは十分に考えられます。

■「雇用」はいじらないって言うけれど

潮見教授は、労働契約については、民法に取り込まないで、将来は労働契約法に統合すると述べられていました。消費者契約法は自立支援を法理念とするが、労働契約法は労働者の保護を法理念としており、一般法である民法に統合するのは適切でないという趣旨のお話しをされていました。また、内田教授も、他の講演会で、雇用は現行法のままにするとお話しされていたと聞いています。

しかし、上記以外にも、労働契約に影響を与える部分は結構あります(公序良俗の暴利行為の規定の具体化、不実表示の取消、損害賠償の免責、債権時効、有期雇用契約の黙示の更新規定)。やはり、今後、注目していかなければなりません。特に、労働組合のナショナルセンターは見落としがないようにお願いしたいと思います。

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2009年6月 7日 (日)

読書日記 「21世紀の歴史」ジャック・アタリ著

作品社

2008年8月30日発行

2009年4月15日読了

(フランスでは2006年11月出版)

■空想社会科学小説

<超帝国>→<超紛争>→<超民主主義>の三題噺を中心とした、空想科学小説(SF)ならぬ、空想社会科学小説(SSF)です。

■資本主義の歴史「中心都市」の東から西へ 変遷

資本主義の歴史を、港から発達した「中心都市」が東から西に移り発展することを描いています。ブルージュ→ヴェネチア→アントワープ→ジェノバ→アムステルダム→ロンドン→ボストン→ニューヨーク→ロスアンジェルスと。現在、ロスアンジェルスは、インターネットに象徴される情報技術のもとで世界の中心都市となった。

ちなみに、1980年代、著者も、東京がこの中心都市になるのではないかと想像したが、結局は、そうならないと結論づけています。

しかし、実際には、日本は銀行・金融システムの構造問題を解決する能力がなく、また膨張した金融バブルを制御する能力にも欠けていることが、まもなく明らかになった。また、自国通貨である円の大幅な切り上げを回避することが、労働市場の流動化を図ることもできず、サービス部門や「ホワイトカラー」の労働生産性を向上させることもできなかった。特に、日本は世界中からエリートを自国に引き寄せることができなかった。そして、「中心都市」に求められる個人主義を推進することもなく、覇権国であるアメリカの呪縛から逃れることもできなかった。(114頁)

しかし、そのアメリカも終焉を迎えるそうです。ロスアンジェルスも2025年頃には終末を迎えるというのです。

■21世紀の中心都市

次の「中心都市」は、アジアにうつることが示唆されているが、具体的にどこかとの指摘はされません。ただ、日本でないことは間違いないようです。21世紀前半の日本について次のように記述しています。

将来的なテクノロジーに関しては抜きんでているとしても、個人の自由を主要な価値観にすることはできないであろう。また、日本を取り巻く状況はますます複雑化する。例えば、北朝鮮の軍事問題、韓国製品の台頭、中国の直接投資の拡大である。こうした状況に対し、日本はさらに自衛的・保護主義的路線をとり、核兵器を含めた軍事を増強しながら、必ず軍事的な解決手段に頼るようになる。こうした戦略は、経済的に多大なコストがかかる。2025年、日本の経済力は、世界第5位ですらないかもしれない。(146頁)

これに対して、二つの危機さえを回避すれば、「韓国は、新たな経済的・文化的モデルになり、その卓越したテクノロジーと文化的ダイナミズムによって世界を魅惑する。」と高く評価しています。その二つの危機とは、北朝鮮の崩壊による南北統一と北朝鮮との軍拡競争だそうです。

■独裁国家は70年を超えると崩壊する

中国については、中国共産党が崩壊すると断言しています。民主主義がない社会には市場が発展することがあり得ないことは歴史が証明している。今後、中国は共産党独裁が崩壊して内戦状態になり、軍事的な暴発(台湾侵略やシベリア侵略)に出る危険が高いとします。

2025年には、いずれにせよ中国共産党の76年間にわたる権力に終止符が打たれるであろう。(70年以上にわって権力を握り続ける政権は世界中どこにも存在しない)。

確かに、ソビエト連邦は1917年から1989年の72年間、日本の戦前天皇制独裁国家は1868年から1945年の77年間で、それぞれ崩壊していますね。

■<超帝国>と<超ノマド>

いずれにしても、市場民主主義が、アジア諸国にも拡大し、アジア諸国も多極化する。そして、世界は混沌とし、民主主義なき市場が世界を覆う。国境なき市場が生まれ、政府や国家さえ破壊する。これが<超帝国>であり、市場がすべてを制覇し、その市場を操るのが超ノマド=超帝国の支配者だと言います。この「ノマド」っていうのは「遊牧民」という意味だそうです。これに対するのが「定住民」、昔は農民だが、現代では福祉国家の国民たちということです。

超ノマドとはクリエーター階級(未来企業の戦略家、保険会社や娯楽産業の経営者、ソフトウェアの発明者、金融業者、法律家、デザイナー等々)です。

この<超帝国>に対する<超紛争>が起こると予想します。国家自体が崩壊し(ソマリアやイラクみたいに)、膨大な下層ノマドが生み出され、「海賊」が世界中に横行する。そして想像を絶する兵器を使っての世界中で紛争を起こす。

■アーサー・C・クラークばり

このあたりからは先は、アーサー・C・クラークのSF小説「2061年宇宙の旅」、「3001年宇宙の旅」を読んでいるようです。確か、イタリアで宗教団体による核爆発テロがあったというストーリーがありあました。

しかし、著者は、大まじめに<超帝国>の出現と、<超紛争>の凄惨な地獄絵のような世界の招来は不可避であると予言しています。そこで、人類の滅亡を避けるためには、人々は<超民主主義>を生みだし、調和的な世界を築かなければならないと言うのです。

最後に、「人類は自滅から逃れられるか?」と次のようなに述べます。

現在、市場資本主義は、「資本論」の著者がほぼ予想したとおりの道筋を歩んでいる。一方で、社会主義は、マルクスが警鐘を鳴らした袋小路に迷い込んでしまった。また社会主義では、持続的な自由の保障、幸福、多様性、公正、人間の尊厳を担保することが不可能であることが判明した。現在では社会主義を再考することさえ時間の無駄であると思える。(284頁)

(しかしながら、…)現在、我々は前述のかの社会主義者と同様に、信念に基づいた行動を我々の未来のためにあえて起こす必要がある。(285頁)

ジャック・アリタは、フランスの社会党政権・ミッテラン大統領の特別補佐官を務めた政治家で、1991年にはヨーロッパ復興開発銀行の初代総裁になったという人物です。1943年生まれで今年63歳だそうです。キリスト教的な世界観、最後の審判、メシアの登場、千年王国っていう感じです。

この本はフランスでは2006年に出版されており、2008年9月以降の世界金融崩壊の前に書かれています。

■暗い21世紀 

この本に書かれたように、21世紀は<超紛争>の時代になるのかもしれません。ソマリアやイラクのように国家が崩壊する地域が、アフリカ、中東、中国に多数出現して、海賊や山賊らが跋扈する悪夢の世界。環境破壊による資源や食糧争奪戦が勃発し、核テロもきっと起こるという暗い予想に満ちています。

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2009年6月 1日 (月)

人間らしい労働と生活を目指す日弁連決議に反対する裁判員裁判反対派の面々-「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」

■5月29日日弁連第60回総会での出来事

日弁連は今年、60周年を迎えるので、司法改革について決議をあげました。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/ga_res/2009_1.html

裁判員裁判に反対派(高山俊吉先生とお仲間たち)は、この決議には絶対反対です。少人数ですが、結構、大きな声と汚いヤジをとばしますので、総会騒然という感じですね。まあ、反対派が自由に発言するのは弁護士会が健全な証ですけど。

■もう一つの決議にも反対

驚いたいたのは、もう一つの決議にも反対したことです。

もう一つの決議とは、「人間らしい労働と生活を保障するセーフティネットの構築を目指す宣言」というものです。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/ga_res/2009_2.html

この決議は、要するに現状を踏まえて次の3点について、今後、弁護士会の重要な課題とすることを宣言するものです。

①労働、社会保障、教育などの社会政策をについて積極的に提言すること

②労働と生活の問題の総合的な相談窓口を弁護士会が設置し、行政・自治体連携すること

③民事法律扶助制度の抜本的改革を目指すこと

■裁判員反対派はこの決議にも反対

裁判員裁判反対派の方々は、上記決議にも反対意見を述べて、討議打ち切り動議に対しても野次と罵声をあびせていました。

裁判員裁判反対派の方々にとっては、この日弁連決議の内容は、新自由主義と小泉・竹中流の構造改革派に対する厳しい批判をすることなく、単にセーフティネットでごまかそうとしているものなのだそうです(シャミンの偽善者ってわけですな!)。欺瞞に満ちた内容なので反対するのだそうです。

裁判員裁判反対派の弁護士は、次のような、立派な革命的気概に満ちあふれた炎のごとき反対意見を述べられダラ幹たちを批判されておいででした。

この先生曰く、

資本主義300年の歴史の中で、最大の危機を迎え、まさに今、資本主義が崩壊しようとしてる。ル・モンドでさえ、革命を礼賛している時代なのに、そのような認識をまったく持っていない日弁連の決議はごまかしでしかないのだ。

このル・モンドの記事ってこれですね。

「革命を讃える」
セルジュ・アリミ(Serge Halimi)
ル・モンド・ディプロマティーク編集総長
http://www.diplo.jp/articles09/0905.html

弁護士会って、弁護士全員が加盟しなければならない強制加入団体である公的団体です。ですから、特定の政治的・社会的価値観に立て!というのは、もともと無理があります。任意団体である自由法曹団とか、青年法律家協会とはちがうのですから。任意団体であれば、仲間内の好きな理念や価値観を自由勝手に言っていれば良いのでしょうが。

仮に、心底に革命を目指したいなら、「なんとか実現党」でもつくって自由に弁護士会の外で政治活動でもされれば良いのにねえ。弁護士会に、自分の特定の政治的価値観を押しつけて、それに賛成してもらえないから反対するって、何だか、おかどちがいというか、大人げないように思います。

大声をあげて、この決議に反対する裁判員裁判反対派の言動を見ながら、全国にたくさんいる裁判員裁判を反対する弁護士、自由法曹団や青法協の中にいる強硬な裁判員裁判反対派の弁護士さんたちが全部が全部、まさか、彼ら・彼女らと一緒の考えじゃないとは思うのですけど・・・・きっと。

裁判員裁判に賛成する日弁連執行部の言うことは何でも反対する、ということなのでしょうか。まさに「坊主憎けりゃあ袈裟まで憎い」っていうわけです。

上記のル・モンド・ディプロマティークの記事にスペイン内戦で敗れた共和派の言葉を紹介してます。

我々はすべての闘いで負けたが、いちばん美しい歌を歌ったのは我々だった

古今東西かわりなく、サヨクって、下手な歌でもできるだけ多くの人が歌うことで多数派を目指すことよりも、誰が最後まで純粋に教義をまもっていたとか、あるいは、誰が一番、美しい歌を歌っていたかの方が重要なのですね(まあ、ロマンチックだこと)。

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2009年5月31日 (日)

民法(債権法)改正と労働法(その2)

■NBL別冊126号 債権法改正の基本方針

以前に、民法改正と労働法の関連でコメントしましたが、その後、ずいぶん状況が変わったようです。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2009/01/post-7211.html

民法(債権法)改正検討委員会がとりまとめた「債権法改正の基本方針」が発表されました(NBL別冊126号)。

上記改正検討委員会の事務局長・法務省民事局参与である内田貴教授によれば、この検討委員会は「学者の有志によって自発的に組織された全くの私的な研究グループであり、今後に想定される法制審議会でのオフィシャルな立法プロセスで参照されるべき資料の一つに過ぎない」だそうです(旬刊金融法務事情1867号)。しかし、周知のように、同検討委員会の事務局には法務相民事局付のメンバーが大量に入っており、単なる私的研究会と言われて真に受ける人はいないでしょうねえ。

内田教授は、どこかの弁護士会での講演で、「雇用の部分については今回の改正では触れない」と明言していると聞きました。しかし、それでも今回、発表されたものをみても労働法の重要な部分とかぶるところがあります。

■期間の定めのある労働契約の黙示の更新

一つは、日経でも報道された期間の定めのある労働契約の更新です。別冊NBL126号によれば、この点ついて次のように改正されるそうです。

雇用の期間が満了した後、労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件(期間を除く。)で更に雇用をしたものと推定する。

現行法は次のようになっています。

(雇用の更新の推定等)

民法629

 雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第627条の規定により解約の申入れをすることができる。

現在の労働法の通説や下級審裁判例では、更新した後も有期雇用契約になると解釈されています。法文上は、現行法が「同一の条件で更に雇用をしたものと推定する」としているので、同一の条件には、期間も含まれるということになります。

ところが、今度の改正では、(期間を除く。)とわざわざ明記することになるので、無期契約となります。そのように解釈するのが我妻民法です。ただ、そうなると、労契法16条の解雇権濫用法理がそのまま適用されることになります。我妻民法時代は、未だ、解雇自由の原則の時代ですから、随分状況が違います。

NBL別冊126号の解説を読んでも、労働法との接合は何ら触れていませんでした。まあ、労働者にとっては、有期よりも無期のほうが有利ですから、それで結構なわけですけれど、100年降りの民法改正作業という一大事業のわりは結構、無造作ですね。

■賃金請求権の消滅時効の延長

あと、債権の消滅時効もそうです。

何だか、債権の消滅時効の短期消滅時効を廃止して、3年だか5年に統一する案が出されています。

現在、周知のとおり、賃金請求権の民法上の消滅時効は1年です(民法174条)。これを労働基準法は、労働者保護の趣旨で、2年に延長しています(労基法115条)。労基法は労働条件の最低基準を設定した労働者保護法ですからね。

ところが、民法で債権の消滅時効を3年とか5年に延長した場合には、労基法も3年や5年に延長しなければならなくなります。なぜなら、労働者の最低労働条件を定めた労基法が民法よりも短い時効期間を定めるなんて背理ですから。

したがって、民法の消滅時効期間を延長するなら、労基法の消滅時効を民法にあわせて延長しなければなりません。これも労働者にとっては大歓迎な改正です。しかし、企業は猛反対するでしょうね。

■債務不履行責任の客観化と安全配慮義務

また、債務不履行責任についても、過失は廃止して、契約違反を中心に再構成するとの提案が出されています。労働法分野では、安全配慮義務についても影響が大です。

などなど、民法改正は要注目です。労働法に大きな影響を与えるようになると想います。

6月13日には日弁連も民法改正のシンポジウムを予定しています。

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2009年5月28日 (木)

ノ・ムヒョン弁護士の死と「民弁」

■民主社会のための弁護士会(韓国)

ノ・ムヒョン氏は、韓国の民弁(民主的な社会のための弁護士会)のメンバーです。日本で言えば、自由法曹団、あるいは労働弁護団という感じだと思います。

「民弁」をはじめて知ったのは、15年ほど前でしょうか。労働弁護団の故藤本正弁護士が韓国に訪問して、労働争議を支援する弁護士団体があると興奮気味にお話しをされたのを聞いたときです。

当時は、韓国政府は労働組合を弾圧していた。韓国の労働法は、一つの企業の中でも、A工場の組合がB工場の組合の争議を支援すると刑罰を課されるということでした。

韓国の争議に対する刑事弾圧に民弁の弁護士が弁護に奔走していることを藤本先生から聞いたものです。

ドイツで言うと、IGメタルの顧問弁護士みたいな感じでしょうね。ドイツに行ったとき、IGメタルに訪問したとき、通訳してもらったドイツ留学していた労働省関係の方が、「ドイツでIGメタルって、日本でいうと赤旗っていう感じの左翼です」って言っていました。

■それから、ノ・ムヒョン大統領

しかし、それから15年経過した2008年に韓国を訪問したとき、「民弁」の弁護士はソウル弁護士会の会長になったと聞きました。まったくメジャーの団体になっていました。

ノ・ムヒョン弁護士は、高卒だそうです。独学・苦学して、日本と同じように「現代の科挙」と言われる「司法試験」に合格し、しかも、「ブル弁」や「町弁」になるのではなく、「民弁」に参加した労働弁護士です。そのような弁護士が大統領になった聞いて、時代は変わると感銘を受けました。ちょうど、オバマ大統領の誕生と同じような印象でした。

そのノ・ムヒョン前大統領が非業の死。

妻や家族が大金をもらっていたことは事実のようです。

ノ・ムヒョン氏がそれを大統領当時、知っていたいのか否かが、韓国の法廷で争われることが予想されていました。そんな中の自殺・・・・。何があったかは、すべて藪の中です。

ノ・ムヒョン大統領誕生のニュースを聞いて感銘を受けた私としては、ノ・ムヒョン氏の無念を想い、彼の冥福を祈りたいと思います。

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2009年5月21日 (木)

定年制は、定年までの有期雇用?

■正社員は、定年までの有期雇用か?

いわゆるわが国の正社員の「終身雇用」って「定年までの有期雇用」という考え方(おそらく比喩)という説明があることを知りました。

実は、私も大学生のころ、定年制が定まっているのに、何故、期間の定めのない契約なのかって、とても不思議に思ったことを覚えています。

当時、次のように考えて、自分としては納得しました。

■期間と期限

民法に期間と期限、条件について定められています。期間は、1時間とか、60分とか、30日とか、1年という一定の時間を定めたものです。そして、その期間の計算方法は、民法138条から143条に厳格に定められています。

他方、条件と期限について、民法127条から137条に定められています。そして、条件とは将来の事実であるが、生じるかどうかが不明な事実である。期限は、将来の事実であるが、必ず生じる事実である、と定義されています。

ということで、年齢65歳を定年とするというのは、あくまで期限を定めたものであって、期間ではないということになります。

■40年間と雇用期間を定めたらどうなるのか?

他方、25歳の労働者を雇用するときに、「40年間にわたり雇用する」と契約すれば期間を定めた労働契約ということになるのでしょう。ところが、民法626条1項は、雇用期間が5年を超えた場合又は終身続くと定めた場合には、5年を超えたらいつでも自由に解約できるとしています。

労働基準法14条は、ご承知のとおり、労働契約期間を原則3年としています。で、これに反した期間は、労基法の強行的効力により、3年と規制されます。

というわけで、65歳になったら労働契約を終了すると定める定年制は、期間の定めのある労働契約ということは民法や労基法の規定上、間違いということになると思います。

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2009年5月20日 (水)

裁判員制度と企業の労務管理セミナー

■東京都労働相談情報センター池袋事務所にて

5月19日、使用者向けセミナーとして、「裁判員裁判と企業の労務管理セミナー」で同テーマについて講義をしてきました。

http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/ibento/kyoiku/seminar/09003/index.html

100名くらいの企業の人事担当者の方々が参加されていました。盛況なのにおどろきました。労基法7条、裁判員法100条など基本的なことを解説しました。2時間のうち3分の1は、刑事裁判手続(無罪の推定の原則や検察官の立証責任)や、裁判員裁判の趣旨を話しました。そして、労働者が裁判員になった場合に、企業がどう対応すべきか、次のようなQをたてて話しました。私もこのテーマで話すのははじめてでした。

【Q】選任手続で、当社の労働者は、午前中で終了しました。にもかかわらず、午後、会社に戻らず、帰宅してしまいました。このような場合には、当該労働者を無断職場放棄として懲戒処分してもよろしいでしょうか。
【Q】派遣社員が裁判員で休むと言ってきました。認めなければならないのでしょうか。この場合に使用者は派遣先ですか、それとも派遣元でしょうか。
【Q】有給休暇の取得などの計算にあたって、裁判員裁判で欠勤した日を出勤したものとみなさなければならないのか。
【Q】賞与の出勤率の計算では、裁判員として欠勤した場合に欠勤控除して良いか。
【Q】労働者が裁判員裁判への出頭等の理由を会社に届け出ることは問題ないか。
【Q】裁判員裁判で休むという労働者に対して、裁判員になった証明書を見せろと言ったところ、裁判員法101条で禁じられていると言われたが、呼び出し状や証明を要求してはいけないのか。
【Q】わが社で、鈴木君が初めて裁判員裁判に選ばれました。社長が朝礼で、鈴木は裁判員になって、休むが、立派に務めを果たしてきて欲しいと激励をしたいと言っています。許されますか?
【Q】
裁判員裁判にて欠勤した場合に賃金を支払わなければならないのか。
【Q】当社では裁判員有給休暇制度を定めましたが、裁判員として裁判に参加した証明書の提出を義務づけたいと思いますが、証明書を裁判所は発行してくれるのでしょうか。
【Q】当社では裁判員の有給休暇制度を定めたのですが、労働者は裁判所から日当が出るそうです。有給なので、その日当を会社に納めろと請求しても良いでしょうか。
【Q】また、会社から有給をもらう労働者が日当を得るのは二重取りで許されず、日当は国に返還すべきと思いますがどうでしょうか。
【Q】
裁判員裁判で休暇を申し出た労働者に対して、業務の都合上で裁判員裁判を辞退するようにと指示することができるか。

【Q】労働者が裁判員で裁判所に出頭すると言ってきたので、年次有給休暇の申請をしろと命じたいと思いますが、問題ありませんか。

今日、使用したレジュメです。

「saibanintoroumukanri.doc」をダウンロード

■生協労連の「裁判員休暇制度」の労使協定書

ちなみに、裁判員の特別休暇制度の就業規則もテーマになりました。生協労連が「裁判員休暇制度」の労使協定書(労働協約)の案をインターネットで発表しています。大変に参考になりますので、次をご覧下さい。

http://cwu.jp/assertion-cms/files/2008/11/seisaku_014.pdf

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また、弁護士安西愈先生の「社員が裁判員に選ばれたらどうするか?」(労働調査会)を参考にさせていただきました。

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■無罪の推定

ちなみに、無罪の推定を説明をしたときに使用した図です。これは被告人・弁護側と、検察官を天秤にのせて、どっちの言い分が正しいかを考えるというのでは無罪の推定ではありません。最初から、被告人が無罪というように天秤は傾いています。他方の天秤に検察官が正しい証拠を積み重ねていき、被告人・弁護人が批判をしても、十分な重さがあるかどうかを見極めるのが裁判員の仕事というわけです。

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2009年5月16日 (土)

労働法学会中止!

神戸市(神戸大学)で予定されていた、今週土日の労働法学会大会が中止です。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jlla/

例の豚インフルエンザの人・人感染の疑いが理由のようです。大会の中止は、本当に、残念です。

【蛇足】

この件につき、ある弁護士は、「労働法学会中止は、偽装請負などを課題とするシンポがあったので、当局の弾圧じゃないか」と主張しています(たぶん、ジョークだと思う)。私は、そこまで全く考えが及びませんでした。

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2009年5月11日 (月)

読書日記「共生経済が始まる」 内橋克人著 朝日新聞社

内橋克人氏の新著作です。市場主義市場主義を早くから批判してきたジャーナリストです。規制緩和という悪夢、悪魔のサイクルなど、10数年前からの批判を続けてきました。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/10/post_0ef8.html

■いざなぎ超えの好景気で太ったのはグローバルズだけ

グローバルズは、日本型多国籍企業のことです。

今では、トヨタ自動車が内部留保(利益剰余金)約12兆4100億円、キャノン約2丁9000億円、ソニー約2丁6000億円など見事なまでの巨資を有しています(いずれも08年)。また、グローバルズの海外現地法人の内部留保として積み上げた残高は17兆2000億円以上(06年度)。日本国内に還流させず、海外に滞留させたままの資金がまた巨額にのぼっている姿に驚かされます。

好調とされた景気のさなか、輸出は年率平均で11.4%も伸び続けましたが、国内の個人消費はわずか1.5%の伸びにとどまり、雇用者報酬(賃金と企業内福祉の合計)にいたっては逆にマイナス0.3%に終わった。雇用者報酬の減少は総額で2兆円にも達しているのです。

一言で言えば、「いざなぎ超え」景気で太ったのはグローバルズだけ。ローカルズも家計もともにやせ細った。

■二重構造

一人当たりの人件費にみますと、大企業とそれ以外で次のようにあまりに大きな格差が生まれています。一人当たりの人件費(年間平均)でみなすと、こうなっています。

大企業(資本金10億円以上)-740万円
中小企業(1000万円~1億円)-380万円
零細企業(1000万円以下)-280万円
(2003年度「法人企業統計年報」)

軽視できないのは、中小零細企業の従業員が全体の72%以上も占めていることです。

■共生経済とは?

著者が提言するFEC自給圏は、フーズ、エナジー、ケアを形成する考え方です。地域(ローカル)に根ざした浪費亡き成長をです。あまりに理想主義的に思えます。「菜の花」経済圏などの「匍匐前進」の地域共生経済に期待をかけています。

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2009年5月 8日 (金)

検索ワード・フレーズの集計

アクセス数が22万件を超えました。ありがとうございます。

ニフティのココログは、検索ワード・フレーズを集計することができます。この4ヶ月間に検索ワード・フレーズの多い順を見ると、次のようになっています。

1 水口洋介   234
2  宮本太郎    87
3  民法改正   75
4  労働審判 判例 63
5  マッキャンエリクソン事件 62
6  小嶌典明  57
7  水口洋介弁護士  55
8  債権法改正 52
8  マクドナルド事件  52
10 法曹人口 38
11 大竹文雄  37
12 証人尋問 民事 36
13 日本マクドナルド事件35
14 政治資金規正法 30
14 自殺率 国際比較  30
16 黙示の労働契約 29
16 堀尾輝久  29
18 解雇 裁判28
19 労働三法 27
19 会社分割 在籍出向  27

私の名前を検索する数が多いです。これは私が会った多くの人が、私のブログを見ているということですね。ときどき、「見てますよっ」て声をかけられることもあります。

何故、時間をつかってまで、実名でブログを作成するのかを改めて考えてみました。何よりも、文章にまとめてみると、自分の考えが整理されるというメリットがあります。日記につけるのでは、面白みがなく、長続きしません。ブログにアップして公表することで、アクセスや、反応があることで、モチベーションがあがります。

また、自分の考えを記録しておく備忘録にもなります。何か考えをまとめるときの出発点として使えます。例えば、労働法学習会のレジュメや原稿を書くときの素材にしています。数年前の自分の書いたものを読むのも一興です(もっとも、進歩がないなあと思うことの方が多いですが)。

実名を出すのは、一応、真剣に文章をつづらざるをえないということでしょうね。それでも、つたない文章で、ご批判を受けることも多いですが。

実名ブログについては、久米伸行氏の次の記事が面白いことを紹介されています。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20080408/298256/?ST=system&P=1

アメリカでは、HPやブログは実名を明らかにして書くのが一般的。人に会うときは、まずHPやブログを検索してから会うのがビジネスでは当たり前で、ブログをもっていない場合には存在しないのと同様だとされるというのですから、驚きです。まさに、アメリカ的です。

ちなみに、宮本太郎教授が検索ワードの二番目になり、私のブログにくる人が多いのには、びっくりします。

宮本教授にふれたブログ記事は、確か1、2件だけなのですが。例の朝日新聞や週刊誌報道で、宮本教授の父親が著名な方だったと報道された波及効果なのでしょうかね。マスコミで話題になる方は、それだけインターネットで検索されるということなのですね。

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2009年5月 3日 (日)

「百年に一度」の大不況 への違和感

■1929年世界恐慌は80年前

現在の世界的不況について、「百年に一度の大不況」と良く言われています。でも、このフレーズには違和感があります。

1929年の世界恐慌は、100年前でなく、80年前の出来事ですよね。百年に一度って、世界恐慌より、今回の大不況の方が深刻だということが含意されているように思います。

でも、現在の大不況は1929年の世界恐慌より深刻な状況なんでしょうか。少なくとも現時点では、そこまでの悲惨な状況にはなっていないようです。(もっとも、今後、さらに悲惨な状況におちこむのかもしれませんが・・・・)

1929年の世界恐慌は、その後、ブロック経済、ファシズム、第二次世界大戦と、全世界を破局まで引きづりこみました。今回の「百年の一度の大不況」って言う人は、そのような事態を予測して言っているのでしょうか。そう発言する人も、そこまで覚悟して言っているようにも思えません。

■政府と経営者の便利な言い訳

「百年に一度」ってフレーズは、大企業経営者や政府の言い訳になっているんじゃないでしょうか。「百年に一度の大変なことなんだから、どうしようもないですよ。私のせいじゃない。」というエクスキューズのようです。

そもそも、資本制経済(市場経済)なんて、不安定なんだから、不況と好景気があって当たり前なのです(それが発展の原動力でもあったりします)。恐慌が繰り返されることも、ごく自然なことなのでしょう。経営者と政府は、「百年に一度あるかないかの大不況」なんて言い訳などしてないで、しっかりやるべき対策をしろって言いたいですね。

他方で、「それみろ。資本主義はやっぱりダメだ。」って、左翼的に、はしゃがないように自制したいと思います。

■雇用と福祉に関する「社会的合意」の形成

当面の失業・貧困対策のための緊急対策の実務的取り組みを強めながら、今回のような構造的な不況が続いても、失業や貧困に陥らないような雇用システムと福祉システムの社会的な合意を形成し、その合意内容を実現していくべきなのしょう。

その社会的な合意がなかなか・・・

正規労働者と非正規労働者の対立をあおって、またぞろ「解雇を自由化しろ。」なんて言う人が復活しつつあるようです。彼ら・彼女らは、「同一価値労働同一賃金の原則の実現こそが重要だ」なんて付加価値をつけてヴァージョンアップしています。目くらましにあう人も出るのかもしれません。(株主と企業経営者こそが「痛み」を負担しろってならないのが不思議です。)

合意の内容(政策)で一致すれば、今の政治的条件の下では、合意成立は可能のように思います。問題は、その合意内容をすりあわせるのが難しいのでしょうね・・・

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2009年5月 2日 (土)

野川忍著 「労働判例インデックス」 商事法務

明治大学法科大学院教授の野川忍先生から、「労働判例インデックス」をご送付いただきました。

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労働訴訟実務において、周知のとおり、労働判例の果たす役割は大きい。下級審判例の個々の結論はともかく、裁判官の思考枠組みを規律しているように思います。

160件の代表的な判例、かつ最新の判例を載せています。

このようなハンディなものとして、労働判例百選があります。私が今、持っている最新のものは、第7版ですが2002年発行です。最近は、重要な判決、しかも高裁、最高裁レベルのものが目白押しです。新しい判例を網羅したこの本は便利です。

判例のポイントのみを見開き2頁で示し、図解もあります。さらに、便利なのは、「さらに理解を深める」というコーナーで、野川先生の労働法だけでなく、菅野本、西谷本、水町本の教科書のページまで指摘してあります。

最近の労働法学習する学生は便利になったものです。何だか手取り足取りのような気がします。昔は、難解な教授の本を読んで、判例時報を読んだり、自分でサブノートを作ったり、図解をしたりするのが司法試験の勉強だったんですけどねえ。

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2009年5月 1日 (金)

読書日記「小林多喜二-21世紀にどう読むか」ノーマ・フィールド著

岩波新書2009年1月20日発行 4月30日読了

■メーデーの日に

新書だと、長くても2、3日で読んでしまうのですが、この本を読了するのに約1ヶ月かかりました。

でもって、今日はメーデーということで、記念に「蟹工船」を青空文庫からダウンロードして印刷し往復の通勤電車の中で読みました。高校生のときに読んで以来です。

■ノーマ・フィールド本は

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教科書的な知識しかなかった小林多喜二について、その人間性に触れた気持ちになりました。

銀行員であったことは知っていましたが、貧しい境遇から叔父の援助をうけてエリートコース(小樽高等商業学校)にのり、北海道拓殖銀行に入行したことは知りませんでした。

■タキと多喜二

何よりも驚いたのは、銀行員になった21歳のときに、「ヤマキ屋」という小料理屋の酌婦である田口瀧子(タキ)と知り合い恋におちて身請けまでしていることです。酌婦といっても、要するに売春婦であったということです。その小料理屋に行ったのも、どうやら「まれに見る美女がいる」との話しにのせられて遊びにいったようなのです。

小林多喜二は、彼女に熱烈に手紙を書き教育を与えようとして、とうとう身請けして、結婚まで申し込んでいる。ノーマによれば、瀧子は、小林多喜二の名誉のために身を引いたということのようです。

天皇制を否定する「アカが嫌い」だったとの説もありますが、瀧子は、「そうではない。」と戦後になってきっぱり否定しているそうです。瀧子曰く「共産主義がどういう思想なのか研究することもなかったし、必要もなかった。小林が悪いことをするはずがなかった。絶対的に信用していた。」と述べたそうです。

■小樽第2回メーデー

小樽では1927年第2回メーデーが開催され、参加者は約3000人と東京以北最大規模なものだったそうです。小樽では、激烈な富良野の磯野小作争議、小樽港湾争議があった。どうやら、小林多喜二は、拓殖銀行に勤めながら争議に参加して生き生きと活動したようです。

■蟹工船

久しぶりに蟹工船を読んでみて、昔のように冷笑的にはなりませんでした。田舎くさい演出だと思った箇所も、ノーマ・フィールド本を読むと、小林多喜二がいかに労働者が小説を読んで自分の生活を描いているのかと思わせるように、こころを砕いていたことを理解できた気がします。

確かに、お高くとまっている風情はありません。露骨な「猥談」も書かれています。劇画的な筋立てて、クライマックスとラストが単純だが力強いことは間違いありません。きっと、昭和初期の労働者たちにうけたのでしょう。

その小林多喜二のアピール力を恐れて、日本警察は僅か一日で拷問で殺したのです。

■あまり「ゴリゴリ原則的」でないところがよい

小林多喜二は、共産党員によく見られるゴリゴリの原則論者ではなかったようです。警察に捕まった労働者(登場人物)に次のように語らせているそうです。

「お前ら達幹部みたいに、警察さ引っ張られて行けば、それだけ名前が出て偉くなったり、名誉になったりすんのと違うんだ」

■今もある「蟹工船」的職場

小林多喜二が描いた蟹工船の職場は今の日本にもあります。

それを一番感じるのは、日本まで来て働いているブラジル日系人の労働相談を受けたときです。いわゆる3Kの職場。食肉、弁当、飲料、菓子などの工場(それぞれ東証一部上場企業の立派な大工場。名前を出したいくらいです。判決文になったものは後で公表しましょう。)で、彼ら・彼女らは労災に罹災しています。おまけに偽装請負です。

安全装置を停止した食肉処理機にまきこまれて右腕に重症を負う女性労働者。フォークリフトの荷物運びに巻き込まれて怪我をする男性労働者。フォークリフトの回転にあたって転落して頸椎損傷を受けた男性。多くの人は日本語は片言しかできません。彼ら・彼女らへの安全教育や安全対策が行われていません。日本の安全教育テキストを、ただローマ字のフリガナをつけて配布して読ませている。ポルトガル語に訳されたのかと思うと、ただ日本語をローマ字表記しているだけなのです。「読めても、日本語がわからない」と彼らは言っています。これが日本の現実です。

裁判にすれば、あたかも、「詐病だ。わざと労災を起こした。」などと主張をする経営者側弁護士たちがいます。日系人に対する差別意識丸出しの先生たち。まあ偉そうなことったらありゃしねえ。みんな東証一部上場企業の顧問弁護士。お偉い「ブル弁」先生たちです(小林多喜二ならそう言うしょうね)。

まさに、「蟹工船」的世界です。

日本人の非正規労働者も同じ境遇なのでしょう。このことは、小樽商科大学の蟹工船読書感想文コンクールにあらわれています。(私たちはいかに『蟹工船』を読んだか。)51wfyk8dyyl_ss500_

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■個別労働紛争から集団的労働紛争への回帰。労働運動の再生へ

世界恐慌に比較されている今回の大不況。

個別労働紛争の法論理だけでは、この大波は乗りこえられないのではないでしょうか。整理解雇の4要件であろと、4要素であろうと、世界恐慌並みの不況となれば労働者に不利です。

個別労働関係の法理では、限界があります。これから「労働者の団結と連帯の力」こそ求められる時代になったと思います。

小林多喜二は、何よりも非正規労働者の若者らに「蟹工船」が読まれていることを喜んでいることでしょう。

特高に殺された彼への最高の贈り物です。

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2009年4月30日 (木)

「教育は子どもたちのために」4.25集会(2) 藤田英典教授

(続き)

国際基督教大学の藤田英典教授(教育学)のお話しで興味深かったのは次の2点です。

■「ゆとり教育の変質」と学校週二日制

1980年から始まった「ゆとり教育」は、1992年の学校週五日制の導入を契機として変質した。労働時間短縮を正当化のために、「ゆとり教育」の「新しい学力観、学習観、評価観」が活用される。その結果、「短い時間と少ない努力で力がつく」と主張することになる。塾に行かない、「学校でしか勉強しない、できない子どもたち」が軽視・放置される。

学校週休二日制について、こういう捉え方もあるのか、と思いました。以前、高校時代で教師をしている有人に学校週休二日制導入について疑問を呈したら、「労働弁護士のお前までそんなことを言うのか」と批判されたことを思い出しました。

今の小学生の半数は、学校以外に勉強しないという時代だそうです。そういう現状に週休二日制とすると、教育格差が広がるのは間違いないということでしょうね。

対策としては、学校の週休二日制をもとにもどすということなのでしょうか?

■習熟度別学習

全国学力テストの結果を見ると、習熟度別学習の成果は確認できないと言います。

他方で、日本とフィンランドのPISAの試験結果を比較すると、日本では、読解力についてレベル1という低学力層が2000年と2003年と比較すると10%から19%と倍増している。フィンランドは6.9%から5.7%と減少している。

数学の高学力層であるレベル6は、日本は2003年の8.2%から2006年の4.8%と半減してしまった。ふぃんらんどは、6.7%と6.3%と変化はほとんどない。

フィンランドは、日本より高学力層は多く、レベルは高いし、低学力層は少ない。それはなぜか?

フィンランドは、1980年代半ばから、習熟度別学習の廃止と少人数のきめ細かな指導を実施をしてきた。

習熟度別学習は、学力差を固定化するだけ。それよりも必要なのは、少人数のきめ細かな指導だ。

ちょうど、翌日の朝日新聞4月26日の朝刊で、文部省の調査では、「習熟度別少人数授業」についての調査でも、導入しさえすれば効果が出るものではないとの指摘が報道されていました。

教育って、教師も、親も、子供らもなかなか大変です。

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2009年4月25日 (土)

「今こそ声をあげよう!教育を子どもたちのために」4.25集会(1) 本田由紀教授コメント

■教育の自由に関する集会です

ノーベル物理学賞の益川敏英さんをよんでの集会でした。九段会館で1400名を超える参加者で盛会でした。「靖国神社が近いので右翼が妨害にくるかもしれない。日の丸・君が代訴訟の弁護団も参加してくれ」と言われて、大雨のなか、スーツを着てバッジをつけて出かけました。全くの杞憂でした。

集会チラシ

http://homepage3.nifty.com/yobousoshou/4_25chirashi.pdf

藤田英典さん、本田由紀さん、木附千晶さんらのパネルディスカッションが面白かったです。

■本田由紀教授の「家族・教育・仕事の循環」論

先ず、ご存じの本田由紀教授(東京大学大学院・教育社会学)のコメントがに、るほどと思いました。

本田教授曰く、「家族→教育→仕事」の循環が日本はうまくいっていた。この循環のなかで、右肩上がりの希望と安定を享受してきた。

家族は子どもに良い教育(良い学校)を与え、学校を卒業して、企業に新卒一括採用されて、企業内では長期雇用慣行・年功序列賃金。そして、労働者は、家族をつくり、子どもに教育を与え、子どもは学校で学び、学卒一括採用で企業に就職して、また結婚していく、という好循環だったわけです。

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この循環は、高度経済成長時代、安定成長時代を通じて、イメージとして通用してきた。しかし、この循環が過熱をはじめた。それぞれが自己目的化しはじめた。

そして、家族は母親、教育(学校)は子ども、仕事は父親ということで、父母子が分断されはじめた。

この循環が、1990年代に大きく壊された。それは仕事の世界が崩壊しはじめた。長期雇用慣行や、年功序列賃金が壊されて、非正規労働者が増大していく、正社員も能力主義でスリム化していく。この循環が壊れてしまった。

仕事から、家族に持ち帰る所得は、非正社員は少なくなり、家族は困窮化し、教育に投資できなくなる。教育は教育で、もはや新規学卒一括採用で正社員になるというルートはなくなり、非正社員になっていく。

一部のエリート層は、果実(パイ)を多くとるが、果実の争奪戦が繰り広げられ、分断と格差化が広がるばかり。

■「適応と抵抗」

本田教授は、都立高校の職業学校の生徒が、職業的専門的教育を受けることで、意欲や能力を大きく伸ばしていることが調査により明らかになったと言います(近く、調査結果を出版されるようです)。

学校は、今の子どもたちに、労働をするための「武装」を与えるべきだと言います。基本的な職業的スキルを教えることだけでなく、企業の働かせ方(搾取と収奪)から、自分をまもる抵抗の術も教えるべきというのです。

今や長時間残業や有給取得でもできない。理不尽な働き方に対して、ノートいえる抵抗の術も教えなければならない。

■「しようがない」「キャラをたてる」

子どもの権利のためのNGO(DCI日本支部)の木附千晶氏は、今の子どもたちや若者たちは、「抗議や要求をしない」と指摘します。何か問題があっても「しょうがないじゃん」と言って、スルーするといいます。

そして、その代わりに、「キャラをたてる」そうです。キャラクターを作るとは「仮面をつける」ことであり、それによって社会に過剰に適応しようとしています。そこには、人間(他人)に信頼をおけず、仮面をかぶり、過剰に適応し、空気を読みながら生きていく姿が見えます。それは人間関係が奪われた世界だと言います。

藤田英典先生の話は、データに基づき、教育論に的を絞った、シャープで、大変興味深いものでした。それはまた、次のブログでご紹介します。

今日の4.25集会は参加してとても充実感がありました。

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2009年4月19日 (日)

ハロン湾 アオザイ 

■ハロン湾

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■ドイモイとアオザイの調和、あるいは月光仮面

マスクしているのは日焼け止めだそうです。

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■伝統的アオザイか

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2009年4月 5日 (日)

四ッ谷の桜

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上智大学側の橋

雙葉学園側の四ッ谷の土手 (こっちの写真はクリックすれば大きくなります)

霞ヶ関の住人から、四ッ谷の日常の生活にもどりました。

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「弾道ミサイル等」 自衛隊法82条の2

■「ミサイルと人工衛星ロケットとどう違うのか? 考えはじめると夜も眠れない・・・」
自衛隊法には次のように定められています。
第八十二条の二  防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。以下同じ。)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。
これを読むと、「弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に重大な被害が生じると認められる物体」=「弾道ミサイル等」ですから、(落下による被害を防止する必要性があるときには)、人工衛星ロケットでも打ち落とせることができる法律です。
ですから、弾頭ミサイルであろうと、人工衛星、スペースシャトルも、はたまた空飛ぶ円盤であろうと、それこそガメラだって、キングギドラだって自衛隊は打ち落とせるのです。なんて素敵な法律!!!
ロケットのさきっぽに爆弾を積んでいると、弾頭ミサイルですし、さきっぽに人工衛星を積んでると人工衛星、有人宇宙船を積んでいると有人宇宙ロケットです。
■国際関係とわが国の対応の二段階を区別する
核兵器を保有している北朝鮮が、人工衛星といっても、その運搬手段のロケットを開発することは、兵器開発にほかなりません。国連安保理の何んらかの決議に反していることでしょう。核査察を拒否しながらのロケット開発は、核兵器開発の一貫にほかなりません。核兵器を放棄しないで、人工衛星開発だという弁明は通用しません。
他方で、これに対して、日本がどう対応すべきかは、別に考えるべきです。日本は大人の対応をすべきなのでしょう。軍事的なお祭り騒ぎ的対応は愚の骨頂です。
北朝鮮の発射を監視し、事故があったときに、わが国の被害を最小限に抑える対応をしながら、軽々しい軍事的対処を前面に出すことは控えるべきだったでしょう。冷静な対応をすべきでした。被害を最小限に抑える対応は、PAC3による「弾道ミサイル等」の打ち落としではないはずです。

仮に日本国内に落下してきたとしても、爆弾を積んでいない以上、放っておくの被害を最小限に抑える方策じゃないでしょうかねえ。PAC3で爆発させれば、より広い範囲にバラバラになった「弾道ミサイル等」と「PAC3」の破片が飛び散って、被害が広がるように思います。素人はそう思うし、政府がそのような冷静な対応をして、弾頭ミサイル等を完璧な監視のもとに置いているという安心感を国民に与えるべきだったのです。

■北朝鮮 V.S 日本政府・自衛隊
以上のブログを書いていたら、昨日5日から今日6日にかけて、わが国で大騒ぎがありました。昨日は、自衛隊と日本政府が発射について誤報を流してしまいました。
う~ん。この宣伝戦は北朝鮮の圧勝と言わざるを得ないです。
北朝鮮は弾頭ミサイル等の発射能力があることを世界に示した。これは、まあ当たり前で、相手のコントロールの範囲内で、他国はどうしようもない。
ところが、日本政府・自衛隊の誤報は、それ以上の得点を北朝鮮に与えてしまいました。つまり、日本の危機管理能力と軍事的な無能さを世界に大宣伝してしまったのです。

これほど大騒ぎして、しかも、わが国の「国益」を害した例が、戦後あったでしょうか?

極めて遺憾ながら、政治宣伝・情報宣伝戦では北朝鮮の圧勝です。そのように相手に「勝ち」をプレゼントしたのが、わが日本政府だとは情けないかぎりです。

■アメリカの大人の対応

米軍が、「発射後、太平洋に落下した模様。失敗である。わが国の脅威にあたらない。」という短いコメントを出しました。

やはり、こういう大人の対応を、日本政府にはしてほしい。北朝鮮とわが国では「国力」が違うのですから、「弾頭ミサイル等」で大騒ぎするのは、相手を喜ばせるだけです。

しかし、「弾頭ミサイル【等】」って、日本政府は、いつも姑息な言葉でごまかすねえ・・・。

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